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あの素晴らしい青をもう一度

※公演期間中なので、非常〜にうすぼんやりとした感想です。


人付き合いが基本苦手ではあるが、大学に進学しサークルなどに入っていたならば、今とはまた少し違った景色が見えるような人生を送っていたのだろうかと想像する事が稀にある。

もしかすると、先日観た『鴨川ホルモー、ワンスモア』に登場する様な人たちと出会い、今でも連絡を取り合ったりするような仲になる友人がいたのかもしれない。


『鴨川ホルモー』
京都を舞台にした青春群像劇。

登場人物18人、全員が個性的。
18人それぞれから繰り出される、切れ目のないテンポ感に、若さゆえの疾走感にも似た勢いを感じさせるあっという間の2時間だった。
まるでフライヤーにも使われた清涼感さえ見えそうなほどの青さも感じていた。

ずっと楽しかった。
帰宅してから全く寝付けず、パンフレットを読みながら余韻に浸っていたら、気づけば外が白んでいた。有休取っといて正解。

情報を全く入れないままに観るのも少し不安だったので、原作を読んだ上で観劇した。
なので、少し比較というか触れながら観劇した感想を書いて行く感じになると思う。

読みながら、まず菅原役にう大さんがキャスティングされていたことにめちゃくちゃ納得してしまった、なんかすごくわかる。
槙尾さんが女性役を演じること、平井さん演じる松永をはじめ紀野や坂上といった原作ではあまり登場していなかった人物にスポットライトが当たったり、双子の兄弟役での角田さんと浦井さん共演、そして原作には存在していないオリジナルの人物もいたりと観てみたいと感じる要素満載だった。

本を読むのが速いわけではないことと想像力の薄さゆえだと思うが、『ホルモー六景』も込みの脚本と聞いていたので、活字で読んだ時に“レナウン娘“に至るまでの期間を、2時間の中でどのくらいの比重で置くのだろうと少し考えたりしていたが(あそこ舞台上やとどうするんやろなとも真っ先に思いながら読んだし舞台を観ていた)、ギュッとされていた中にも終始笑えてしまう場面があったりして、ここまでで結構笑ってしまっていたので、エネルギッシュですごいなあと思いながら観ていた序章。

ヨーロッパ企画の本公演は、エチュードから台本が構築されていくというのを以前聞いた事があり、公式YouTubeチャンネルで過去の本公演時のVlogが上がっている事を知り視聴してみたら、チラリと流れる公演の場面で本当にその部分がさらりと組み込まれていて、とても興味深かった記憶がある。
どの部分がエチュードなのだろうといった疑問はさておき、要所要所に声を出して笑ってしまう場面が詰め込まれていて、終始笑っていた。コメディ部分の緩急と間がリズミカルですごく心地が良かった。

場面転換が多い印象があったので、具現化されたセットのみに留める事なく、視覚的なデッドスペース(バトルの時のオニの配置とか)を使ったりなど、限られた場面と面積の中での舞台セットの使い方もとてもおもしろかった(ホルモー公演中なところ申し訳ないが、今年やるヨーロッパ企画の本公演も、観に行こうと思っている)


18人のキャラクター全員にスポットライトが当たる。
劇中の一節にもあったように本当に「これはみんなの物語」だったからだろうと振り返る。

安倍は活字で触れた人物像よりもだいぶ爽やかな印象を受けた。
大事な部分が的確にピックされ、削ぐべき部分が削がれている(ように感じた)からなのかなと思ったと同時に、それが自分にはいい方向に働いて観ることができたと思っている。中川大輔さんが内包しているものが滲み出ていたからなのかなとも感じている。

高村は観劇前に『ヨーロッパ企画の暗い旅』のこの回を観た事もあり、少し鳥越さんのキャラクターがリンクしている部分があるなあと思いながら観ていた。原作を読んだ中でも舞台で観ても、高村は好きなキャラクターだったなと思い返す。

オニに対する扱いはずば抜けているにも関わらず、対人に関しては不器用で、それでも安倍を想う楠木の終盤のあの場面は、何度観てもグッと来るだろうと思う。
清宮さんが演じる楠木、そっけなさと可憐な部分の同居具合が自分には丁度よく、松永とのシーンの数々はどの場面も好きだった。

早良が終盤に露わにする感情的な振る舞いを観ながら、周りが見えなくなったりする時期って今以上にあったなあと振り返ったり、芦屋はやっぱりクソ野郎だなと思いつつも、少し愛嬌さえも感じていた…だからモテるのかな。八木莉可子さんはCMにイメージが強かったけど、早良の人物像にマッチしていたし、佐藤寛太さんの身体能力の高さは流石の一言。

う大さんの菅原も実際観てみて、飄々としているところとかはめちゃくちゃイメージしていた菅原だったし、立花も一瞬槙尾さんが演じていることを忘れる瞬間が何度かあった。
立花のあしらわれている感じを見るに、あれが清盛や柿本も含めた三回生が一堂に介した時の日常なのだろうか。立花もそれを理解した上で毎度あしらわれてるのかなとちょっと想像してみたり。土佐さんの荒っぽさに表れる強さだったり、酒井さんの強みを活かしたキャラクター設定に「おぉ〜本物や…!」と思ったり。

話は逸れるが、観劇前日にTwitterで見かけた立花のメイクがすごく素敵だった。回を追うごとにメイクが変わっていっていそうなので、千穐楽とかどうなっているのだろうと今から想像している。

原作ではあまり触れられていなかった三好兄弟のシンクロ感ある言動と自我の部分や、二人静の紀野と坂上の人物像が、作中には登場しない清原や大江らと交わることにより、平面的だった人間像に奥行きが出ていたり、清原と大江に関しては、さも端から原作に登場していたかの様に物語の中で違和感なく溶け込んでいたのも驚きだった。
三好兄弟が同じ女性を好きになっても殺伐としない温和な感じと、芦屋に対する毒を吐く時の温度差にはめちゃくちゃ笑ったし、紀野と坂上みたいな関係性はどこかで見かけたことがあるような気がする………ギャル……?(ごめん)

そして清原のチャラさが今になってジワジワ来ている。

印象的だったのは、平井さん演じる松永だった。
男性ブランコの単独を何度か観たことがあるが、ボケ側であるが故に少し変わったキャラクターを演じることも多い。このnoteでは過去に何度となく書いてしまっている事ではあるが、平井さんが演じる自分の周りに居そうな人の芝居はとてもナチュラルで、個人的にはとても好きだったりする。
原作を読みながら涙ぐんだ場面があったが、観劇した際も同じようにグッときていたその刹那に登場する松永が最高すぎて思わず拍手をしてしまった。舞台を通して松永はこんなにも愛らしいキャクターだったんだなあと思う。

松永だけに限らず、べろべろばあの店長も含めて18人全員に愛らしい部分があり、登場人物全員のことが好きになってしまった。芦屋の人間臭い部分も、早良と巴みたいなバチバチな関係性も含めて(実際いたら嫌やなとかめんどくさってなるとは思うけど)

それにしても店長の歌には笑ってしまったなあ。合わせて出てくる安倍のセリフもツボだった。エロリ…。
余談だけど、巴役の日下さんはInstagramの投稿で見る素敵な空気感漂う写真のイメージが先行していたこともあり、お芝居とのギャップがすごくてめちゃくちゃ惹き込まれてしまった。もっと色々な作品でお芝居を観てみたいと思う、直近で出演されていた『テラヤマキャバレー』観てみたかったな…(タイミング逃して観に行けず)

あと、忘れてはいけないのが角田さんデザインのオニだ。
ワラワラと沢山いるけどめちゃくちゃ可愛い。アクリルキーホルダーとかあったら買ってたなあと思う。
ヨーロッパ企画のVlogや生配信のアーカイブを観ていくうちに角田さんが描くイラストも好きになってしまったこともあり、パンフレットの表紙になっていることが嬉しい。可愛い(何度でも言う)


物語を通して彼等の2年間を見てきたことにより、目にしていた景色が変わるラストもとても素敵だった。
家に帰ってから、立花のラブストーリーダイジェストとラストシーンをふと思い出し、思わず唸ってしまった。あの場面は高村であることに意味があったんだなあ。

これは時間の都合で読めなかった『ホルモー六景』を読まないといけないなと思っている。


カーテンコールを重ねる度に拍手のボリュームが大きくなっていったの、すごかったなあ。あんなボリュームの拍手なんてここ最近聴いてなかったな。
あまりに「楽しかった」が残った作品だったので、当日券もある様子なこともあり、東京公演の期間中にもう一度観劇できないかと画策している。

来月の予定と懐事情と相談をしながら決めていこうと思う。

本音を書くと、全ての予定を投げ出してもう一度観たいくらいの気持ちがあるので、どうにかリピートに持ち込めたらと思っている。


余談。
アクリルスタンドを買うつもりは当初なかったのだけど(懐事情的な理由で)、「これ三好兄弟のアクスタ買ったらおもしろいのでは…?」と直前で思い、衝動的に購入してしまった。
(なぜそういう思考に至ったかは謎)


袋から出してみたらめちゃくちゃ双子。
二重包装になっていたことに感動、購入時の物販スタッフさんとのやりとりも含めていい思い出になりました。

スタッフさんも困惑するレベルで双子

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