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支援することされること


たった4年だけど、障害者就労施設で職業訓練の指導員としてパートしていた。
農園を持っていた施設なので、福祉の資格はないけど農業指導員の資格は持っているのでいかせるかな?と思ったから。

その施設で働いて思ったのは指導することの難しさ。
私には発達障害を持つ次女、知的障害のばぶ子がいるからなんとなくできるんじゃないかと思ったけど、老若男女、抱える障害も違うし家庭環境だって想像もつかないほどの問題があったり…。
それでも頑張って来ているだけでも偉いなぁと私は思うんだけど。

施設は他にも外部から内職仕事を依頼されて納品していた。ノルマをこなすにはある程度の正確さや早さが必要でそれを高めるにはどうしたらいいかを考えなくてはならない。

作業手順をわかりやすいようにしたり、障害者の能力を考えてできる作業を割り当てたりするのはもちろん、なにより難しいのはやる気を引き出すこと。

農業指導でも「やる気を引き出す」はなかなか難しい課題だ。

昔、農業改良普及所の実習で普及員と花農家を訪ねたことがある。その農家は40代くらいの独身男性で母親と二人で鉢植えの花を作っていた。
でも花の棚一列分、大量に枯らしてそのままにしていた。さえない感じの男性と高齢の母親は今ある花を育てるだけでいいような感じだった。

普及員は「あの枯れた花を片付けて新たに花を作るとかするばいいのに。いい人と結婚すればやる気が出ると思うんだよね。」と言った。

農家の嫁不足と言われていた時代だから、そんなものかな?と思って実習が終わった後に同じく別の普及所で実習した友達に話した。
「結婚したからってやる気が出るとは限らないんじゃない?」
と友達は言った。
それもそうだなと思った。
もしかしたらもう農業に限界を感じていたのかもしれない。
普及員には言えないだけで。

あれから花農家の男性がどうなったかわからないけど、自分が障害児の母親になって相談する立場になると問題を解決することの難しさがよくわかる。

信頼できない人には本音は言えない。
「○○じゃないですか?」と言われたら面倒で「はい」と答えるかもしれない。
また相談したのに、自分が悪いと責められたり、家庭の事情も知らないくせにあれやれ、これやれと言ってくる人も本音で対応できない。

自分基準で求められても困るのだ。

やる気なんて体調、環境によっても変わる。
お天気にも左右される。
それを理由に仕事は待ってくれない。
やらねばならないのだ。

私はもう支援する立場じゃないけど、
「AだからBをすればいいのになんでできないんだ!」
という考えじゃなくて
「AだからBはできるかな?他にもやり方があるかな?」
と考えられる支援がいいし、それをどんなときでも実践できる人になりたい。

#就労支援施設 #農業改良普及員 #障害者 #やる気 #支援

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