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サイバー戦争

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サイバー戦争はハイブリッド戦争の中核的な要素として、従来の軍事行動を補完し、WhereWare に代わる手段となっています。特に「プロパガンダ」「誤情報」「フェイクニュース」など…
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記事一覧

宣伝省と真理省(勧善懲悪と犯人探し本能)

オープニング 「正義の味方」と「悪役」。私たちは幼い頃からこの単純な二項対立に慣れ親しんできました。しかし現実世界は、それほど単純ではありません。  日常生活で何かうまくいかないことがあると、私たちは「誰か(社会)のせいだ!」と考えがちで、それは一時的な慰めにしかなりません。そんな二項対立や二者択一に潜む「思考の悪いクセ」を取り上げます。 勧善懲悪  「勧善懲悪」という概念は、アニメや映画、特にスーパーヒーロー作品のストーリー展開に頻繁に用いられ、特に日本は、この分

思想の断層(グローバリズムとナショナリズム)

オープニング 小泉政権からの継続的なグローバリズムは、「官から民へ」のスローガンのもと、規制緩和や民営化を推進し、国際競争力の強化を目指しましたが、実態は「国益の売却」や「国力の低下」を招く政策ばかりでした。  日米同盟を重視した外交政策を展開し、グローバル化に対応する市場原理主義と構造改革を柱とする新自由主義政策を特徴としています。そのベースとなった政策は何だったのでしょうか? ワシントン・コンセンサス ワシントンコンセンサスとは、ワシントンを本拠にしているアメリカ

情報戦と認知戦(プロパガンダとアジテーション)

オープニング サイバー戦におけるプロパガンダは、従来の戦争とは異なり、認知領域を標的とする新たな脅威となっています。  この脅威に対処するためには、政府レベルでの対策だけでなく、市民一人ひとりが情報を精査し、俯瞰する能力を身につける必要があります。はじめに「情報戦」と「認知戦」の特徴を順番に追っていきます。 情報戦 情報戦は平時や戦時において、情報面で優位な状況をとるために国家レベルで活動を行い、物理的な戦闘だけでなく認知領域にも影響を与えます。  これは、敵の指導

洞窟の比喩(メディア戦略)

オープニングで始まる動画の主人公プラトン。プラトンの「イデア論」は、現実世界を超越した真理の探求や理想と現実の関係性について考察する基礎となる哲学的概念で、「イデア」とは永遠不変で完全な本質や理想形のことを指します。  プラトンは、現実世界に存在する個々の物は、イデアの不完全な模倣や影にすぎないとし、イデアは感覚では捉えられず、純粋な理性的思考によってのみ認識できると説いています。  また、すべてのイデアの頂点に「善のイデア」があり、これが他のイデアを照らし出す太陽の