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護身術で実際に「格闘」となった時の重要ポイント~身辺警護経験者が語る「護身術の誤解」

以前の投稿からだいぶ間が空いてしまった。持病の再発などなどが理由だが、ひとまず更新が遅くなった事にこの場を借りてお詫び申し上げたい。

さて、本記事では「実際に犯人と格闘になった場合」と状況を限定した。

かなりシビアな事も記述するが、ご了承頂ければ幸いである。

最上は「格闘しないこと」

護身術の定義、解釈は様々だが、もっとも望ましいは「格闘しない事」である。

これについては、私が運営しているYoutubeの「ラウド・ロックと面白トークのBSS]というチャンネルで「護身術」に関しての動画を2回に渡って配信している。ご興味のある方は参照して頂きたい。

動画にもあるが、巷に溢れる護身術は「犯人との格闘」を前提にしているが、これは動画にもあるように「レベル2~4」の状況である。

これは最悪の状況で、得にレベル4は最も避けたい状況である。

簡単にこの「レベル2~4」を説明してみよう。

レベル2:逃走

レベル3:格闘と逃走

レベル4:格闘と犯人制圧

である。

この状況でレベル3~4はリスクが非常に高く、レベル4に至っては自分自身が実刑判決を受ける事も覚悟しなけれならない。

なので、私は護身術を行使する以前に「防犯」が最も重要だと考えている。「予防護身術」という言葉もあるが、これは「防犯」の領域である。

何故、「防犯」が重要か?

護身術を習得するには時間とお金がかかる。これは動画でも紹介している。また、いざ実践の格闘となったら、100%こちらが無傷である事を保証するものは何もない。訓練されたプロでも思わぬ事で負傷、最悪、死亡するケースがある。

自分が完全に無傷で、犯人にも怪我を負わせず制圧する事はかなり難易度が高い。それこそ逮捕、制圧術を教えてくれる道場で最低10年は稽古が必要である。しかも民間でそこまで教えてくれる道場はかなり少ない。

私が通っている道場は逮捕、制圧術も指導しており、私自身もキャリアは18年だが、どれだけ相手が実力が下でも絶対に油断しないように気を付けている。ともすれば慢心し、取返しのつかない事になりかねないからだ。

このように「護身術」は習得するのに時間とお金がかかり、さらにある程度、習得してもリスクを完全に取り除く事は不可能だ。(もちろん、習得していないよりは習得していた方がリスクヘッジにはなる。)

それに比べて「防犯」は誰にでもできる。常に意識する事で行動が変わり、備えておくことができる。防犯・護身グッズを購入する場合はお金がかかるが、工夫次第で身の回りの日用品でも役に立つ。

実践重要ポイント:逃げるは恥じゃないし、実際に役に立つ

私はTwitterで護身術の心得として「戦う事よりも逃げる事を優先せよ」と呟いている。

この真意は、「戦うこと」を否定したり「無抵抗でいろ」という意味ではない事を念のため、お断りしておく。

先の動画でも述べているが、「逃げる」事を「恥じ」としているのは、「戦う事」を職業にしている場合だ。軍人、警察官、試合に出るプロの格闘家、武道家、あるいは災害対応にあたる消防士や救急隊員などである。

彼らはそれが仕事であり、それで生計を立てている。職業上、やむを得ない。

だがそうでない「民間人」は戦っても報酬を得るわけではない。運よく無傷で犯人を現行犯逮捕できても、警察から表彰状と金一封をもらうぐらいで、重傷を負ったり、死亡しても何の補償もない。

これは民間の身辺警護員でも同様である。会社にもよるが、民間警備員は警察のSPと違って、職務で負傷したり死亡した場合の補償がまるで違う。私が勤務していた警備会社は皆無であった。また、警備の目的は「格闘」ではなく「安全の確保と維持」である。

犯人に重傷を負わせ、最悪、死亡した場合、当然、それが正当防衛の範囲か、裁判で争う事になる。場合によっては処罰刑が下されるだろう。(このケースの場合は軍人、警察官、プロの格闘家、武道家も同様である。)

このように、試合や職務で「戦う事がある程度、許可されている」場合を除くと、戦って良いことは基本的にはない。このようなリスクを負うくらいなら、さっさとその場から逃げた方がよほど良い。

民間人は犯罪や災害などの危機に直面した時、逃げる事が仕事だ。決して恥ではない。

だから運悪く犯罪に巻き込まれたら、即、その場から逃走する事が大事である。

だからこそ、普段から「防犯」が重要なのだが、では運悪く「戦わざる得ない」状況に追い込まれた場合、どうすればいいのか、重要なポイントを、前述したレベルに応じて紹介しておこう。

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