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シレナ1912×78rpmの邂逅 Vol.16~モード・パウエル 『ホフマンの舟歌』(1914)

Jacques Offenbach
Tales of Hoffmann : Barcarolle


Maud Powell, violin
George Falkenstein, piano
Francis J. Lapitino, harp


Victor  64457
Shellac 10" 78rpm
Recorded June 24, 1914 in Camden, New Jersey

モード・パウエル(Maud Powell, 1867年8月22日 - 1920年1月8日)はアメリカにおいて初めて国際的な評価を確立したヴァイオリニスト。

R.シュトラウスの3歳年下、シベリウスの2歳年下と言えば、彼女がどのような時代に活躍したヴァイオリニストであることがいうことがイメージしやすいだろうか。

7歳の頃、ヴァイオリンとピアノのレッスンを始め、 すぐに天才児として認められ、9歳の時からシカゴで本格的なレッスンを始める。
13歳の時、両親は彼女の音楽教育を続けるための資金を調達するために自宅を売却、パウエルは母親と弟とともにヨーロッパへ渡った。
ライプツィヒ音楽院、パリ音楽院で学んだの後、ベルリン音楽大学でヨーゼフ・ヨアヒムに師事。
1885年、彼女はヨアヒムの指揮のもとベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のソリストとしてデビューし、ブルッフのト短調のコンチェルトを演奏した。
アメリカに帰国後はセオドア・トーマスが指揮するニューヨーク・フィルハーモニックとも共演している。

パウエルはチャイコフスキーとシベリウスのヴァイオリン協奏曲のアメリカ初演のソリストを務めており、特にシベリウスのコンチェルトに心酔し、結果的にこの曲のコンサート・レパートリー化に大きく貢献した。
また1894年4月7日には、カーネギー・ホールでアントン・ザイドル指揮のニューヨーク・フィルハーモニックと共演、作曲家自身の立ち合いのもとドヴォルザークのヴァイオリン協奏曲も演奏している。

ここまで記せばパウエルが如何に当時を代表するヴァイオリニストとして活躍し、評価されていたかがよくわかるであろう。

ただし、残念ながら彼女のレコーディング・キャリアは1904年から1921年までのアコースティック録音(電気を使わない機械式吹込み)期であり、コンチェルトなど大規模な作品を録音することは極めて困難な時代だった。
よって残されたSPレコードは小品や通俗名曲、編曲ものばかりではあるが、それらからでもパウエルの気品があり、テクニックを鼻にかけない演奏スタイルを十分聴きとることができる。

今回は1914年6月24日、Victrolaの本拠地であるニュージャージー州カムデンで録音されたオッフェンバックの歌劇『ホフマン物語』からお馴染みの『舟歌(バルカロール)」をピアノとハープの伴奏付きで。

ちなみにこの6月24日にパウエルは集中的に録音セッションを行い、9曲をまとめて収録(翌25日の2曲を含めれば11曲)している。
その中にはマスカーニの歌劇『カヴァレリア・ルスティカ―ニ』間奏曲、シベリウスの『悲しきワルツ』、ブラームスの『ハンガリー舞曲第7番、第9番』なども含まれている。

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