マガジンのカバー画像

ブルックナー関連まとめ

8
ブルックナー関連の記事についてまとめています。
運営しているクリエイター

#混声合唱

ブルックナーの知られざる名曲三選-小品から見えてくるブルックナーの音楽像

 ブルックナーと言えば交響曲だが、魅力的な小品から彼の音楽の全体像を再構成することも可能である。  今回は三つの小さな名曲を通じて、ブルックナーの音楽作品全般に通ずる普遍的な特徴について見ていきたい。 1.リーベラ・メ Libera me [WAB22](1854年) 師である聖フローリアン修道院長の告別式のために書かれた作品である。  作曲当時、ブルックナーは三十歳。  どことなくモーツァルトのレクイエムの一節を思わせるような曲調であり、あるいはモーツァルトに少なからず影

ブルックナーの合唱曲の魅力-ブルックナーのAve Maria

 ブルックナーは、今でこそ交響曲作曲家として知られているが、生前は多かれ少なかれ「交響曲の制作に(大変失礼ながら無謀にも)挑戦するオルガニストないし教会音楽家」として認知されていたに過ぎない。  晩年に至ってようやく一部の交響曲作品が(友人や弟子たちの心尽くしの、あるいは行き過ぎた支援介入改ざんによって)聴衆に受け入れられていったが、ブルックナーの(オリジナルの)交響曲の全体像は、作曲者自身の死を迎えてなお依然として不明瞭なままであった。  本人の死から三十年ほど経過した1