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私立恵比寿中学(エビ中) 「イヤフォン・ライオット」

私立恵比寿中学(エビ中)が出演したTHE FIRST TAKEの2つの動画について書いてから、またまた時間が経ってしまいました。

アイドルは情報の供給量がとても多くて、そんなに次から次へと新しいことを発信しなくてもいいんじゃないかと常々思っているのですが、毎日のように新しい情報があると嬉しいのは事実で、なかなか難しいところだなあと思います。一方で、ファンとしてその取り組みに対して新しい記事をつくっていくことは全く間にあっていない状況です。

そのたまっている情報の中で、これはしっかりと触れておかないといけないのが、9人体制となって初めての曲「イヤフォン・ライオット」です。

さわやかなMVとともに耳に残る様々なフレーズ。CDアルバムとMVとSpotifyのVocal Less ver.を行ったり来たりしながら誠に勝手な思い込みも含めて、気づいたところを書いていきたいと思います。野暮なのはわかってます。でもね、良い曲なのでいいなと思ったところは伝えたいのですよ。

今回はめっちゃ細かくいきます。止めて進めて、だと再生回数に貢献しないので、何度も何度もリピート再生をしながら見ていただければと思います。

MVはこちら。

イントロ

もう少し素直に聴けばいいのに、と思いながら、なのですが、イントロからものすごく多くの仕掛けがあって、それがすごく効いているなあと思います。3つの構成に分かれていて、3つの構成のそれぞれが別の仕掛けになっています。

まずは、最初の4小節。「ダッ、ディーダ、ダーダッ、ディーダ」(と聴こえます)は耳に残るキャッチーなフレーズです。曲が始まってすぐに「なんだ?」という感じになり、後半の2小節で飛行機が離陸するかのような爽やかさのあるSEが下から上がっていく感じで、始まっていくんだというワクワク感が生まれてきます。

次の8小節がいわゆるイントロ部分なんだろうと思います。サビの前半と同じコード進行となっているので、曲の背骨となるところです。この8小節だけでもイントロとして成立するのですが、前後がついていることでさらに期待感が高まる形になっているように感じます。

そして、その最後の2小節がすごいなあと思います。1番と2番の間でも同様に登場するこの2小節が、普通の曲とはちょっと違う引っ掛かりをつくっているように思います。一般的には通常は4小節ごとに進んでいく中で、半分の2小節が流れを変え、次につないでいく役割を果たしているように思います。なので、イントロは10小節。

なんですか、まだイントロですよ。全然進みません。 

1番

【安本】「まじこんなんじゃやだ 一生つまらん」

最初、「まじこんなんじゃやだ」を真山さんの声だと思い込んでいました。 

【星名】名前のない SOS
【柏木】泣きたいこと わかったよ

 わかったよ、のところで、手をついて「合点承知」的な振り付けになってますね。

【桜木】君のもとへ 電撃的に 

 ここの桜木さんのパートは柏木さんの声だと1ミリも疑わず、MVを見て「おお!」となったところでした。
何しろ、1番Aメロは、真山さんの歌いだしからはじまって柏木さんまで出席番号順なんだ、と勝手に納得していたからなのです。

最初に解禁になったときに、正直思ったのが、これは誰の声だ?というところがたくさんあったこと。もちろん新メンバーが入っているので新メンバー3人の間でわからないのは、まだ理解できるのですが、「あれ?真山さん?安本さん?」というところがあったりと、その謎解きをしていくのは、なかなか面白いものがありました。

それにしても桜木さんの声質は独特な深みがありますね。明るさ暗さでいったら暗いのかもしれませんが、ただ暗いだけではない特徴的な深みなんだと思います。今後どういう歌を歌っていくのか、とても楽しみです。

【小林】ダーダダ・ドゥ・ダダ

 ライブでは「ドゥ」のところ、小林さん特有の小さい「ュ」が入る「デュウ」に近い発音をしてくれるのではないかと期待しています。というか、それを聴いてみたいだけです、ハイ。

【真山】街を突っきって
【星名】人波逆らって
【中山】かき乱そうよ 残響 

 ここの部分のボーカルエフェクトが、エフェクトのかかっていないAメロとの対比になっていて、更に言うとサビでの爆発との対比にもなっていて、非常に効果的なところだと思いました。

【小林】ダーダダ・ドゥ・ダダ
【小久保】叫べ サイファー

 この振り付けですが、真ん中左の中山さん、右の小林さんが両手を上にあげたところからかがんで口の横に手をもっていって叫んでいる感じにするところ、勝手に獅子舞の動きを連想しています。小林さん中山さんのダイナミックで大きな動きがとても印象的です。

獅子舞、と言った直後ではありますが、狛犬的でもあるなあと思いました。どっちが「阿」でどっちが「吽」かというと、中山さんが「阿」で小林さんが「吽」ですかね。二人の阿吽の呼吸を考えると、そういう見え方もするなあと思いました。神社の狛犬の配置とは反対ですが。

・・・・と狛犬の配置ってどうなってたかなと思って調べてみたら、本来、「阿」の側の狛犬は獅子なんですね。ライオン中山さんと犬っぽい小林さんで、やっぱりあっていたような気がします。

【中山】「押し殺すなよ 【ALL】バカヤロー!」

ここでの真ん中、中山さんの、落ちてくる天を支えているかのような振り付けがかっこいいですね。踏ん張った左足に注目してしまいます。

ようやくサビです。 

【柏木】くだらんループを抜け出そう
【ALL】この声が風穴だ
【安本】君のボリュームを上げよう
【ALL】心臓が がなってるから

ここの柏木さん→ALL→安本さん→ALL の一気に駆け上がっていく感じ。こういう突き抜けていく感じのところでの柏木さん、安本さんの力強さはエビ中の強みだなあと思います。

そして、ここでの安本さん、何度聞いても「君のボリュームを上げようか」と「か」が聞こえるように思います。「上げよう」と「上げようか」は結構意味あいが違い、「上げよう」は「君」が自分で上げるように促すもので、「上げようか」は促しつつ自分で上げられないようならボリュームノブ自体を安本さんがグッとつかんで回す(表現が古い)ように思います。強制的にボリュームが上がる感じ。一気に音量を上げていこうぜ、というノリが感じられます。その勢いは、今の安本さんだからこそ、という気がします。

【中山】奴らは言う Just a moment
【風見】うちらにとっちゃ 10億年
【星名】待てるわけないだろ

 ここの前後に行ったりきたりする振り付けに、勝手に「花いちもんめ」を感じておりました。最近5人でのパフォーマンスを見ていたので、いきなり倍近くになるとフォーメーションが複雑になり表現の幅が大きく広がりますね。目が足りないとはこういうことか、と思い知らされます。

【ALL】混ざったノイズがアンセムだ
【真山】ここを照らせよ 太陽
【ALL】起こしに行こう ライオット

真山さんが「こっ、こを」少し分けて歌うところがとても好きです。2つ目の「こ」が結構高い音(C#)なので、しゃくりでなくばっちり合わせてくるところが気持ち良いですね。

そしてここでイントロ最後の2小節(とおなじモチーフ)が繰り返されます。良い場面転換。

2番

ようやく2番ですよ。

【桜木】「ま、どうせうちら
【小久保】はみ出し者だ」
【風見】諦観のフリ
【桜木・小久保・風見】この瞳

 この新メンバー3人のAメロ、あえてのフレッシュさを残した録音がとてもいいですね。さらっと2番に入らないような引っ掛かりのある仕掛けだと思います。

「はみ出し者だ」で列からはみ出す振り付けのところで小久保さんが小久保さんしていてとても好ましくみています。

【安本】磨ききってないダイヤモンド
【柏木】煤だらけ でもキラッと

 その新メンバーのフレッシュさをしっかり受け止める安本さん、柏木さんの本気のレコーディング。あえてギャップをつくることで、新メンバーの将来性への期待感が感じられます。

歌詞としてもその期待を感じさせる内容と感じています。
skreamのインタビューにもありましたが、「エビぞりダイヤモンド」や「仮契約のシンデレラ」を彷彿とさせる部分であり、この曲の中で「エビ中らしさ」を色濃く反映しているところではないかと思います。

ここではタオルで背中を磨いていたり、顔についた煤を払ったりするような振り付けになっているように見えます。ある意味重さのある部分を軽やかな振り付けにすることで、スッキリさせているように感じます。

この曲は全体的に、歌詞を直接的に表現するような振り付けになっているように思います。非常に面白いなあと思いなんだか新鮮です。

【中山】ダーダダ・ドゥ・ダダ
【小林】みんな満艦飾
【風見】改造ウーファーイヤフォン
【星名】塩化ビニルの鼓膜

 「ダーダダ・ドゥ・ダダ」が小林さん中山さんなのがとてもいいですね。また勝手に言いますが、これは狛犬の吠える声なのだと思います!

「満艦飾」は、解禁後、歌詞の聞き取りをファンの皆さんがしている中では正解が出なかったように思います。耳からでるイヤフォンケーブルを万国旗に見立てたものか、それとも飾り立てていく感じをさしているのか?いろいろな解釈ができそうです。

【中山】ダーダダ・ドゥ・ダダ
【小林】満ちろ ラブソング
【真山】「愛とはなんだ?【ALL】なんなんだー!?」

小林さんの「ラブソング」の歌い方。このラブソングは決して情念のこもった女の性(さが)を表現するようなものではない、ということがよくわかります。もっと幸せに満ちた軽やかな曲なんだろうと思います。

それに対して、真山さんの「愛とはなんだ?」。多くの幸せな「ラブソング」で語られる「愛」へのなんとなくの不信感と、もっと別の愛の形があるのではないかという疑問を持ちつつ、それを真正面から悩んでしまうのはちょっと気恥ずかしい、という思いのこもった若干芝居がかった歌い方なのではないか、と思ったのでした。さすがです。

この解釈も全然違うような気がしますが、小林さんの「ラブ」と真山さんの「愛」とに思いを馳せたのでした。

【安本】歌にならなかった言葉
【ALL】その切っ先がすべてだ

切っ先が9人分、という振り付け。順番に流れてくることで、切っ先はそれぞれにあるんだということを表現しているように思いました。

【桜木】君のボリュームを上げよう
【ALL】爆音で響かせるんだ

桜木さんは安本さんとちがい「上げよう」です。聴いている方はもうここまででだいぶボリュームが上がってきていますが、桜木さんがいうにはまだまだ小さいようです。ここは「爆音」まであげるんだ!という具体的なご指示をいただくところです。

【真山】奴らは言う Just a moment
【小久保】うちらにとっちゃ 10億年
【中山】待てるわけないだろ 
【ALL】耳を塞いで守る世界
【小林】それでも 呼びかけるんだ
【柏木】同じ眼光の 君へ

「呼びかける」時に手招きする小林さん。これはおいでおいでですね。

そしてこのパート最後の振り付け、中腰になるところで、歌い終わった柏木さんが遅れて合流する感じ、とってもいいなと思って繰り返し見てしまいます。

さあ、いよいよきましたラップパート。

【桜木】エビバデ! メッチャ ワッチャネーム
ロンリー ロンリー フレンズ (【ALL】エーイ!)
メイク サム ノイズ
アンド ヘヴィーハウリング(【ALL】セイ!)

【星名】エビバデ! メッチャ ワッチャネーム
ファンキー ファンキー フレンズ(【ALL】エーイ!)
メイク サム ノイズ 
アンド ヘヴィー ハウリング ハウリング

この後ろの中山さんがDJ台を表現していると聴いて以来、中山さんにしか目が行かなくなってしまいました。

桜木さんのラップ、なかなか聴きごたえがあります。先輩メンバーにはいない新たな強みですね。一方での星名さん。キュートさとポップさとがあって、桜木さんと良い対比になっています。そう考えると、エビ中は新メンバーが入って本当に幅が広がりました。

ここのストリングス、かっこいいですね。70年代のファンクのニュアンスを感じます。

(【真山/柏木】Chorus)

真山さんの下ハモリ。相当低いです。こういうところでいい仕事をする真山さんがとっても素敵ですね。
ここでも思ったのですが、9人いるとフォーメーションが複雑になってとても見ごたえがあります。特に柏木さんと真山さんの間から真ん中に割入ってくる安本さんがかっこいいですね。

【安本】「君らしさ なんだった?」

ここは、最後にむかって駆け抜けていくきっかけとなるところ。バックトラックは最後の1小節まるまる無音になります。MVの見所は安本さんとともにその無音の4拍目にあわせてウィンクをする真山さんでしょうか。さすがです。 

【ALL】歌にならなかった言葉
【真山】その切っ先がすべてだ
【ALL】君のボリュームを上げよう
【風見】爆音で響かせるんだ

ここからは一気に畳み掛ける感じですね。風見さんに「爆音」と言われた時には、もう皆さん爆音の中にいるように思います。「え、まさか爆音にしてないなんてないですよね?」と聞かれているようにも思います。

【ALL】奴らは言う Just a moment
 うちらにとっちゃ 10億年
待てるわけないだろ

最後の「ライオット」は全員でのユニゾン。シュプレヒコール的な何か。

【小林】耳を塞いで守る世界
【柏木】それでも 呼びかけるんだ
【ALL】同じ眼光の 君へ

そんな中でもそのムーブメントに背中を向けている「君」へ、力づくではなく「北風と太陽」の太陽のように心を溶かしていく小林さんと柏木さん。だって「君」も同じでしょ?という問いかけ。

【ALL】ラララ… 
【ALL】起こしに行こう ライオット

そしてみんなで「ラララ」と歌いながらライオットを起こしに行く様子が目に浮かびます。

最後、「ライオット」のTの発音が左側から強く聴こえてきます。ユニゾンの時に、左チャンネルが先輩メンバー、右チャンネルが新メンバーなのではないか、というツイッターの書き込みを見かけましたが、それであれば、しっかり発音の訓練がなされている先輩メンバー側で聴こえることに納得がいきます。本当のところはどうなんでしょうか?

いやー、あらためて良い曲です!

 なお、この「イヤフォン・ライオット」が入っているCDアルバム、名曲揃いなので、是非聴いていただきたいです。

この中の「誘惑したいや」は、エビ中が様々な場面でレコーディングをしてきた曲で、その録音の違いを聴き比べるだけで1日があっという間に過ぎてしまいました。音楽的な成長をに感動する一方で、減ってきた原石感に残念さを感じることも理解できます。その意味で、新メンバーも入った状態での最新版は、その両方を高次元でバランスさせていると感じました。


そんなわけで、妄想を多分に含んだこのnote、歌詞も入っているとはいえ、6000字を超えています。だれがこんな長いものを読むのでしょうか。もし読んでいただけたら本当に感謝です。ありがとうございました。


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