シン・ノアの方舟計画Part1(ムーンショット目標とオメガポイント)
オープニング
今回の記事はマガジン「意識」と「アトランティス文明」を総括した内容になります。一見、別のテーマを扱っているかのように見えますが、どちらも『人類進化』に深く関わります。
この記事を読んだ後、もっと詳しく知りたくなった方、その好奇心、大切にしてください!より詳しい情報は、リンク先のマガジンをご覧ください。無料部分でも十分お楽しみいただける内容となっています。
ムーンショットの起源は、1961年にアメリカ合衆国のジョン・F・ケネディ大統領が発表した「アポロ計画」に由来します。
その後、ビジネスや技術開発の分野でも広く使われるようになり、2016年にはApple社の元CEOであるジョン・スカリー氏が「ムーンショット」の中で「将来を描く、斬新で困難だが、実現によって大きなインパクトが与えられる、壮大な目標・挑戦」と定義づけています。
現在では、特にシリコンバレーのIT企業を中心に、革新的なイノベーションを目指す取り組みを表す言葉として頻繁に使用されます。
mRNA新型コロナワクチン開発の舞台裏をまとめたファイザーCEOアルバート・プーラ氏の著書が「ムーンショット」であることも、余計「ムーンショット目標」に不気味さを与えるきっかけになっていると思います。
世界のムーンショット目標
世界各国が類似の野心的な目標を設定しています。アメリカのNASAによるアルテミス計画や、EUのHorizon Europeプログラムなどが挙げられます。これらの目標は、グローバルな課題解決と技術革新の促進を目指しています。
アメリカ:NASAのアルテミス計画が代表的なムーンショット目標の一つです。この計画は、2024年までに人類を再び月面に送り、その後の火星探査につなげることを目指しています。
欧州連合(EU):Horizon Europeプログラムの一環として、気候変動対策や癌研究などの分野で野心的な目標を設定しています。
中国:「中国製造2025」計画では、先端技術分野での世界的リーダーシップを目指す長期目標を掲げています。
イギリス:英国研究・イノベーション機構(UKRI)が、気候変動対策や高齢化社会への対応など、社会的課題の解決に向けた長期的な研究開発目標を設定しています。
オーストラリア:Commonwealth Scientific and Industrial Research Organisation (CSIRO)が、持続可能な未来に向けた長期的な科学技術目標を設定しています。
日本のムーンショット目標
日本のムーンショット目標は、内閣府が2020年に設定した9つの目標です(現在は10)。これらの目標は、2050年までに達成することを目指しており、人々の幸福(Human Well-being)の実現を最終的な目的としています。日本のムーンショット目標の特徴は以下の通りです。
2050年までに身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現
2050年までに早期に疾患の予測・予防をすることができる社会を実現
2050年までにAIとロボットの共進化により、自ら学習・行動する人と共生するロボットを実現
2050年までに地球環境再生に向けた持続可能な資源循環を実現
2050年までに未利用の生物機能等のフル活用により、地球規模でムリ・ムダのない持続的な食料供給産業を創出
2050年までに経済・産業・安全保障を飛躍的に発展させる汎用量子コンピュータを実現
2040年までに主要疾患を予防・克服し100歳まで健康不安なく人生を楽しむためのサステイナブルな医療・介護システムを実現
2040年までに激化しつつある台風や豪雨を制御し、水害の脅威から解放された安全安心な社会を実現
2050年までに心の安らぎや活力を増大することで、精神的に豊かで躍動的な社会を実現
2050年までにフュージョンエネルギーの多面的な活用により、地球環境と調和し、資源制約から解き放たれた活力ある社会を実現
新たに「目標10」が追加されています。フュージョンエネルギーは、軽い原子核同士(重水素、三重水素)が融合して別の原子核(ヘリウム)に代わる際に放出されるエネルギーのことをいいます。いわゆる「核融合」です。
ここから、人類の進化と能力拡張、科学と精神性の融合、全体性と統合といった観点から、ムーンショットの目標につながるアイデアの原点になったと思われる人物に焦点を当てていきます。
ピエール・テイヤール・ド・シャルダン
ピエール・テイヤール・ド・シャルダン(1881-1955)は、フランス人イエズス会士、古生物学者、地質学者というマルチプレイヤーで、名前に「ド」が付く名門貴族出身です。シャルダンの主な業績を要約すると以下のとおりです。
北京原人の発見に参加
オメガ点(オメガポイント)という進化論的な概念を提唱
ウラジーミル・ヴェルナツキーと「ヌースフィア」の概念の構築
進化論と科学をキリスト教思想と融合
シャルダンの思想は生前、カトリック教会から異端視されましたが、死後、幅広い分野に影響を与え、高く評価されるようになりました。
彼の業績は科学と宗教の統合を目指した独自の進化論的世界観の構築と、それに基づく人類の未来像の提示にあると認められます。
ヌースフィア
ヌースフィア(ノウアスフィア)は、ソ連(現:ウクライナ)の生物地球化学者ウラジーミル・ヴェルナツキーとフランスのイエズス会司祭ピエール・テイヤール・ド・シャルダンによって提唱された概念です。
定義:ヌースフィアは「理知の球」(sphere of reason)と説明され、生物圏(バイオスフィア)の新たな発展段階を意味する。
語源:ギリシャ語のνοῦς(精神・理性)とσφαῖρα(球・空間)に由来。
進化の最高段階:ヌースフィアは生物圏の最高段階を表し、人類の理性的な活動の発展がその定義要因であるとしている。
二つの異なる概念:ヴェルナツキーの理論では、ヌースフィアは地球の発展の第三段階であり、無生物の地層(ジオスフィア)と生物の地層(バイオスフィア)に続く。
人類の役割: ヌースフィアは、人間の理性と科学的思想が結合して進化の新たな地層を生み出すという共通の命題を持っている。
つまり、ヌースフィアの概念は人類の知性と科学的思考が地球の進化を重視し、人間の精神活動を地球規模の現象として捉える視点をもたらします。
さらに現代ではインターネットやグローバルな情報ネットワークの発展により、ヌースフィアが具体的な形で実現しつつあると解釈されています。
これらのネットワークを通じて人類の知識や思考が地球規模で共有され、新たな知的進化を遂げる可能性を示唆しています。
また、シャルダンは人類の意識が相互作用を通じて、より高度な統合と統一に向かって成長していくと指摘しています。具体的にシャルダンの思想を取り上げます。
オメガポイント
シャルダンが提唱する「オメガポイント」は、進化論とキリスト教思想を融合させようとする試みの一部であり、科学的な進化の考えと宗教的な救済の概念を結びつけるものです。
シャルダンの進化論的思想はカトリック教会から批判を受け、1962年に信仰教義部会はシャルダンの著作の出版を禁じました。
しかし、イエズス会出身のフランシスコ教皇も回勅『Laudato si'』の中でシャルダンの終末論的な貢献に言及し、前ローマ教皇ベネディクト16世も肯定的なコメントを残しています。
シャルダンのこのビジョンは、科学的な進化論とキリスト教的な終末論を融合させた独特の思想であり、20世紀の宗教哲学に属していました。さらに深掘りしていきます。
進化の究極点
進化の方向性:これがオメガポイント。宇宙と人類の進化の最終目標として設定することで、進化のプロセス全体に方向性が与えられる。
意識の統合:オメガ点に向かって個々の意識が徐々に統合されていく。「内的集中」と呼ばれるプロセスで意識の密度が増していくことを示す。
意識の増大:オメガポイントを動かす中心軸として「意識の法則=複雑性」を提唱。複雑性が増す一方、意識も高まっていくという思想。
統一への指向:オメガポイントの存在が思考や意識を「一つになる」方向へ導くと提唱。個々の意識が統合されていく過程を示す。「すべてをうちに包みこむ」一点と進化の全行程を通じて目指してきた終極の一点。
神の中心としての機能:神の中心:オメガ点は「内的集中」の神の中心であり、宗教的にはキリストと同一視されている。これは進化の最終段階が神性と一体化することを示唆。
未来への指向性:オメガ点は現在ではなく未来に達成されるものと未来への指向性が現在の意識の進化を促進する要因となる。
オメガポイントの進化の最終目標として機能しながら、同時に意識の統合と高度化を促進する軸として働くとシャルダンは考えました。ただし、この概念は科学的というよりも哲学的・神学的な性質が強いです。
このようにオメガポイントは、意識の最高度の統合、複雑性の極致、宇宙の目的の達成、神性との一体化、人類の完全な統一、そしてすべてを包含する点として描画しており、これらの要素が組み合わさって「進化の究極点」として位置づけを与えています。
このシャルダンの思想を基盤として、さらに発展させ、科学的な観点から新たな理論を展開した重要な人物がいます。
ここから先は
¥ 500
私の人生、みなさまの良心で成り立っております。私に「工作費」ではなく、「生活費」をご支援ください🥷