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クレデンザ1926×78rpmの邂逅 #17~ロッテ・レーマン 生誕133年記念 シューベルト『子守歌』(1937年3月16日)

あまりキリはよくないが、今日2月27日は20世紀を代表するドイツ(後にアメリカ国籍)のオペラ/リート歌手、ロッテ・レーマン(Charlotte Lehmann, 1888年2月27日 - 1976年8月26日)生誕133年の日である。

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以前、レーマンについて短いメモのようなものを書いた。

ここに書いたことがすべてなのだが、私にとってレーマンはとても大切な、彼女の音楽、声に触れたいがため、78rpmを聴いている、と言ってもいい存在だ。
指揮者で言えば、何はなくとも私はクレメンス・クラウスの78rpmに魅せられている。
しかし、現代と比較して録音する(できる)曲に制限があった78rpm時代に、「歌」はそれがオペラ・アリア、あるいはリートであっても、その長さゆえ録音、制作しやすい曲種であった。「歌もの」こそ78rpmの主力作品、多くの人に求められた音盤であったことは間違いない。

そんな中、オペラでもリートでも、そしてドイツ・オーストリアものが中心とは言え、フランス、イタリアの作品にも洞察力があり、見事に作品を自分のものとし、膨大なレパートリーを誇ったレーマンこそ、20世紀を代表する声楽家であった、という思いはとても強い。
強さと繊細さ気品尊厳格調・・・。これらをすべて兼ね備えた歌手は不世出のようにさえ思う。

今日はそんなロッテ・レーマンを讃え、敬意を表す意味で、簡単ではあるが彼女の78rpmから1曲だけご紹介する。

レーマンはユダヤ系ではなかったが、ナチス・ドイツを嫌い、1938年にアメリカへ移住する。
この録音はその少し前、戦前のレーマン・ヨーロッパ時代の最後を飾る録音のひとつだ。
録音日は1937年3月16日。この日、彼女はエルネ・バログのピアノとともに、以下の12曲を一気にレコーディングしている。

● マルクス『幸せな夜』
● ヴォルフ『こうのとりの使い』
● 同上『庭師』
● 同上『あなたは細い一本の糸で私をつり上げ』
● フランツ『音楽に』
● 同上『おやすみ』
● イェンゼン『君が頬を寄せよ』
● シューベルト『糸を紡ぐグレートヒェン』
● 同上『子守歌(Wiegenlied)』
● シューマン『君は花のごとく』
● シューマン『春の夜』

ドイツ・リートの王道とひっそりと咲くドイツの秘曲を取り混ぜた、レーマンならではの素敵なプログラム。
まるでこれで「リーダー・アーベント」が開けそうである(CD化、データ化もされているので是非)。

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その中から、恐らく一般的知名度は最も高いであろうこの曲を、1926年製クレデンザ蓄音機で。

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おまけ。
この1年半前の1935年10月17日にはモーツァルト、シューベルト、シューマン、ブラームス、ヴォルフ、まさにドイツ・リートの王道、神髄13曲を一気に録音。
そこからブラームス『死、それは清々しい夜』もともに。



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