明けない夜の鎮魂歌
どどどどどど…
どどどどどど…
ココとトコは布団のなか、薄暗がりでふたり天井を見上げている。
「水は何色?」
「水色だよ」
「空は何色?」
「そら色だよ」
「雨は?」
「…」
どどどどどど…
どどどどどど…
遠くから、地鳴りのような音が聞こえる。
それは、夜も昼も、ずっと、ずっと、どこからともなく鳴り続けている。
寝返りをうつトコの頬は少し汗ばんで、3本ほど髪の毛が張り付いている。明かりなどない室内は、夜だというのに薄明るい、窓の外がずっとずっと、ぼんやりとオレンジに照らされているからだ。
ココは目をこするが、ずっと天井を見つめている。いや、目を開けても、閉じても、続くのは闇とオレンジのグラデーションだけなのだが。
どどどどどど…
どどどどどど…
地鳴りのような音は、いつ始まり、どこで誰が、あるいは何が理由で発せられているのかわからないまま、ずっとずっと、続いている。
やがてふたりとも、重苦しくじっとりと生温かい眠りに落ちていく。
どどどどどど…
どどどどどど…
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