珍品“Victrola T-90”×78rpmの邂逅 Vol.1~サックスによるサン=サーンス『白鳥』
アメリカ・ニュージャージー州カムデンでVictrolaが生産し、日本を経由せず占領下満州国のみで発売されたという卓上型蓄音機V-90。
何故か「かふぇ あたらくしあ」に何の前触れもなくこの蓄音機が送り付けられてきた。
結論から言えば、これはうちの店での販売用にと、仲間が手配したものだったのだけれど。
V-90については資料も少なく、何故満州のみで発売されたのか?生産台数などについてもよくわからない。
因みにこの個体のシリアルナンバーは291。
今回は整備も終わって、卓上型ながらフロア型顔負けの堅牢な音を音を出すこのT-90 を使った初ターンテーブル動画を。
フランスのサックス奏者でジャズ・バンドのリーダー、作曲家、アレンジャーとして活躍したジュール・ヴィアード(1890 年 4 月 18 日ー1935年10月31日)によるサン=サーンスの『白鳥』。恐らく1930年前後の録音。
45歳という短い人生でヴィアードは40枚を超える、そしてジャンルも幅広いSP盤を録音したという。
ラヴェル、ドビュッシー、リスト、メサジェなど、サックス用の編曲もよく知られている。
チェロに似せた音作りが、結果としてフランス式ファゴット「バソン」のような、朴訥としながらもよく歌う演奏になっているところが素晴らしい。