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シレナ1912×78rpmの邂逅Vol.16〜キャスリーン・パーロウ ドヴォルザーク『インディアン・ラメント』(1916)

A. Dvořák
Indian lament in G minor

Kathleen Parlow, violin
Charles Adams Prince, piano

Columbia A5798
Shellac, 12",78rpm
Recorded New York  on Feb. 19. 1916

キャスリーン・パーロウ(Kathleen Parlow, 1890年9月20日 - 1963年8月19日)はカナダ・カルガリー生まれの女流ヴァイオリニスト。
ただ、その活動はアメリカ合衆国とヨーロッパとを行き来する中で行われていった。

5.6歳の時、既に天才であることを証明するのに十分な演奏を行っていたパーロウは、10代になってミッシャ・エルマンの演奏を聴き、彼の師で、ロシア・ヴァイオリン楽派の祖であるレオポルト・アウアーに弟子入りを切望、エルマンやエフレム・ジンバリストと共にこの名教師の下で学んだ。女性としては初めてのアウアーの弟子ということになる。

アウアーはパーロウを気に入り、(世が世ならセクハラと言われかねないが)パーロウを「スカートをはいたエルマン」と呼んでいたとのこと。

イギリスではトーマス・ビーチャムやブルーノ・ヴァルターとも共演したほどだったが、1920年代に入るとソリストとしての活動を自制し、ピアノ・トリオやクァルテットといった室内楽活動や、トロント大学での後進の指導に活動の中心が移っていった。

レコーディングも同様で、年齢的には電気録音(1925年以降)が残っていておかしくないパーロウだが、残された正規録音はアコースティック録音(旧吹込み)のみで、小品が中心。ソナタやコンチェルトといった大曲を残していないのが何とも残念なことである。

ドヴォルザークの「インディアン・ラメント」は元々「ヴァイオリンとピアノのためのソナチネ」の第2楽章だが、フリッツ・クライスラーがこの楽章だけを取り出して、「インディアンの子守歌」と称して演奏したことにより、それに続くヴァイオリニストの愛奏曲となった。

パーロウの落ち着いた、そして郷愁、懐かしさに満ちた音色が堪能できる録音。

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