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「進撃の巨人」最終回 : ニューヨークタイムズの作者インタビューを読んで

※ネタバレを含みますので、ご覧になっていない方はご注意を。

世界中で話題になりましたね、アニメ「進撃の巨人」の完結編。
神ストーリー、神作画、神アフレコ、神音楽全てが神でした(キラキラ)
進撃に関してはにわかファンがレビューするな!と言われてしまいそうなぐらい素晴らしい解説や分析をされる方々がいらっしゃるので、あくまで進撃素人の私個人の視点から、の感想をここでは述べさせていただきますね。

■11月5日付  ニューヨークタイムズに掲載されたインタビュー

「進撃の巨人」ってあれだけの長い年月をかけて完結したものの、終わり方に関しては賛否両論ありましたよね。でも、私としては単なる理想論では終わらせずにあのバッドすぎるエンドを貫いた諌山先生の潔さと、進撃らしさというのものが首尾一貫していて逆に清々しさすら感じられました。
テレビで放送を見終わったあと、海外を含むさまざまなリアクターの反応やコメント等を見ていて、ふと諌山先生の真意を知りたくなったんですよね。それで、検索をかけていたところ、たまたまニューヨークタイムズでインタビュー記事が掲載されていたのを見つけたんです。そしてそれを読んで
さらに「ああ、なるほどなあ….」と腹落ちすることが出来たので、その事について書こうと思います。

‘Attack on Titan’ Ends How Its Creator Always Envisioned ( "進撃の巨人" 作者が思い描いた結末を迎える)


以下一部抜粋です ( 簡易英文翻訳 )

この漫画が2021年に終了して以来、エレンの敵対的な展開や物語の結末が何を意味するかについて多くの憶測や議論が行われてきた。最終話の公開に先立ち、マンガ作者の諫山創氏が通訳のデヴィッド・ヒグビーを通して、文章の制約と物語の暗い結末について語った。これらはインタビューからの抜粋を編集したものです。

Q : 漫画は数年前に終了し、アニメは今終了したばかりです。物語が終わりに近づいていることについてどう思いますか?

諌山先生:このアニメが制作され、日本の国境を越えて世界中の視聴者に届けられることは、私にとってとても幸せな出来事です。ある意味、『進撃の巨人』が私と世界を繋いでくれたので、それがとても嬉しかったです。

ニューヨークタイムズ 2023.11.5付 インタビュー記事より


Q : 最初に"進撃の巨人"を描き始めた時、マンガの結末をどこまで想像していましたか?そしてどれぐらい途中で変化しましたか?

結末は最初からほぼ存在していて、被害者の立場から始まり、その後ストーリーを経て攻撃者の立場になるという物語で、私が最初から念頭に置いていたことです。途中で、ストーリーの特定の側面が期待通りに進まなかったので、特定の側面を調整して肉付けしました。でも物語の結末はあまり変わらなかったと思います。

Q : エレンはアニメの最終話で、自分が見た未来に従うしかなかった、始祖の巨人の力の前には無力だったと語っています。アルミンはそれは本当に自由なのかとさえ尋ねる。彼は真実を語っていたのでしょうか、それともこれは彼が言い訳を言っていると思いますか?

実は、エレンの状況はある意味でこの漫画の私自身の物語と重なっています。このシリーズを始めたときは、もしかしたら打ち切りになってしまうのではないかと心配していました。誰も知らない作品でした。しかし、私はすでに結末を念頭に置いて物語を始めていました。そしてその物語は、信じられないほど多くの人に読まれ、見られることになり、自分にとっては納得のいかない大きな力を与えられることになりました。

結末を変えれば良かったんだと思います。漫画を書くことは自由であるはずなので。完全に自由だったら結末も変えられるはずでした。変えて、別の方向に進みたいと言うことができました。しかし実際には、私は若い頃に思い描いていたものに縛られていました。それで、エレンが手に入れた巨大な力が最終的に彼を制限することになったのと同じように、漫画は私にとって非常に制限的な芸術形式になりました。

Q : この漫画は、パラディ島の未来と、戦争のサイクルが続くことを示すところで終わります。あなたが物語の中で提示する戦争とその繰り返しには終わりがないのでしょうか?

ハッピーエンドで戦争が終わり、すべてが順調で素晴らしいという結末もあったのではないかと思います。それは可能だったかもしれない。ただそれは同時に、戦いの終わりや争いの終わり自体が、なんだか陳腐に思えて信じられないような気がします。私たちが今生きている世界ではそれはあり得ません。それで悲しいことですが、私はそのようなハッピーエンドをあきらめなければなりませんでした。

いかがでしょうか?
(掲載記事を読まれたい場合は、こちらをご覧ください。)

あの最終話にいたった経緯には、諌山先生ご本人を取り巻く環境の変化といものが色濃く反映されていたんですね。
だからこそストーリー後半は常に主人公エレンの行動が予測不能な、何かに取り憑かれたような不穏な空気がずっと漂っていなのかもしれません。ただ、それが妙なリアル感を醸成していた気もします。主人公エレンが経験していたこと、それはある意味 諌山先生自身が経験していたことだったんでしょう。

これはあくまで私が感じたことですが、「進撃の巨人」全編を通して、
ものすごく印象に残った言葉があって、それがこの言葉なのですが….

森から(命の奪い合いを続ける)出るんだ、出られなくても出ようとし続けるんだ… 

111話「森の子ら」より

ニコロというマーレ人の青年が恋人のサシャを殺され悲しみに暮れながらも、殺した相手ガビに伝えたセリフです。
これを聞いた瞬間から、ものすごく強いメッセージとして私の脳裏に焼き付いたのですが最終話を見終わった今、あらためて諌山先生が置かれていた状況や今まさに私たちが世の中に対して感じているへのメッセージであることを知り、より納得ができました。

■さいごに….

人類の存亡を描いた「進撃の巨人」というダークファンタジーの物語は、決して空想の世界だけにとどまらず作者である諌山先生自身や、混沌とした現代の社会を反映するもう一つのパラレルワールドなのかもしれません。それ故世界中から長年に渡り熱い注目を浴び続けている名作なんでしょうね。







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