見出し画像

珈琲豆を買いに


日曜日。今日も暑くなりそうだ。
家に居ても「あぢー、あぢー」と言ってうろついてるだけなので
娘とドライブがてら、コーヒー豆を買いに出た。
(娘は少し前から、珈琲豆の焙煎を練習している)

次男は3連休で、今日は家に居るというので
マル太郎のことを頼んだ。
留守番させて、エアコンを効かせて出かけるとき、もし、途中で何かの不具合でエアコンが切れたら・・・といつも心配なのだ。
今まで1度もそんなことはなかったけど。
でも次男にくれぐれもよろしく頼んで、出かけた。

早めに出て、選挙の投票をまず済ませてから、目的地へ向かう。

その海の街へ行くまでにトンネルが3ヶ所あり、3つ目がとても暗い。
私はもう6年前くらいから右目が白内障で、
視界がかすみやすい。
灯りはまぶしすぎるし、闇は暗すぎる。
いつぞやは、夜、駅から家に運転中、いつもの道なのに
曲がる場所を間違えてしまったりした。

3つ目のトンネルはやはり暗かったが、思っていたほど怖くはなかった。
左の路側帯を頼りに走り抜けた。

娘の助手席スマホナビで、目指す豆屋さんに着いた。
K市の市立図書館の駐車場に車を置いて、徒歩5分。

たくさんの種類の豆の樽が並んでいた。
そこは倉庫で、店舗は通りの向かい側にある。
豆を買う前に、店舗2階の喫茶室へ上がる。

重い扉を開けると、香ばしい匂いが漂ってくる。
昭和レトロな喫茶店という風情でありつつ、流行に左右されないコーヒー店の王道な感じでもある。どう言ったらいいのかわからないけど、時間も空気もガラッと変わる気がする。
落ち着いた空間に、5席ほどのカウンターがあり、奥には2人掛けのテーブルが3席のみ。それぞれが、天井からテーブルの高さまでの暖簾に仕切られていた。

カウンター近くに、水出しコーヒーの大きな器具が鎮座している。
私はそれがちゃんとドリップしているのを見るのは初めてだった。
ディスプレイとして置いてあるお店ばかりだったから。
ガラスの巨大な(人間一人分の背丈はある)砂時計みたいなものなので、見栄えがするのだ。
そこにちゃんと、コーヒー粉が詰められ、上から水がぽたりぽたりと落ちて
一番下のガラスポットに、コーヒー液が溜まっていっている。
帰る頃になると、ご主人が溜まった分を冷蔵庫に移していた。

何の音楽か、ピアノが流れていて、落ち着ける雰囲気だった。
私たちとマスターしかいない。
フェアトレードで有機栽培の豆を使っているが、価格は安い。
階下が焙煎専門店でもあり、焙煎度順にメニューが作られていた。
私は3番めに深煎りのバリ・アラビカ「神山(シンザン)」というコーヒーと、この店の水だしコーヒーで作った水ようかんのセットを。
娘は、香りがよく浅炒りの水出しコーヒー(アイス)と、手作りチーズケーキを注文した。

「神山」は、コクがありながら飲みやすくて、おかわりしたいくらいだった。
私が「ブラックホールコーヒー」と勝手に名付けていて、胃袋をブラックホールにして無限に飲んでいたいコーヒー、という最高のランク付けがあるが・・・(笑)
神山は、そのランクだった。
ブラックホールコーヒーは、何年か前に飲んだ、N市駅前の飲み屋街にある老舗、O珈琲店のマンデリンが、ずっと単独1位なのだ。でももうしばらく行ってないし、そこのご主人(当時70代くらいの女性)も代替わりしただろうなと思う。いずれまた行ってみなければ。
というわけで、思いがけずブラックホールコーヒー級の1杯が飲めて、幸せな気分だった。

帰りに1階の焙煎店で、娘が豆を買った。
焙煎店なのに「生豆」を求める客ってどうよと思うが、生豆を売る店はなかなか見つからない。
お店のひとは快く応じてくれて、生だからと、4割引きで売ってくれた。
娘が、焙煎はまだ慣れていないと言うと、煎りやすい「ブラジル」を勧めてくれた。他の、コロンとした肉厚な豆は時間ばかりかかるが、ブラジルは割と扁平で熱が回りやすく、初心者には扱いやすいということだった。
おじさんは70歳で、「年金もらいながら店やってます」と笑って言っていた。娘はすっかりこのお店が気に入って、今度は焙煎した豆も一緒に買いに来ようと言っていた。車で1時間かかるんだけど。
私も、おじさんが焙煎店やって、2階の喫茶店は息子さん?と思しきこの二人がなんかいい感じで、とにかくコーヒーは美味しいし、ぜひまた来たいと思った。

図書館でしばらく涼んで、出発した。

お昼時間になったので、軽く、ファミレスで済ませることにした。
海辺の街で、親子連れが多く、店内は賑やかだった。
賑やかさにちょっと気おされながら食事をとり、早々に店を出た。

この街に来ると、私はかなり高い確率で道を間違えるのだが、
今日も案の定、帰り道は間違えたのだった。珍しく右左折は間違えなかったのでルンルンしてたのに😅
頭の中に、都合のいい地図を描いてしまうらしい。

家に着くと次男は出かけていたが、マル太郎は無事に涼しいエアコン部屋で待っていてくれた。
帰るとすぐに駆け寄って、クンクンする。顔らへんをワシワシしながら、
「陽が傾いたら散歩に出ようね」と言ったら、ハイヨと言う感じで陣地に戻った。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?