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マリア・オルツェフスカ ブラームス『サッフォー風オード』(1929)

ドイツ出身のメゾ・ソプラノ/アルト、マリア・オルツェフスカ(Maria Olszewska , 1892年8月12日 – 1969年5月17日)。

大指揮者A.ニキシュの勧めでオペラに専念する歌手活動をライプツィヒでスタートし、ハンブルク~ウィーン~ミュンヘン~ウィーンの各オペラハウスのメンバーとして活躍したオルツェフスカ。
彼女の当たり役はR.シュトラウス『ばらの騎士』のオクタヴィアン、Joh.シュトラウス『こうもり』のオルロフスキーというふたつのズボン役。
また、ワーグナーのメゾ・ソプラノ役(フリッカ、オルトルート、ブランゲーネ)、R.シュトラウス『サロメ』のヘロディアスも重要なレパートリーだった。

ロンドン・コヴェントガーデン、ニューヨーク・メトロポリタン、シカゴ、ブエノスアイレス・コロンなどのオペラハウスにもゲスト出演し、その活躍はドイツ・オーストリアに留まらなかった。

レコード録音において特筆すべきは、1933年9月20日に行われたR.シュトラウス『ばらの騎士』のハイライト録音。
ロベルト・へーガーが指揮する(本来ならB.ヴァルターが指揮するはずたっだが、ナチスの介入が原因で実現されなかった)ウィーン・フィルハーモニカーに、ロッテ・レーマン(元帥夫人)、エリーザベト・シューマン(ゾフィ)、そしてオルツェフスカ(オクタヴィアン)の3名の女声が加わるという夢のキャスティングで行われたものだ。

オルツェフスカは、ほぼ同時期に活躍したジークリッド・オネーギン(1889 –  1943)が得意としたカルメンとアムネリス(アイーダ)は、あまり得意としなかったようだ。

オペラ中心の活動だったオルツェフスカだったが、リートの録音も残している。中でもやはりブラームスの濃厚なロマンを深く、しかし自然に歌い込んでいくその様は圧巻である。

今回は1929年5月13日にロンドンで録音された『サッフォー風オード』Op94-4を。

オネーギン、エレナ・ゲルハルト・・・。
名だたるメゾ・ソプラノ/アルトはこの曲をこぞって取り上げているが、優劣をつけるわけにはいかない。

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