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スターフォース【空中地上1元ショット】

1984 テーカン(現テクモ)

●強制縦スクロール●一元ショット●ショット速度パワーアップ●横スクロール●連射を前提にした隠しボーナス●ループマップ点数制●敵弾速度変化

ゼビウスの系譜から大きな枝を派生させた重要な作品です。

その最も大きな発明は、単一ショットで空中と地上物を問わずに破壊出来るシステムでしょう。

ゼビウスの特徴である空中地上への撃ち分けシステムの呪縛が解かれた瞬間でもあります。云うなればゼビウスが提唱したリアルな世界観を、ゲーム的な楽しさを優先させる事で反古にしたシステムの発明とも受け取れます。

本作の開発コンセプトは「爽快感」がメインであったと考えます。

もちろんゼビウスにも高い爽快感は用意されていました。主に空中物を破壊した時に発する絵と音のエフェクトがそれを作り出しています。

これに地上物の破壊が加わる事で独自とも云えるゲーム性が形成されている事に疑いを持ちません。

しかし地上物を破壊するには、対地ブラスターが連射出来ない為に狙い澄ませた射撃テクニックと地形の暗記が必要とされていました。ここにあるものは爽快感ではなく充実感と云う到達を意識させるゲーム性であり、今迄のゲームでは使う事のなかった脳を刺激する複雑さであったと思われます。

ゼビウスのこれまでに類を見ない知的で優れたゲーム性は多くの人を虜にしましたが、複雑を許容出来なかった多くの落伍者も生んでしまいました。ゼビウスが発表された後もロングヒットを続けた同社のギャラガに私は「保守と救済」の文字を読みとります。

ここまでに現れたゼビウス亜流作品の多くは、その世界観までも模倣しようとして出来なかった駄作と云えるものが殆どを占めています。

グラフィックやサウンド、衝撃的なボスキャラ、理不尽な隠れキャラがゼビウスの全てだと思われていたのでしょうが、ゼビウスを名作たらしめていたのは、複雑がもたらした脳の開発だと考えます。これが為に表層にある不思議要素がそれこそ倍加してユーザーに迫って来ていたのではないでしょうか?

スターフォースの開発者がどの程度に於いて研究分析していたのかは想像も出来ないのですが、ゼビウスの魅力であった一大要素を放擲してしまった事に変わりはありません。だからこそ「爽快感」を充実させる事に腐心し得たのです。

スターフォースの自機は舞台となる浮遊大陸の上を低空で飛行しているように見えます。ここに単一ショットで空中地上の敵を破壊出来る工夫を見る事も出来ます。絵としての矛盾をなるべく取り除こうとした結果なのだと思います。

ゼビウスの空中物は5機程度からなる1編隊で飛来して来ますが、スターフォースはその倍以上の数量で1編隊を形成しています。地上物を含まずとも敵を破壊するゲーム性を入手させる為です。

また敵のアルゴリズムも多彩であり物理法則からの矛盾を提供しません。そして爽快感を与える為にゼビウスのような賢明を所持しないのが特徴となります(簡単に云えば倒される為に出現するキャラとなっている)

地上物が破壊ポイント2点、空中物は1点となっており、これが100点に到達すると面ボスが出現します。地上物に重要度を与えているのは、ゼビウスのレーダーであるゾルバクの名残とも取れるでしょう。ここにゼビウス研究のあとを見出す事も出来ます。

隠し要素も多くあるのですが、これはゼビウスの系譜として見れば当然の部分だと云えるでしょう。極端に複雑なものでないのがシンプルなゲームシステムに上手く合致しています。

現在に分析するとスターフォースは縦スクロールSTGと云う分野に於いて重要な作品とする事が出来ます。しかし当時のゲームセンターではそれほどヒットした作品ではなかった事実も提供します。シンプルで誰にでもプレイ出来る内容、当時群を抜いて素晴らしかったグラフィック、決して不出来ではないサウンド、そして何よりも考えられた爽快感……。出荷台数が少なかった負があるにせよ思ったほどの結果を入手していません。

スターフォースが評価されるのは後年ハドソンによりファミコンへと移植された事が切っ掛けです。しかし高橋名人と云うカリスマの影に隠れてゲームシステムの評価は行われませんでした。連射ゲームと云う印象が現在に残るのみです。

しかし、この部分にスターフォースがアーケードの名作となれなかった原因の一端があるようにも思えます。

そして直後に発表されたカプコンの1942がスターフォースが本来得られた筈の評価とインカムを根こそぎ奪ってしまう事となるのです。

→亜流

2006.02.02

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