出産の不安についてまとめる - 先天性疾患の発症率

2021年11月の中頃でしょうか、先妻が妊娠していることがわかりました。胎児が順調に育てば2022年7月に出産の予定であり、今は9週目に入ったところらしいです。嬉しいことですね。妻から妊娠を伝えられた際には思わず拍手していました。

嬉しいのですが、同時に不安が頭をよぎります。出産時には妻は33歳、私は36歳になっています。いわゆる高齢出産には該当しませんが、20代での出産と比べれば子供が先天性疾患を持っている可能性が高くなります。このわずかな差が私達を不安に陥れているのです。

そのため情報の整理や忘備録を兼ねてこの記事を作成することにしました。

できるかぎり出典を記載するようにしていますが、いかんせん私は素人なので正確ではない情報が混ざる可能性があります。気になることがあれば指摘していただくか、信頼できる情報源や先生に確認してください。また、妻が通っている婦人科の先生と直接話した際の情報も記載していますが、巻き込むつもりはないので具体的な情報は伏せさせていただきます。こちらについても正確な情報が知りたい場合には信頼できる先生に伺ってみてください。

私は何が不安なのか

最初は「出生前診断」についてがむしゃらに調べていたのですが、ふと気づきました。

そもそも何が不安なのだろうか、と。

がむしゃらに調べても下手をすると不安が増すばかりです。まずは不安な要素を洗い出し、各要素に対してどのような選択肢が存在し、未来が待っているのかを考えたほうが将来の見通しが立てやすくなるのではないでしょうか?

改めて考えてみたところ、私が感じている不安な要素は次のようなもので構成されているように思いました。

  • 子供が障害を抱えて生まれてくるのではないかという不安

    • 先天性疾患の発生率

    • 出生前診断について

  • 子供が障害を抱えていた場合に時間的に生活ができるのだろうかという不安

    • 障害児の子育てと進学

    • 障害を抱える人の就職

  • 子供が障害を抱えていた場合に経済的に生活ができるのだろうかという不安

    • 家庭の収支の変化

    • 障害児への助成金

  • 子供が障害を抱えていた場合に実際にどのような苦労が待ち構えているのかわからないという不安

    • 障害児を出産した家族の体験談

それぞれについて情報を集めてみようとおもうのですが、記事が膨大なりそうなので1つずつ記事にしてみようかと思います。書いてる途中で項目が変わる可能性もあります。途中で飽きる可能性も否定できません。

先天性疾患の発生率

先天性疾患の発症率と染色体異常の確率

私は最初は出生前診断について調べていたのですが、そもそも「出生前診断」とは何なのでしょうかか?私が理解するところでは、出産する前に胎児が障害を抱えているのかどうかを判断しようという試みだと思っています。調べてみると検査と専門医の診断まで含めて出生前診断と言うようです。

ここで出生前診断の話に進む前に、もっと根本的なことに立ち返ってみましょう。診断をするということは新生児が障害を抱えているかどうかを判断するということです。診断をする先には新生児が障害を抱えているかどうか、という問題があるわけで、つまり新生児が何かしらの疾患を抱えている確率がどれぐらいあるのかを調べてみます。

探してみると次のような資料が見つかりました。

先天性疾患とは、もって生まれたかたちや機能の違いで、出生児の 3~5%は何らかの疾患をもって生まれてくるといわれています。そのうち、命を脅かしたり日常生活に支障が生じるようなものは 1~2%にみられます。

先天性疾患と出生前診断
2016 年 10 月 群馬県立小児医療センター総合周産期母子医療センター産科

3~5%というのは想定していたよりも高いかな?というのが私個人の印象です。ただし「命を脅かしたり日常生活に支障が生じるようなものは 1~2%」とも書かれています。先天性疾患を抱えつつも日常生活に支障がないこともあるわけですね。

また、先天性疾患の原因についても記載されている資料がありました。

先天性疾患の原因と染色体疾患の割合
出生前診断を検討しているご夫婦へ   あいち小児保健医療総合センター 産科 2021.5 第 4 版
をもとに著者が作成

グラフが上手く作れなかったので補足します。

  • 左のグラフ

    • 先天性疾患をもって生まれてくる確率が3~5%

  • 中央のグラフ

    • 先天性疾患(3~5%)の原因の内訳 

  • 右のグラフ

    • 先天性疾患(3~5%)の原因が染色体異常(3~5%の更に25%)だった場合の内訳

ここまで調べてすこし驚きました。(この記事では深堀りしないのですが)出生前診断というのは基本的に染色体について検査と診断を行います。しかし上のグラフで分かる通り染色体異常というのは先天性疾患の原因の25%に過ぎません。つまり先天性疾患の残りの75%については調べようがないのです。妻がお世話になっている先生曰く、出生前診断で検査できる染色体異常は全体の5%程度とのことでした。

上記のグラフからは、ダウン症の発症率はおよそ0.39% ~ 0.65%と言えそうです(3~5% × 25% × 52%)。他の主要な先天性疾患の発症率はどの程度なのでしょうか?いくつかの資料をまとめて表にしたのが次の画像です。

表の上位5件は 北海道大学 環境健康科学研究教育センター 先天異常の発生状況 から
母体年齢33際のダウン症の確率は 先天性疾患と出生前診断2016 年 10 月 群馬県立小児医療センター総合周産期母子医療センター産科 から
自閉スペクトラム症に関しては e-ヘルスネット ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)について から
それぞれ引用

ダウン症の発症率について資料ごとにブレがありますね。上の円グラフでは0.39% ~ 0.65%と計算できましたが、こちらの資料では0.13%となっています。母体年齢が33歳になると0.18%と発症率が上がるため、感覚的には大きくは間違っていないようにも思います。
またこちらの資料ではダウン症よりも人数が多い疾患として「心室中隔欠損症」と「滞留精巣・非触知精巣」が記載されていました。さらに「口唇口蓋裂」、「多指症」と続いています。「心室中隔欠損症」と「滞留精巣・非触知精巣」については出生後1歳ごろまでに自然治癒することもあるようです。症状によりけりですが、手術によって治療することもあるそうです。「口唇口蓋裂」と「多指症」についても手術によって治療を行うようです。
個人的に注目する疾患として、e-ヘルスネット(厚生労働省)によれば自閉スペクトラム症は人口の1%程度にい及んでいるそうです。他の疾患と比べると比率が多いですね。ただし、自閉スペクトラム症は他の疾患のように外見に特徴がないため発見が遅れることや、そもそも本人の自覚がないことも多々あるようです。

確率としてはダウン症よりも高い発症率の疾患があるものの、個人的にはダウン症のほうが注目されがちな印象があります。おそらくはダウン症には根本的な治療方法がないからでしょう。根本的な治療方法が存在しないという点では自閉スペクトラム症も同様ですが、そもそも原因がわからず出生前の診断もできないこと、また症状に気づかず日常生活を送っている人も多くいるため注目度は低いのかなと思います。子供がダウン症であった場合には日常生活への影響に直結する可能性が高いため、出生前診断の主な診断対象となっているのでしょう。

ダウン症と18/13トミソリーの出産リスク

実際に出産に至る胎児の数については次のような資料がありました。

先天性疾患と出生前診断
2016 年 10 月 群馬県立小児医療センター総合周産期母子医療センター産科

から引用

画像が見づらい場合はリンク先の出典元を参照してください。母体年齢 + 経過週数ごとに21/18/13トミソリーの推定リスク(表中の人数人あたり1人)が記載されているようです。

私の妻の場合は出産時に33歳なので母体年齢の33から横の数値を見ます。
ダウン症のリスクは12週の段階では383人に1人(およそ0.3%)ですが、40週の段階では547人に1人(およそ0.2%)に下がります。経過週数が伸びるとリスクが下がるのは途中で流産してしまうためだと思われます。

分娩時のリスクについては40週と大差ないと考えて良さそうです。

1%を大きく切っている数値を大きいとみなすか小さいとみなすか。ソシャゲのガチャで排出率1.5%のSSRを追い求めて何百回も回すことを考えれば低いような気もしてくるし、年末ジャンボ1等賞が2000万分の1と聞くと547人に1人は多いような気もしてきますね。

染色体異常の中でダウン症が多い理由

先のグラフや表を見ると染色体疾患のなかでもダウン症候群が突出しているように見えます。なぜダウン症だけが突出するのでしょうか?調べてみると個人的に興味深い資料がありました。

ヒト受精胚等へのゲノム編集技術等を用いる研究に関する合同会議(第2回)の中の
先天性/遺伝性疾患の研究・診療の立場から(松原洋一参考人提出資料)」から引用

染色体とは人間の体を作り上げるための設計図のようなものです。胎児が遺伝子疾患を抱えていた場合には上手く体を作り上げることができないために、ほとんどの場合で流産となってしまいます。グラフを見ると13トミソリー(13番の染色体に異常がある)などは妊娠11週あたりでガクッと生存率が下がっています。

一方で21トミソリー(ダウン症: 21番の染色体に異常がある)は比較的生存率が高い状態を維持しています。これは、21番の染色体は体を作り上げるための情報をあまり持っていないためです。そのため、体を上手く作れないなりにも出産まで生き残る子がいるのだそうです。

これが先天性疾患を抱える新生児の中でダウン症の割合が大きな理由となるようです。

まとめ

この記事では出産時に子供が先天性疾患を抱えている可能性について調査をしてみました。

出生時に新生児が先天性疾患を抱えている比率は3~5%程度、日常生活に支障がある可能性は1~3%程度と言われているようです。

先天性疾患の中でも主要な疾患としては心室中隔欠損症やダウン症、多指症などがありました。上位の他の疾患には治療方法が存在している中でダウン症だけは治療方法がありません。この特徴は自閉スペクトラム症とも類似性があります。

また、染色体異常の疾患ごとの出生数なども紹介しました。母体年齢が上がると疾患を持つ新生児の出生数が増える傾向にあります。染色体異常を持つ胎児は多くの場合流産となってしまうのですが、最も短い染色体である21番に異常のある胎児は出生までたどり着く確率が高いということも紹介しました。

次回は出生前診断についてまとめてみます。

まとめました: 出産の不安についてまとめる - 出生前診断について

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