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新しいボーカリストの誕生

MTV Unplugged Presents: Kyoko Saitoという番組を見ました。
キョコロヒーで活躍する日向坂46の齊藤京子が初の有観客ライブを1万人集めて行ったということで、家でMTVが見れる環境ということもあり見てみました。

ドコモの新動画サービスでも見れるようです。(30日まで)

視聴した結論から言いますと、このライブをもって、
「齊藤京子という新しいボーカリストが誕生した」
と感じることができました。

簡単に言うと、今までは同じアイドルとの比較だったのが、もう普通の歌手と比較される世界に入り、「かわいいのに歌もうまいね」ではなく、音だけでも勝負できるか問われる側になったということです。

もちろん今後どのようになっていくかは分かりませんが、彼女の歌の魅力を強く感じてとても期待したいと思いました。
そんなこの齊藤京子という歌手の特徴を以下に挙げてみたいと思います。


① 2種類の声の使い分け


彼女は低音はハスキーっぽくて高音は透き通っているという、2種類の声を持っているように感じます。
たいていの場合、YOASOBIのikuraのように高音を得意とする人は低音が出せず、低音が響く声の人は高音が苦しくて細い裏声になります。

YOASOBI|アイドル

齊藤京子は高音(ミックスボイスというらしい)にハリとツヤがあり、もともと持っている低い地声と澄んだ高音、あと裏声を切り替えて使い分けをしているのは、他にはあまりない特徴だと思います。

昔の番組の企画などで歌っている映像を見たのですが、それと比べると今は素人目にも明らかに技術が上達していて、努力の跡が垣間見えます。

歌はすごく上手いけれど声や歌い方に幅がなくどの曲も同じに聴こえるという人がいますが、齊藤京子は生まれ持った声質に加え技術を身につけ表現力を広げているように感じました。


② 張った声が最も印象的


歌の素人とプロの違いはいろいろありますが、まず声量がまったく違っていて、生で聴くとその迫力に圧倒されます。

齊藤京子は以前に緑黄色社会の長屋晴子と共演していて、最近の若い女性ボーカルで屈指の歌唱技術を感じる長屋と並んでも劣らない、まっすぐで迫力のある声をそのステージで披露していました。

曲を聴く限り、長屋と比べると齊藤京子の歌い出しや低音のパートは明瞭ではないように思いますが、サビの盛り上がりは技巧的な長屋よりも強くストレートに響いてくるように感じられます。

齊藤京子は一番張ったときの声が独特で個性を感じるので、曲の盛り上がり部分のフレーズが強く印象に残り、普段そんな歌声を聴いたことがない聴衆はそれに感動してしまうのだと思います。


③ 詞の世界をそのまま表現


実はこれが最も特徴的なのではないかと私は感じていますが、彼女がカバーした曲を聴いて初めてその歌詞の意味するところを正確に知ったという曲がいくつもあります。

彼女は歌詞の世界を自分の声によってできるだけ忠実に映し出すことを心掛けているようで、先日のMTVでカバーしていた椎名林檎の「本能」は、皆さんも何度も聴いたことがあると思いますが、私は齊藤京子を通じて初めてこの歌が伝えたかった言葉を理解しました。

もちろん椎名林檎の歌い方がどうというわけではなく、今まで自分が雰囲気で分かったつもりになってちゃんと理解していなかった歌詞を、初めて一言一句意識して聴けたということです。

今回のライブでは、日向坂の「恋する魚は空を飛ぶ」という曲も歌いましたが、MVの正式バージョンとは違ったスカ調のおしゃれな曲に生まれ変わり、彼女が歌う不条理な歌詞の世界と楽しいリズムの組み合わせが印象的でした。


これからに期待


とはいえまだ歌手の経験が少ないことによる緊張からか、主に歌い出しでちょっと不安定になるタイミングや、バンドが演奏する曲のテンポよりほんの少し速くなってるかな、という場面もありました。

またMCや盛り上げ方など経験がものを言う部分は、きっともっといろんなやり方があるんだろうとは思います。

でもそんなのはいずれどうにかなることで、まずはとにかく、この齊藤京子という新しいボーカリストがこれから歌で活躍してくれるはずと分かったのがとてもよかったと思います。

アイドル出身の女性がTVのバラエティで頭角を現し歌で飛躍するというのは、あの篠原涼子を思い出させ、その二人を重ね合わせるということはしませんが、いやでも期待が高まってしまいます。

次の彼女のパフォーマンスが今から待ち遠しいですね。




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