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【冷凍のプロが選定】5種を比較!母乳冷凍パックの選び方

母乳を冷凍する際に利用する母乳冷凍パック。
さまざまな商品が発売されていますが、どのような観点から選べばよいのでしょうか。

冷凍のプロであるベビストック編集部が、冷凍に関する衛生の知見から選定するポイントについて説明します。

母乳を冷凍する方法・パックへの詰め方

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まずは母乳冷凍パックを選ぶ前提となる母乳を冷凍する方法についておさえておきましょう。

①手を洗う
母乳を冷凍する際に最も重要なポイントは「衛生的」であることです。器具が衛生的でも扱う手が汚れていたり、雑菌が付着していたりしては元も子もありません。母乳を扱う際にはまず手を洗うようにしましょう。

②消毒した搾乳機で母乳を搾乳する
搾乳機は事前に消毒しておきましょう。長期保存をする母乳なので、冷凍前はできるかぎり雑菌の付着しない状態にすることが大切です。すべてのプロセスの衛生面について気を配りましょう。

③母乳パックに移し替える
手で母乳パックの間口を広げ、搾乳機の母乳を移し替えます。注ぐために母乳パックの間口を広げますが、中の空間を広げる際には決して口で息を吹き込まないでください。唾液が混入して母乳内に雑菌が混じり込む可能性があります。同様の理由で赤ちゃんが飲みかけの母乳を冷凍してはいけません。

④母乳パックの空気を抜いて密閉する
母乳パックを立てたままの状態で、手で押さえてゆっくり空気を抜いていきます。ある程度空気が抜けたら、そのままチャックを占めて密閉してください。空気は完全に抜けなくても問題ありません。すべて抜こうとすると母乳がこぼれるおそれがあります。
空気を抜く理由は、保存中の母乳の品質を保つため、解凍の際に解凍しやすくするためです。

⑤保存日を記入する
母乳を冷凍する前に、母乳パックに保存した日付を書いておきましょう。母乳の冷凍保存期間は6か月程度。これはあくまで保存可能期間で、赤ちゃんにできる限り保存前の品質の母乳を与えるためには早めに消費したほうがよいでしょう。日付を記入することで古い母乳が冷凍庫に残ってしまうことを避けましょう。

⑥冷凍庫に入れる
搾乳した母乳はすぐに冷凍庫に入れて冷凍保存します。一般的に食品は粗熱をとって保存しますが、母乳は熱をとるよりも衛生的な管理を優先すべきであるため、熱を取らずに冷凍庫に入れましょう。母乳の人肌程度の温度であれば冷凍庫の中身も傷みません。

⑦母乳が凍ったら冷凍庫の奥へ移動
母乳が凍ったら、可能であれば冷凍庫の奥へ移動しましょう。扉や前面に置いていると、他の食品を取り出す際に若干解凍されてしまうことがあります。冷凍庫の奥やほかの食品の後ろであれば、ある程度低温を保てます。

冷凍パックに入れた母乳を解凍する方法

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冷凍した母乳は電子レンジや湯せんで解凍してはいけません。母乳にはさまざまな栄養成分や酵素が含まれていますが、高い温度にさらすとそれらが減少したり死滅したりすることがあるからです。

①容器に水もしくは40℃程度のぬるま湯を入れる
母乳パックが入るくらいの容器に、水もしくは40℃(人肌くらいの温度)程度のぬるま湯を入れておきましょう。

②水もしくはぬるま湯に冷凍母乳パックをひたす
水やぬるま湯をかき混ぜたり、冷たくなってきたら水やぬるま湯を入れ替えたりすると、早く解凍することができます。

③冷凍母乳パックの注ぎ口を切り取って哺乳瓶にうつす
消毒した哺乳瓶に冷凍母乳パックの注ぎ口から母乳を移し替えます。母乳の脂肪分と水分が分離している場合は、哺乳瓶に移し替えて蓋をしてから振ってまぜてください。冷凍母乳パックを揉んだり振ったりするとチャックが開いて母乳が漏れ出すことがあります。

④赤ちゃんの好みに応じて母乳を温める
赤ちゃんが人肌の温度の母乳が好きな場合は、ぬるま湯で哺乳瓶を湯せんし、ちょうどいい温度に母乳を温めてください。

母乳はどんなときに冷凍保存すべき?

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赤ちゃんが入院中の場合や、家族に赤ちゃんを預けて外出したりする場合でも母乳を与えたい場合は、母乳を事前に搾乳しておけばママがそばにいなくても母乳を与えることができます。

1日程度の保存期間の場合は、冷蔵保存でも問題ありませんが、1日以上保存する場合や、冷蔵庫外に持ち歩く場合は衛生管理の観点から冷凍することをおすすめします。

母乳は栄養豊富な液体なので、母乳内の細菌や微生物が増殖しやすい食品です。そのため、冷蔵環境や常温環境では非常に菌が増えやすくなっています。

【参考】温度に応じた食品内の微生物増殖の速度

微生物増加曲線

母乳を冷蔵庫内で保管できる期間については、公益財団法人日本助産師会「赤ちゃんとお母さんにやさしい母乳育児支援」によると以下のように示されています。しかし、これは温度が適切に管理された冷蔵庫で保管した場合です。

早産児・NICU入院児 2~4日
健康な正期産児 5日以内
月齢の大きな子ども 8日以内

一般的に家庭用冷蔵庫は開け閉めが多く、開いている時間も長いので、上記の前提よりも温度が高くなる傾向にあります。

安全を考えれば、冷蔵母乳の保存期間は1日程度と考えたほうがよいでしょう。

保存期間が1日を超える場合、保冷バックに保冷剤を入れて持ち歩く場合は冷凍しておくことをおすすめします。保冷バックと保冷剤では保冷バック内はさほど低温に保てませんが、本体が凍っているぶん微生物や細菌の増殖をゆるやかに抑えることができます。

参考記事:母乳の冷蔵庫での保管についてはこちらをご参照ください


母乳を冷凍保存する期間は?

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冷凍母乳は衛生的な観点からは半永久的に保存できますが、品質の観点からすると、保存中に脂肪分が酸化するなど味が変化するおそれがあるため、早めの消費をおすすめします。

多くの母乳冷凍パックのメーカーは6か月程度を保存上限としていますが、品質維持の観点から3か月程度をおすすめしていることが多いようです。

母乳は脂肪分も多いですが、水分が多いので一般の食品ほど冷凍保存による劣化が早いものではありません。しかし、長期保存をするとどうしても一部の脂肪分が酸化するおそれがあります。べビストック編集部は1か月~3か月程度での消費を推奨しています。

フリーザーバッグなどで母乳冷凍パックを代用してはいけない

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母乳冷凍パックはフリーザーバックと比較してやや高価なことから、「何かで代用できないか」という声も多くあります。しかし、結論から言うと代用はおすすめできません。

母乳冷凍パックとフリーザーパックは衛生管理の観点での商品設計が大きく違います。フリーザーバックはある程度成長した子供や大人の食品の保存を前提とした商品です。そのため、抵抗力の弱い赤ちゃんが飲み、微生物や細菌が増殖しやすい母乳を冷凍する用途は想定されていません。

母乳を必要とする赤ちゃんのうち、特に離乳食が始まっていないような低月齢の赤ちゃんは抵抗力が弱く、食中毒になりやすい状態です。また、食中毒を起こしてしまった場合、重症化しやすい傾向にあります。

母乳冷凍パックはやや高価ですが、使用する期間はごくわずかです。赤ちゃんの健康を守るためにも、母乳の冷凍には専用の母乳冷凍パックを使いましょう。

母乳冷凍パックの容量はどう選ぶ?

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母乳冷凍パックの容量は、赤ちゃんが1回あたりに飲む量を目安に選びましょう。

流水で母乳を解凍する場合
解凍した母乳を与える場合は、流水で解凍した場合のみ、飲む量ごとに取り分けて残りは冷蔵庫に保存しておき、赤ちゃんに与えてかまいません。解凍して冷蔵庫保存した母乳は1日以内に使いきりましょう。

その場合は、1袋に保存する量の上限を1日に使い切れる量にしておくとよいでしょう。
解凍したものを冷蔵庫保存する際には保存容器も必要なので、その手配も忘れずにしておきましょう。

湯せんで母乳を解凍する場合
湯せんで解凍する場合は、解凍した量をすべて使い切る必要があります。解凍した母乳を分けて取り置いて、時間をあけて飲ませるのは衛生上よくありませんのでやめましょう。解凍の際の高温のぬるま湯に接するため、増殖した細菌や微生物が保存中にさらに増加するおそれがあります。

保存する量の目安
赤ちゃんが1回に飲む母乳の目安は、体重1kgあたり20mlと言われています。
たとえば、5kgの赤ちゃんであれば1回あたり100ml程度を飲んでいると考えられます。

しかし、あくまでこれは目安です。よく母乳を飲む赤ちゃんもいれば、一度にたくさん飲めない赤ちゃんもいますので、赤ちゃん一人ひとりの個性にあった量を保存するようにしましょう。

母乳冷凍パックおすすめ5選

ここからはベビストック編集部が衛生管理と使いやすさの観点から選定したおすすめ母乳冷凍パックを紹介します。

5位 medela 母乳保存バック
(150ml/180ml)

搾乳機にとりつけてそのまま保存できるタイプ母乳冷凍パックです。Medela(メデラ)の搾乳機を使っている方であれば、この商品にそのまま搾乳機を設置して使えます。こうすることで母乳を注ぐときなどに母乳に手が触れるおそれもなく、衛生的に母乳を保存できます。搾乳をする際にいったんボトルに母乳をためる必要がないため、洗い物も少なくすみます。


4位 Angelcare 母乳フリーザーパック
(50枚/100枚)

大容量のパック50枚・100枚が入ったタイプで、コスパがよい母乳冷凍パックです。月齢が低い赤ちゃんの母乳の保存には容量がやや大きすぎるので、体重が10kgに近づいてきた高月齢の赤ちゃんの母乳の保存に使うとよいでしょう。


3位 bellababy 母乳保存パック
(180ml・30枚)

コストパフォーマンスに優れた母乳冷凍パックです。ワンサイズしかないため、月齢の低い赤ちゃんにはやや容量が大きいタイプです。また、容量が180mlなのでたくさん飲む赤ちゃんの場合は少しもの足りない場合もあるかもしれません。


2位 ピジョン 母乳フリーザーバッグ
(40ml、80ml・各20枚/50枚)(160ml・50枚)

低月齢の赤ちゃんにぴったりの小容量のサイズがあります。ぴったりの容量で保存しておけば、日本の小さめの冷凍庫でも保存しやすいでしょう。
母乳を注ぐ際に手で持った場所を切り取る機能がついていたり、日付などを記入する封かんシールがついていたりするなど、細やかな配慮にあふれた日本のメーカーらしい商品です。
最大容量が160mlなので、よく飲む赤ちゃんについては容量が足りない場合もあるかもしれません。


1位 カネソン 母乳バッグ
(50ml、100ml、150ml、200ml・20枚)(50ml、100ml・50枚)

ヘッダーをまくだけで簡単に母乳パックの空気が抜ける仕様になっています。
サイズバリエーションも豊富にあり、低月齢から成長したお子さんにも使用しやすい仕様になっています。
また、カネソンの搾乳機と専用のコネクターを使用すれば、搾乳してそのまま母乳を注ぎ込むことができるので、衛生的に保存することができます。


母乳冷凍パックはぴったり容量が保存しやすくおすすめ

ここまで説明してきたように、母乳を冷凍するにあたり必須となる衛生への気配りは、母乳冷凍パックであればどの商品にも施されています。そうなると、選ぶ際の基準は、値段や、搾乳機にセットできるか否かなど、使いやすさがポイントとなります。

また、日本の冷凍庫は海外製のものと違って容量が小さい場合も多いため、大きな母乳冷凍パックを使うとかさばってしまうこともあります。複数の冷凍母乳パックを同時に保存する場合は必要な容量ぴったりの冷凍母乳パックを選ぶことをおすすめします。

赤ちゃん用品は手入れになにかと手間がかかり、場所もとってしまいがちです。生活スタイルに合った商品を選択することで少しでも育児ライフを快適なものにしましょう。






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