0歳からの頭のかたちクリニック東京で金・土・日曜外来を担当している形成外科医の梶田です。
私は慶應義塾大学の理工学研究科にも籍をおき、医用画像の解析に関する研究にも携わっています。
近年のAI技術の発展には目覚ましいものがあります。あたまの形の診療に関しても、いろいろなAI技術が用いられた報告や論文が見られるようになりました。今回は、話題のChat-GPTに、赤ちゃんの頭の形に関する質問をしてみました。
多くの人の参考になるよう、無料の Default (GPT-3.5) を使用しました。なお調査は2023年9月8日に行いました。
まずは、AIに医療に関する内容を質問する際の一般的な注意事項を確認してみます。
かなり適切な内容が返ってきました。ネットで収集した情報を信じ込むよりも、個別の状況を踏まえた信頼のおける専門医の判断を仰ぐほうが良さそうですね。
次に赤ちゃんの頭の形について聞いてみます。色々なトピックが考えられますが、今回は包括的に以下の質問を投げてみました。
すごいですね。
悪くないですが、専門医として気になる点があるので補足したいと思います。
1. 定期的なフォローアップ:これはいわゆる乳児健診では不十分な可能性があります。健診の医師は必ずしも頭蓋変形に精通しているわけではありません。健診での相談後、少しでも不安が残るようでしたら、早急に乳児の頭蓋変形に詳しい専門医にも相談したほうが無難だと思います。
2. タイミングを考慮:これは「軽度の頭蓋変形」に限った内容です。中等度から重症の変形の場合、自然に改善する可能性は小さくなります。赤ちゃんの変形が「軽度」なのかそうでないのか、専門医でないと判断は難しい場合があります。ヘルメット療法を行う場合、タイミングが遅くなるにつれて治療効果が小さくなってしまいますので、なるべく早めに受診していただいたほうが良いです。
6. ストレッチとマッサージ:私自身はストレッチやマッサージの効果に関する知見がありませんので、肯定も否定もできません。国内には赤ちゃんの頭蓋変形に対する施術を行う治療院があるようですが、「医師の指導のもとで」施術が行われているのか、注意が必要かもしれません。
7. サポートグループ:他の保護者と情報を共有することは素敵ですが、赤ちゃん一人一人の性格や変形の状況は個別に異なりますので、他の保護者の経験がご自身のお子さんにも当てはまるとは限りません。また顔の見えない他の保護者の情報を鵜呑みにして事態が良くならなかったとしても、誰も責任を取ってくれません。
他にも気になることを質問すれば、Chat-GPTはいくらでも答えてくれます。しかしその回答は、一人一人によって異なる背景や状況を反映したものでは無いと思います。もし不安や質問があるようでしたら、数多くの赤ちゃんの診療に携わった経験をもった信頼のおける医師に相談し、お子さんの状況に合った的確なアドバイスをもらったほうが良いと思います。
私たちは、頭のかたちクリニックの専門医として、一人一人の赤ちゃんの未来を良いものにすべく、今後もAIに負けない価値が提供できるよう、精進してまいります。ぜひお気軽にご来院ください。
東京クリニック 医師 梶田 大樹