友よ、その答えは風に吹かれているのだ

いつもより早く目が覚めた。
まだ実感が無い。当日になってもまだ疑っている。

…ひとまず、出勤の準備をして家を出る。
いつもの様に仕事をする。
お昼の休憩を終えて以降、身が入らなかったその日の仕事を終え、渋谷へ向かう。

時間にだいぶ余裕があったので、腹拵えをしながら訪れる時を待つ。
それでも、まだ実感が湧かなかった。
本当に今日のライブを観られるのだろうかと。

ムゲンダイホールの客席に着き、場内が暗転しても、OPが始まっても…わたしはこれから目の前で起こる光景を目に焼き付ける事が出来るのだという現実を、夢なのではないかとずっと疑っていた。そのくらい今回のフェイバリットコントライブを観られるという実感が無かった。

1本のサスライトが照らす、舞台上に立つ彼の姿を視認するまでは。


結論から書くと、夢ではなかった。
今年彼等がやったコントライブ公演の中から厳選されたコントを観ながら、ずっとずっと笑っていた。

現実だった。

彼等の、配信がない形でのコントライブを観たのは、2020年末に行われた『ねてもさめても宇宙人』以来だ。その時の公演もそれはそれは良かったのだが、その時は全て新ネタだった。

今回は今年の2月から7月まで毎月行われていたコントライブの総集編…下ろしてきた数々のコント、既に少しずつだが変化してきている。
直近でやったコントがもう既にこう変わるか…と思ったり、このコントは基からここまで尺縮めるの大変そうやなぁ…と感じたり。
劇場で出番がある度に色々と試行錯誤をし、ネタに反映させ、この先の闘いに備え挑んでいく…そんなとても貴重な過程の一片を、改めて共有させてもらっているのだなと感じる。
ムゲンダイホールで行われる単独ライブのチケットがなかなかに入手しづらい状況になってしまった分(嬉しい悲鳴)、そう感じてしまったのかもしれない。
音楽や映像、照明などの演出の数々、こういった部分も隅々まで手を抜かないのが、御二方をはじめとしたチーム男性ブランコの面々。映像がちゃんと総集編仕様となっていた…素敵すぎた。
実感がないとは言いつつも、開演直後に流れたクラプトンで既にめちゃくちゃ泣きそうになってた…『いとしのレイラ』はじまりは心震えるって(正確にはデレク・アンド・ザ・ドミノスの『いとしのレイラ』…Twitterに書いてくださってた方がいらして非常に有難い)


厳選されたコント達。
あぁ〜コレを選んだのは意外だったなぁと思ったり、そういうチョイスの仕方をするのかと思ったり…それでもやはり、40本弱ある中から厳選されたフェイバリットなコント達なのだろうとは思うが、過去の感想ツイートを見ても割と好評だったものも選んでいるのかなという印象は少なからず抱いた(そうでなく、純粋に御二方がフェイバリットなコントを選んでいるならば、嬉しいしごめんなさいな話ではあるけれど)

ただ特筆すべきは、今回のために書き下ろしたと思われるエピローグコント。このコントに関しては、早々にそのギミックに気付いてしまい、その凄さに観ながら圧倒されていた。あのセリフより以前、しかも最初からなのかよ…と心の中で震えていた。

あのコント、普通にとんでもなかったな…。

そして順番は前後するが、本編最後のコント。明転した瞬間、わたしは息が止まった。息が詰まったと書くべきか…大袈裟でなく、本当に数秒ほど呼吸が出来なかった。
……よく分からないけれど、なんとなくそういう事なのかなと考えたら、少し涙ぐんでしまった。
だけどやっぱり面白いんだよなぁ、あのコント…初めて観た時の衝撃は今でも憶えている。
本当にしんみりさせてくれないんだから、最高だよ。

エンドロールで流れたボブ・ディランの『風に吹かれて』…その時、なんとなくだけど「これが、現状彼等の答えなのかもしれないな」という気もした(Google先生に聞いたら和訳歌詞が出てくるので、気が向いたら読んでみて欲しいと思う)

※…言っておきますが、ここに関しては頭おかしい人間が勝手に妄言吐いてるだけなので、そっとしておいてくださるとありがたいです。


準々決勝の日程も発表され、意識すると変に緊張してしまう…そんな気が気じゃない日々がもうすぐやってくる。
今はまだ風に吹かれているだけの答えなのかもしれないけれど(そんな事はないと思うけれど)、彼等の中で見つけるであろう答えを胸に携えて、その目が見据えた未来を掴み取る為の、確実な一歩となって欲しいと願う。

改めて平井さん、浦井さん、そしてチーム男性ブランコの皆様。毎月単独ライブ公演お疲れ様でした。とても楽しい時間でした。
目を開けられなくなってしまいそうな程の眩い光が、その先にありますように。

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