ブルックナーの知られざる名曲三選-小品から見えてくるブルックナーの音楽像
ブルックナーと言えば交響曲だが、魅力的な小品から彼の音楽の全体像を再構成することも可能である。
今回は三つの小さな名曲を通じて、ブルックナーの音楽作品全般に通ずる普遍的な特徴について見ていきたい。
1.リーベラ・メ Libera me [WAB22](1854年) 師である聖フローリアン修道院長の告別式のために書かれた作品である。
作曲当時、ブルックナーは三十歳。
どことなくモーツァルトのレクイエムの一節を思わせるような曲調であり、あるいはモーツァルトに少なからず影