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アンドレ・レヴィ バッハ『アリア』on DECCA Junior Portable

現在、「かふぇ あたらくしあ」には販売商品を除いて、クレデンザとシレナのほかに2台の蓄音機(私物)がある。
卓上型が1台とポータブル型が1台。

そのポータブル型こそ、DECCA Junior Portable である。
大きさは蓋を閉めた状態で、W:25.9cm/H:19.7cm/D27.7cm。
さすがに12インチ盤は乗せることができず、10インチ専用機である。

特徴は何といっても、リフレクター式の蓄音機であること。
針が溝で拾った信号を音に変えるサウンドボックスがついたトーンアームの逆側がオープンになっていて、そこから出る音をボウル(お椀)型になった蓋に反射させて音を増幅させるという仕組み。

その効果もあって、小さい図体の割には大きな音が出る。
しかもその音は明るく輪郭がはっきりとした固めの音。
もちろん、クレデンザのような音の豊かさを求めるのは土台無理なこと。
むしろこの蓄音機のいいところは、外に気軽に持ち運びができ、屋外、例えばピクニックやキャンプなどに持って行っても、周りのノイズにかき消されることのない十分な音量でSP盤を愉しめるところ。

まだ、やってみたことはないが、いつかソロキャンプで焚火の炎を見ながら、コーヒー片手に一人音楽をボーっと聴いてみたい、そんな欲望を沸き立たせる魅力がDECCA Junior Portable にはある。

そんな時、絶対この盤は持っていきたいかと・・・。

アンド レ・レヴィは1894年パリ生まれの20世紀フランスを代表するチェリスト。

ジュヌヴィエーヴ・ジョワ、ジャンヌ・ゴーティエらとフランス 三重奏団を結成するなど、主に室内楽の分野で活躍した。

彼が1960年に録音したバッハ『無伴奏チェロ組曲』全6曲のオリジナルLP盤は、マニア垂涎の超稀覯盤。
現在ではオリジナル盤に迫るクオリティで復刻された韓国プレスのLP(それでも1枚10,000円くらいする)、そしてオリジナル盤の盤おこしと思われるサブスク音源で、レヴィのバッハの魅力に触れることができる。
モダン、ピリオド云々というせせこましい概念には収まりようがない、神がかり的な深いバッハがそこにある。
個人的にはカザルスを超えていると思うのだが・・・。

レヴィはこの盤以外にも仏オデオンにアンコールピース的小品を10インチSP盤に何枚か録音していて、比較的手に入りやすいので気になる方は是非。

かふぇ あたらくしあ

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