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ロードランナー【大発明リアルタイムを組み込んだキャラクター・パズル】

ハドソン 1984年7月20日発売

アクションパズル物を確固たるジャンルとして定着させた名作ですね。当時この前年あたりからPC雑誌で本作のAppleⅡ版の紹介が頻りになされていました。ほどなくして国産PCに移植され、そのゲームとしての面白さ完成度は衆知遍くものなりました。しかしPCを所持していない多くのユーザーには未知の作品であったのも事実です。雑誌で見るこちゃこちゃしたゲーム画面と穴を掘って金塊を集める……と云う説明だけでは到底ロードランナーが持つ素晴らしいゲーム性は伝わって来ないでしょう。それでも諸手を挙げて行われる賞賛のレビューから未知への欲求は募るばかりでした。

そうした局地的なフィーバーが収まりつつあった頃に発売されたのがファミコンへの移植版だったのです。
私も友人に借りて早速プレイして見ましたが、成る程これは面白いと膝を打ち、全50面クリアするまで夢中で遊び続けました。

アクションパズルの雛形として語られるロードランナーですが、それまであったアクションゲームもパズル要素を持っていなかった訳ではありません(どちらかと云うとハードの制約から来る縛りで、ゲーム性をパズル的な部分に委ねなければならなかったと云う意味合いが強かったとは思いますが)。
ロードランナーの優れていたのはパズルを解く為にリアルタイムの操作を用意したと云う部分だと思います。特に秀でていたのは自機キャラクターが人型であったからではないでしょうか。ビデオゲームを創世記から知らない若い方は首を傾げるかも知れませんが、それまでのパズルゲームにはキャラクター性と云うものが殆ど存在していなかったのです。大体に於いてパズルゲームのキャラクターとはパネルに文字や図柄の描かれたアイコンに過ぎませんでした。そこにぬるぬるとリアルに動くランナーくんが現れたのです。AppleⅡ版のキャラは単色でかろうじて人間に見えるレベルのグラフィックスではありましたが、そのリアルに見えるアニメーションパターンはそれひとつで大発明であったとも取れる訳です。

そうして穴を掘り埋まると云うシステムにはリアルタイムが組み込まれていました。これも斬新な部分です。ビデオゲームに於けるパズルゲームのミスとは手詰まりか、若しくはトータル時間制限の消失と相場が決まっていました。
ロードランナーのルールであるレンガを掘り、それが一定時間で元通りになると云うシステムは、上記の手詰まりをなくすと云う効能を発揮しています。そこにグラフィックスとサウンドが加わり穴を掘るだけでも楽しいと思わせるゲーム性をも入手しました。
また個別のボタンで左右に穴を掘り分ける部分にはテクニカルな楽しさが内包されています。

その上で幾重にも穴を掘らなければ金塊を入手出来ないパズル要素が含まれる事で奥深さが生じ、敵キャラクターとの追いかけっこと云うアクション部分が加わります。自機の動きに応じて移動する敵キャラもまたアクションとパズルの融合となっています。またその上に敵キャラの頭に乗る事が出来るとするプログラミング上のシステムが新たなゲーム性をもたらしました。

誰もがそれまでに経験した事のないゲーム性を所持していたのが「ロードランナー」だったと云えるでしょう。

ファミコン版は左右への任意スクロールを取り入れていますが、この部分だけは残念な過失だと思います。キャラクターを大きく描く為のものでしょうが、ロードランナーの持つパズル要素のゲーム性をスポイルしてしまっています。スクロール開始位置の問題もあり、敵と出会い頭にぶつかってミスしてしまう事もしばしば。当時はこう云うものだと思って遊んでいたのですが、以後PC版をプレイして本来のロードランナーが持つゲーム性を知ってしまったが為に、どうしても采配ミスとしか思えなくなってしまいました。
それでも当時夢中になって遊んだロードランナーは私のゲーム人生に大きな影響を与えた無二の存在として輝き続けています。

トータル売上110万本。


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