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バブルボブル【画期的・日本語フォントの導入】

1986年にタイトーから発表されたビデオゲームです。

アクションパズル物の最高峰にして最大のヒット作品となったMTJ氏の出世作です。

この作品はゲームシステムの完成度が抜きん出て優れているばかりか、ゲームとしての楽しさに充ち満ちています。その上にポップなグラフィックとルールの分かり易さから女性を含めたライトユーザーまで虜にしました。当時、殺伐とした高難度のゲームが当然とされていた中にあって独特の華を持っていたと云えるでしょう。

内容は固定画面のアクションパズルゲームで、面内の敵を全滅させれば1面クリアとなります。

操作は2方向レバーと2つのボタン(泡とジャンプ)を使用します。

敵を倒すルールが独自なものとなっており、先ず射程距離のある泡を吐いて中に敵を閉じ込めます。その上で体当たりする事で泡を割ると敵が死亡すると云う流れになっています。

自機の吐いた泡は一定時間が過ぎるか画面外に消えるまで残留し続けます。この泡は自機が体当たり(頭の角と背びれに当たり判定がある)する事で敵の有無に拘わらず割る事が出来ます。

隣接する泡があれば連鎖反応を起こし纏めて割れる事を利用して高得点が得られます。纏め割りには得点以外の利点もあり、纏めて倒した敵の数に応じて通気口からE.X.T.E.N.Dバブルが出現します。これを1セット集めると自機が1匹増えると云う仕様になっている為にお座なりには出来ません。

また泡にはジャンプボタンを押す事で飛び乗る事が可能となっており、これを利用したテクニックが本作のパズル要素を上手く機能させているのです。

画面内には目に見えない気流があり、これによって泡の移動と速度が面ごとに設定されています。ここもパズル要素を形成する上で大事な因子となっています。

各面にひとつアイテムが出現するのですが、これは自機の行動により立つフラグに依存しています。

簡単なところでは、泡を35回吐く割る、一定距離歩くなどすると出現するパワーアップアイテムから、通気口を15回通過すると出現するボーナスアイテム、特殊泡を割り続けると出現する敵全滅アイテムなどフラグ立ては多岐に渡っています。

この出現方法を知る事で或る程度狙ってアイテムを出せるようになると、本作はもっと味わい深いゲーム性を提供してくれるようになります。

ゲームシステムとしては同社の「ちゃっくんぽっぷ」「フェアリーランドストーリー」の流れを組むパズルゲームのひとつではあるのですが、良く考えられた「泡」システムによりこれ以上ないほどの完成度を有するに至りました。敵のアルゴリズム、当たり判定、ゲームとしてのテンポも練り込まれており一切の蛇足を許さないオリジナルな作品と云えるでしょう。

隠し要素の多さも本作品の特徴です。

最も大きなところでは隠しコマンドが3種類用意されている事ですね。デモ中のタイトル画面でコマンドを入力する事で、死んでも装備が外れない「パワーアップ」モード、本来ならばノーミスフラグ(20-30-40-50面)を立てなければならない扉を確実に出現させる「オリジナル」モード、そして真のエンディングが用意されている格段に難しい「スーパー」モードがあります。

この隠しコマンドは稼働後しばらくしてから判明しました。そして難度が下がる「パワーアップ」モードのお陰で作品自体の人気が持続したと云っても良いと思います。もともと極端に難しいゲームではないのですが、一度ミスしたあとの復活は確かに難儀ではありましたし、コマンドを入れた上での難度が客層と一致したからではないかと思われます。

寿命の短いビデオゲーム界にあって3年近くの長きに渡ってインカムを維持し続けた本作品は偉大でした。

もうひとつ本作品がビデオゲーム界にもたらした偉大な発明があります。それは日本語によるゲームの説明です。今では当然の感があるでしょうが、当時日本語のフォントを用意していたゲームは皆無と云って良いでしょう。容量の制限から始まった暗黙の了解ではあると思うのですが、それ以上に日本語を表示する事への「恥」があったのだと思います。ビデオゲームの祖である米アタリゲームへの無言の憧憬とも取れるでしょうか。

当然であって無視され続けて来た弊害を取り除いたMTJ氏の英断は立派でした。これ以降、本国に於けるゲーム説明の類は全てとまでは云わないまでも日本語に書き換えられるようになったのです。

「バブルボブル」は個人的に最も遊んだ青春のゲームですのでまだまだ語り足りない感があります。

現在に遊んでも十二分に通用する内容ですし、これ以上のアクションパズル物は以降現れないのではないかと思えるほどです。

2005.03.17

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