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【冷凍で簡単&衛生的】離乳食後期(カミカミ期・生後9〜11か月)の進め方

こんにちは。BabyStock編集部です。
今回は離乳食後期の進め方のポイントについて、編集部のライターT(2児のママ)の経験なども交えてお届けします。

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生後9か月頃から、いよいよ離乳食も後期に入ります。

後期の離乳食の進め方は、中期までとはどのように異なるのでしょうか。

本記事では、離乳食後期の進め方に加えて、この時期に気になる鉄分不足やフォローアップミルクの利用についても解説していきます。

後半には後期の離乳食の冷凍保存方法のポイントや衛生管理についてもまとめました。こちらもぜひチェックしてみてください。

離乳食後期はどんな時期?進め方は?

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離乳食後期は一般的に「カミカミ期」と呼ばれます。赤ちゃんはこの時期に、歯ぐきで食べ物をつぶして飲み込むことを覚えます。

進め方はこれまでの赤ちゃんの食べ進め具合も考えながら、焦らず取り組みましょう。

食事回数は、1日3回になります。3回目の食事が夜遅い時間にならないよう、あらかじめ1日のスケジュールを立てて取り組みます。

調理の際は、食材を歯ぐきでつぶせる固さ(バナナ程度)に。少量であれば、しょうゆなどの調味料を使うことができます。

献立には、赤ちゃんが自分でつかんで口に運ぶ「手づかみメニュー」を取り入れましょう。また、この時期に不足しやすい鉄分を補う食材を取り入れましょう。

離乳食後期の進め方(実践編)

ここからは、離乳食後期の具体的な進め方について解説していきます。

①【離乳食後期】スタート時期&タイミング

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後期の離乳食をスタートするもっとも基本的な目安は、赤ちゃんの月齢です。

生後9〜11か月頃になると、赤ちゃんは必要な栄養の半分以上を食事から摂るようになると言われています。なかでも鉄分は、生後9か月頃から特に不足しやすいことが厚生労働省をはじめ、多くの専門家によって指摘されています。

おおむね生後9か月頃になったら食事回数を3回に増やし、鉄分を多く含む食材を積極的に与えていく後期の離乳食へと移行していきましょう。

月齢だけで判断しづらい場合、より具体的な目安として多く挙げられるのは「豆腐程度の固さのものをモグモグして飲み込むことができること」。中期の離乳食が上手に食べられるようになったら、ということですね。

後期へ進める前に、赤ちゃんの食べ物を飲み込む様子を観察してみましょう。

②【離乳食後期】スケジュール

離乳食後期スケジュール

後期の離乳食は、毎日どのようなスケジュールで与えたら良いのでしょうか。

上記は、1日の授乳と離乳食のスケジュール例です。

離乳食後期に入っても、赤ちゃんはすべての栄養を食事から摂取できるわけではありません。離乳食後は欲しがるだけ、それ以外の時間帯はそれぞれの赤ちゃんのリズムに合わせて授乳します。

例に挙げたスケジュールの内容に加えて、暑い時期や汗をかいたときには、水分補給にも気を配る必要があります。
赤ちゃんの水分補給には、湯冷まし、麦茶などが適しています。スプーンで与え始め、徐々にストローやコップ飲みの練習も始めていきましょう。
赤ちゃんが母乳や育児用ミルク以外で水分補給ができるようになると、お出かけのときの負担もぐっと減ります。

なお、生後9か月頃から使用できるフォローアップミルクは、母乳や育児用ミルクの代わりに与えるものではありません。

「フォローアップミルクは母乳代替食品ではなく、離乳が順調に進んでいる場合は、 摂取する必要はない。離乳が順調に進まず鉄欠乏のリスクが高い場合や、適当な体重 増加が見られない場合には、医師に相談した上で、必要に応じてフォローアップミルクを活用すること等を検討する。」

「フォローアップミルクの鉄含有量(6商品平均 9.0mg/100g)は育児用ミルク(平均 6.5mg/100g)の約 1.4 倍である。」

厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」2019年改訂版より

このように、フォローアップミルクにはこの時期に不足しがちな鉄分を補う働きがあります。母乳や育児用ミルクの代わりとしてではなく、医師に相談のうえ必要な場合に活用するようにしましょう。

③【離乳食後期】使用する食材

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離乳食後期から与えられるようになる主な食材をご紹介します。  

【離乳食後期から与えて良い食材】
炭水化物
 ・バターロール ※焼き目の部分は除く
 ・ホットケーキミックス
 ・春雨

タンパク質
 ・あじ
 ・いわし
 ・さんま
 ・さば ※アレルギーに注意
 ・赤身肉(豚、牛)
 ・ひき肉(豚、牛)

野菜・果物・海藻
 ・きのこ類
 ・ねぎ、ニラ 
 ・ごま ※すりつぶす。アレルギーに注意。
 ・キウイ ※アレルギーに注意。
 ・わかめ ※茎は取る。
 ・寒天 ※ゆるめに固める。

一般社団法人離乳食インストラクター協会によると、離乳食に調味料による味付けを始める時期は後期以降とされています。

離乳食後期に調味料を使用する場合の目安は、1食あたりしょうゆなら1〜2滴、味噌なら小さじ1/2程度です。

しかし、離乳食の大切な目的の一つは赤ちゃんの味覚を育てること。可能な限りは、素材そのものの味を味わってもらうと良いでしょう。

出汁で風味をつけたり、肉などを入れたりするとうまみが出て、調味料なしでも食べやすくなります。赤ちゃんに受け入れられやすいさつまいもや果物など、甘みのある食材を組み合わせてあげるのもおすすめです。

離乳食後期に与えられる食材の目安摂取量は以下の通りです。これまでと同じように、はじめての食材はひとさじ程度から始めていきましょう。

離乳食後期の分量

離乳食後期に入っても、アレルギーには十分な注意が必要です。

はじめて与える食材は、発疹などのアレルギー反応が出た際に医療機関で受診しやすいように、午前中に与えるようにしましょう。

また、どの食材がアレルギーの原因かわかるように、はじめて与える食材は1食につき1種類にします。

④【離乳食後期】調理方法

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離乳食後期の調理方法のポイントは下記の通りです。

・歯ぐきでつぶせる固さにすること
目安は、指で軽く押すとつぶれるバナナ程度の固さです。
これより軟らかすぎても固すぎても、赤ちゃんが食材を丸呑みしてしまう原因になります。赤ちゃんの食事の様子を見ながら、固さを加減すると良いでしょう。

・鉄分やビタミンDが摂れる食品を積極的に取り入れること
生後9か月頃の赤ちゃんは、鉄分やビタミンDが欠乏しやすいことが指摘されています。
乳幼児期の鉄分不足は、心身の発達に悪影響を及ぼすと言われています。また、ビタミンDの不足によるビタミンD欠乏症(くる病)にも注意が必要です。
以下に挙げた鉄分、ビタミンDを摂取できる食品を離乳食後期の献立作りにご活用ください。

【鉄分を多く含む食材例】
レバー
赤身の肉や魚(まぐろやかつおなど)
納豆
高野豆腐
きなこ
小松菜
海苔 など

【ビタミンDを多く含む食材例】
卵黄
しらす

さんま
干し椎茸 など

鉄分補給ができるレバーですが、下ごしらえに少々時間がかかります。おすすめは、市販のベビーフードを上手に活用することです。もちろん、面倒に感じない場合は手作りをしても問題ありません。

和光堂 はじめての離乳食 裏ごし鶏レバーと野菜


・手づかみメニューを取り入れること

離乳食後期には基本的に、食材を5〜8mm角程度の大きさに切ったりほぐしたりしたものを与えます。それにとは別に「手づかみメニュー」として、赤ちゃんが手でつかみやすい大きさのメニューも用意しましょう。

たとえば、軟飯のおにぎり、細切りにした食パン、ゆでたスティック野菜、食べやすくカットした果物などです。

ひと手間かけられるときは、細かくした野菜をマッシュポテトやひき肉に混ぜ込んで、ハンバーグのように焼いたりするのもおすすめです。時間のかかるメニューは一度にたくさん作って冷凍しておくと、少しずつ使えて大変便利です。

すべてのメニューを手づかみできるようにする必要はありません。1回の食事の中に1品手づかみメニューを用意することを目安にしましょう。

手づかみで食べることで、赤ちゃんは食べ物の感触や手指の動かし方、手と口の動きを連携させることなど、さまざまな刺激を受けます。

少々後片付けが大変にはなりますが、赤ちゃんの成長のためにも手づかみメニューを取り入れていきましょう。

また、この時期になると食材の固さや大きさ、味付けに気をつければ、大人用の食事からの「取り分け」も可能です。

我が家ではもっぱら、味噌汁の取り分けをしていました。味噌を入れる前に出汁でやわらかく煮た具材を取り分け、ちょうどよいサイズにキッチンバサミで切るだけで離乳食が一品完成です。

離乳食後期は後片付けにも時間が取られるので、時短になる取り分けを活用するのがおすすめです。

気になる離乳食後期の衛生管理のポイント&冷凍テクニック

ここからは、離乳食後期の調理に関する衛生管理と便利な冷凍テクニックについて説明します。

①離乳食の衛生管理はできていますか?

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品数が増えてくると「作り置きや冷凍品を活用したい」と感じることが増えてくるかと思います。
そのときに、注意したいのが離乳食の衛生管理です。

離乳食後期の進め方には、以下のようにたくさんのポイントがあります。

・1日の食事回数が3回に増える
・赤ちゃんは必要な栄養の半分以上を食事から摂るようになる
・手づかみ食べが始まる
・鉄分を摂るためにも、メニューに肉や魚を積極的に取り入れる必要がある

離乳食後期は、赤ちゃんにとって離乳食の重要性が増す時期であるとともに、「品数や回数が増える」「魚や肉を扱う」「赤ちゃんが手で食品を触る」など、衛生面で気をつけることが増える時期でもあるのです。

乳幼児は大人に比べて消化酵素が不十分、腸内細菌が未発達、免疫機能が不十分。食中毒菌の種類によっては少量の菌数でも食中毒を起こし、大人よりも重症化しやすい傾向もあります。

後期の離乳食を始めるにあたり、もういちど赤ちゃんのための衛生管理のポイントをおさらいし、作り置きや冷凍品の活用を安全に行うようにしましょう。

②離乳食の衛生管理の基本ルール

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まずは、離乳食の衛生管理の基本となるポイントを見ていきましょう。

【準備】
・しっかりと手洗いをする
・清潔な調理器具を使用する
・新鮮な食材を使用する

【調理】
・生肉や生魚に触れたら、そのつどしっかり手洗いをする
・生肉や生魚を扱ったまな板はすぐに洗い、漂白剤で消毒するか、熱湯消毒する
・生肉や生魚を切る際などに出る水分による汚染にも気をつける
・加熱するときは、食材の中心部に熱が届くまでしっかりと加熱する

【提供】
・赤ちゃんの手を洗い、お手拭きを用意する
・清潔な食器で与える

【片付け】
・調理器具は、生肉や生魚を使用していなくても数回に一度は消毒する
・生ものを使った調理器具を洗うスポンジと、それ以外(食器等)を洗うスポンジは別々に用意する
・洗ったあとの食器や調理器具は、清潔なふきんですぐに拭く

生肉や生魚を扱う調理器具には菌が付着するため、消毒が必要です。まな板などは、漂白剤での消毒をすると手軽で便利でしょう。

小さな調理器具はまとめて煮沸消毒したり、作業台はアルコールで拭いたりするなど、消毒するものによって方法を変えると作業がスムーズです。

離乳食に使用する食器は食器用洗剤できれいに洗い、よく流して、すぐに乾いた清潔なふきんで拭いておきましょう。生肉や生魚の汁が付着するなど、心配な場合は消毒しましょう。

③衛生管理にも役に立つ!冷凍・解凍テクニック

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離乳食の冷凍は時短に役立つテクニックでもありますが、衛生管理の面からも優れています。

冷凍すると、冷凍保存しているあいだは食材の栄養価が保存されます。

また、冷凍しているあいだは菌の増殖が止まるので、冷蔵保存に比べて食材を衛生的に長いあいだ保存することが可能です。

いつ使うか決めていなかったり、一度に使う消費量が少なかったりする食材については、冷蔵するより冷凍したほうが栄養をキープでき、衛生的なのです。

「冷凍すると食材の食感や味が悪くなる」というイメージがあるかもしれません。

しかし、それは冷凍方法が失敗しているから。
正しい方法で冷凍すれば、失敗を防ぐことができます。

食感が悪くなるのは、食材に合わない冷凍方法や、食品の管理不足/保存期間が長すぎることによる乾燥が原因です。
食材の特性や形状に応じた保存方法がそれぞれありますので、まずは保存前にインターネットなどで調べてみましょう。

味が悪くなるのは、食品が乾燥により酸化するためです。
食品を冷凍するときは乾燥を防ぐため、食材がなるべく空気に触れないようにしましょう。
たとえば、冷凍した食材を保存袋に入れる際はなるべく空気を抜きます。製氷皿型の容器で冷凍する場合は少量の出汁やスープと一緒に冷凍すると、乾燥を防ぐことができます。

解凍する際は、食品をしっかりと加熱しましょう。

冷凍しても菌は死滅するわけではなく、食品の温度が常温帯になると、再び増殖を始めます。

解凍する際には食品全体に火が通るように加熱して解凍しましょう。

火加減を見ながらまんべんなく食品全体を加熱ができる小鍋を使うのがいちばん良い加熱方法です。

電子レンジを使う場合は、ふんわりラップをかけ、「短時間加熱→混ぜる」を数回繰り返しましょう。電子レンジは特性上、どうしても加熱ムラができてしまいますが、混ぜながら加熱することで全体をならすことができます。また、ラップをすることで食材の水分の蒸発を防ぐことができます。

④衛生的に食べられる!市販品の活用

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冷凍することで食材を衛生的に保存できることをご紹介しましたが、それでも一般家庭で食品の衛生管理を徹底するのはなかなか大変です。

忙しいときや外出するとき、今日は疲れてしまったなと思う日には、衛生管理の行き届いた環境で製造された市販の離乳食を活用するとよいでしょう。

↓ パルシステム yumyumシリーズ

下処理済みの鮭や鶏ささみなど、離乳食作りの時短を叶える食材がいっぱい。国産の産直野菜を使用するなど、安心感もあります。

↓味千汐路 有機まるごとベビーフード

安心・安全にこだわったベビーフード。瓶詰めなので持ち運びにも便利です。

毎食市販品にしてしまうと、経済的な負担を感じる場合は、消費量の多い軟飯や赤ちゃんの好物などを手作りし、小分けにして冷凍しておくと良いでしょう。一方であまり頻繁に食べない料理や食材は市販品を活用すると、食材が余らず経済的です。

外出先で離乳食を与える場合は、手作り品よりも市販のお弁当タイプのものが衛生的でおすすめです。常温帯で持ち運ぶ際には、どうしても料理中の細菌や微生物が増殖しやすくなるので、常温保存可のレトルトや瓶詰など、加熱殺菌が万全なものが安心です。

赤ちゃんには事前に、持っていく予定の市販品と同じものを食べさせておくと、慣れないものを嫌がる心配がなく、安心です。

↓ 和光堂 栄養マルシェシリーズ

我が家も大変お世話になりました。長距離移動や旅行の際などに便利です。

↓ キューピー すまいるカップシリーズ

外出時に便利なカップタイプ。外箱がないので、省スペースで持ち歩きやすいですね。

離乳食の衛生管理は基本のルールを押さえたうえで、大変なときは(大変なことが多い時期ですよね)、冷凍テクニックや市販品を活用して手間抜きしていきましょう。

離乳食後期の進め方は無理せず衛生的に

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本記事では離乳食後期の進め方、気になる離乳食の衛生管理についてご紹介しました。進め方の流れ、衛生管理のポイントはつかんでいただけたでしょうか。

いよいよ赤ちゃんが自分の手を使って食事を始める離乳食後期。小さな手で食べ物を口に運ぶ姿は、本当に愛らしいものです。人手のあるときには、写真や動画の撮影準備をどうぞお忘れなく。

パパやママにとっては、3食の支度に加えて手づかみ食べの後片付けや掃除が必要になり、負担が大きく感じる時期かもしれません。

支度の時短については先述のように、取り分けや冷凍、市販品などの活用がおすすめです。片付けについては床にレジャーシートを敷くなど、事前の対策をしておきましょう。

赤ちゃんの成長スピードは親の想像以上に速く、このような手間もどんどん減っていきます。冷凍テクニックや市販品も使って手間抜きしながら、今しかない赤ちゃんとの時間を楽しんでくださいね。


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