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ビジランテ【グラフィックスの進化と内容の退化】

1988年にアイレムから発売されたビデオゲームです。

スパルタンXの続編と云う位置付けで発表された作品なのですが、オペレーターからもユーザーにも支持を得られず短命で終わる事となりました。

内容はまさしくスパルタンXを踏襲したものとなっています。しかし残念な事にゲーム性が退化しているのです。

スパルタンXは発売以後様々な亜流ゲームを生み続けました。システムはそのままにアクション性を高めたコナミの「グリーベレー」などを始めとして、ハードの性能が上がるとシステムまでも発展させたカプコンの「魔界村」のような新機軸まで生み出して行ったのです。

発明者であるアイレムはその間まったく進展もなく拱手していたかのようでした。そうして'87年に「R-TYPE」を発売し爆発的なヒット作品とすると、その企画者を中心として斬新な良作を幾つも発表し始めました。アイレムの最盛期です。

当然の如くアイレム作品の需要がオペレーター側とユーザーから高まりました。そんな中にあって過去最大のヒット作であるスパルタンXの続編が企画されたのではないでしょうか。

しかし出来上がったゲームは無惨なものでした。見るべきところは中間色をレンダリングのように使用したセンスのあるグラフィックのみで、オリジナルにあったゲーム的な戦略性と爽快感は皆無に等しい出来映えとなってしまいました。

ゲームと云うものは先ず紙の上で企画として立案されます。ビジランテの場合はスパルタンXのシステムで、主人公にアイテムであるヌンチャクを持たせてパワーアップさせよう、敵キャラクターの種類も豊富にして様々な動きを加えよう…などと進行して行ったと考えられます。

しかし、これは云って見れば蛇足を増やす為だけに行われた企画だったのではないでしょうか。

企画者がスパルタンXが本来持っていたシステム上の利点を理解していないばかりに、その良い部分を消化せずに消火してしまったのです。

現在のゲーム開発はプロデューサーシステムが確立されているので、企画者の方向を矯正し本来の道を指し示してあげる事も出来るのですが、当時はまだ企画者がゲームデザインとプロデューサーの役割を担っていたと思われます。個人的にはプロデューサー主体の開発には懐疑する部分もあるのですが、一般的に見れば機能する事を前提として必要な開発システムだと考えられます。

アイレムには「R-TYPE」を企画した優秀なゲームデザイナーが存在していましたが、'80年後半以降ヒット作を量産するまでには至りませんでした。ここに一人優秀なプロデューサーが開発を操舵していれば結果も変わっていたのではないでしょうか。

話が逸れてしまった感もありますが、「ビジランテ」他の改悪された続編を遊ぶ度にこのような所感を持ってしまいます。

最後に上の写真は最終面のボスなのですが、妙に股間がもっこりしているのが気になりますね。

2004.10.21

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