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憧れに触れた時、人は機能を停止する

※今回のnoteは、わたしの心情がメインになると思われますので、あまりライブに関する事細かなメモ的なものを書くことはここを書いている時点では考えておりません、その旨ご理解頂ければと思います。


男性ブランコ単独公演『Denki Ifuku Yé-Yé』

2018年に行われた彼等の単独公演。
転換部分はおそらく著作権的な理由でカットされているのだと思われるが、1公演分をほぼ丸ごと視聴することが可能だ。YouTube上で彼等の単独ライブの空気感を堪能できる、2023年初頭現在、男性ブランコ公式チャンネルに存在する唯一の長尺動画である。

公演が行われた場所は3331 Arts Chiyoda…彼等を知り、この動画を観終わった瞬間、この場所で彼等のライブを観る事は自分の中で淡い憧れとなっていた。

しかし2022年も半分まで来た6月、それはこの時点では叶うことのない夢と化す。

彼等は大きな期待の中で賞レースに向け邁進していたし、既にメディアへの露出も増え、「やりたいとは思っている」と御本人達は仰っていたものの、この位のキャパシティでの公演をやることももうないのだろうと、観たい気持ちもありつつ自分の中で勝手にそう思い込んでいた。半ば諦めに近いようなそんな感じだった。
そんな最中の報せに、百年河清を待つに等しき心境となる。今思えば気が早いにも程があるが。

そして少し時が流れ、2023年の新年。
自分の中で叶わぬものと勝手に思っていた憧れに手が届くこととなる。

彼等を知って以降、AR三兄弟の川田十夢さんがパーソナリティを務めるラジオ番組の1コーナー『テクノコント』が大好きで毎週聴いていたこともあり、わたしは男性ブランコとラブレターズという組み合わせが今も大好きだ。ラブレターズだけに限らず、男性ブランコとテクノコントメンバーの化学反応は、なんだか自分の中にあるたまらなく心地が良い場所をすごく突いてくれる。

なので、どの公演を観に行こうかの選択肢はⅢ以外はなく即決だった。
この公演が当たれば御の字くらいの気持ち。
finalも観たい気持ちはあったが、倍率高すぎて当たらんだろうとほぼ諦めていた。


(…そしてⅢの当選メール来た時、一瞬息止まったよね)


個人的にアーツ千代田を訪れるのは、2019年に観に行ったシド・ミードの展示ぶりだ。
当時の写真をどれだけ探しても何故か全く残っておらずしょんぼりしたが、数多ある近未来的な乗り物が描かれた作品の数々に、スマホを使ってのAR体験もできたり、展示の最後に観た∀ガンダムの全体図を目の当たりにし、そのスケール感に圧倒された記憶がある。その後、同じ年に彼等が此処でコンスタントに単独をやっていたのだから、巡り会えなかったのはタイミングだったのだろうなと思う。

余談もほどほどに。

しばらくライブも観ていなかったので、当日はとても楽しみで仕方なかった。
仕事中にモヤッとすることもありつつ、光の速さで退勤し会場へと向かう。
施設の方も優しく、穏やかな空気が流れていたような気がする。
スタッフの方にチケットをもぎってもらい、客席へ。

こんなに狭小な空間で彼等は単独公演をやっていたのか…。

想像していた以上に小さな空間で正直驚いた。舞台と客席、背後に居るスタッフの方達との距離がかなり近い。
客席用の椅子はパーソナルスペースをある程度確保できてかなり心地が良かった。
終演後も物販購入は可能とのことだったが、「今でも大丈夫ですよ」と教えていただき、開演前にポストカードを購入した。事前に告知されていたポストカードを1枚ずつ。

「1枚おいくらですか?」
「300円ですね〜」
「ほぉ…(えーっと、300円が6枚だから…………あれ…?)」

…全っ然、計算ができなかった。
脳が思考を止め、頭に数字が全く浮かんでこないアホの子になっていて、自分で自分にめちゃくちゃビックリした。ここで嬉しさと高揚感で頭がふわふわしていることに気が付く。

本当に観られるんだな、此処で…と改めて思う。

ポストカードと共に、軸みかんくんのペンが目に入ったのでそれもひとつ購入した。
かわいい。

軸みかんくんめちゃかわ。

BGMもスーパーカーなどの既存曲が使われていたり、配信の無い会場ならではの空気を味わう。

そして暗転。

自分の席からは見えなかったが、平井さんはオープニングの時点で舞台上には居ないらしく、自分の中では「やっぱりそうか」となる(その理由は後ほど)
因みに、浦井さんとラブレさんのオープニングトークの中で「〇〇新規」という話題が出ていたので記しておくが、わたしは音符でもボトルメールでもない、『贈り物』新規である(↓リンク参照)…故に、3331で公演をやっていた時期の彼等をわたしは知らない。

トークもほどほどに、2組のネタとコーナーの60分。
男ブラさんは『豆もやしのマメモ!』…オープニングで浦井さんが登場した際、手にしていたものが目に入った瞬間、「マメモやるんだ」と直感で思った。更に平井さんが居なかったことで、それはすぐさま確信に変わった(あの格好で出たら何やるかバレるやつ)
YouTubeに存在するショートムービー作品の基となったコント…大好きだ。
あの距離感だからこその、ノリヒロとマメモの会話の音量がなんかすごく良かったな。生で観る「ナムる?」「ナムらんて」のラリーは面白かった。

ラブレさんのコントもめちゃくちゃ面白かった…本当に笑い止まらなかった。初めて観たコントだったけど、コーナーで男ブラさんから「そのキャラで出て来て欲しい」とリクエストがあったくらい、溜口さん演じるエディのキャラが強くて最高だった。
ちなみにこの日観たコントではなかったけど、エディが登場するコントがラブレさんのYouTubeに存在してたのでリンク貼っとくね。同じエディかどうかは定かではないけど、エディまじエディ。


唐突に書くが、わたしは『Denki Ifuku Yé-Yé』の中で『人間をつくろう』と同じくらい、『その場をとりつくろう』の時間が大好きな人間だ。

ラブレさんのコントが終わり、転換で舞台奥・中央に配置されるオーブントースター。
コーナーとしてやるのだから、ココロオドらない訳がない。
平井さんがなかなか御三方を呼び込まずずっと変なことを言ってて、浦井さんをはじめ袖からのヤジが段々と酷くなっていくので、始まる前からずっと笑ってしまってお腹痛かった。
コーナーは形容詞と名詞を繋ぎ合わせ、出来上がったお題で即興コントを繰り広げる。コントの時間を決めるのは、トースター…もはや『JAZZ』。2組の即興に対する対応力の高さを改めて肌で感じつつ、めちゃくちゃ面白くて腹抱えて、涙を流しながらゲラゲラ笑っていた。個人的に『悪い服屋』の無限ループ感が好き過ぎたけど、やっぱり平場のエディが強すぎる。3つのオーブントースターチャレンジ、めちゃくちゃ面白かった。


エンディングを迎える頃には、仕事で感じたモヤモヤも完全に吹き飛んでいたので、笑うことは本当に心に効くのだなと改めて思う。
終演後、秋葉原の方へふらりと向かいながら、オーブントースターチャレンジでやった『静かなメイド喫茶』を思い出し、マスクの中で少しニヤつきながら駅へと向かう。
ライブの帰り道に「このまま家に帰るの、なんか勿体無いな」と思ったのはいつぶりだろう。秋葉原といえば…と思い出し、家電量販店のプラモコーナーに行き、浦井さんが組んだサーバインを眺めてから家路に着いた。

Twitterにサラリと感想を書きたいのに、140字で収めることがなかなか出来ず、いつも以上に言葉がまとまらなかった。気を抜いてしまったら宙に浮いてしまいそうな程に胸がいっぱいで、憧れだった場所と空間で好きな人達のライブを観て、しあわせな時間を過ごしたことは確かなのに、それを言語化できない自分が居る。
正直なところ、本来ならば誰に説明するものでもないのだから、言語化せずに自分の中で留めておく…それでもいいのだろうと思うが、人は忘れる生き物だから、出来うる限り記録しておきたいという気持ちもあったり、それは別として自分はどうも放出しないとダメな性分のようだ…ダムか何かなの?

冒頭にも書いたが、正直もうここでライブをやることはないだろうと思っていた。
だけど、今回開催されるにあたり、3331への感謝や様々な想いがあったり。物販に携わっていたスタッフの皆様の柔らかな空気感に触れ、短いながらも笑いに包まれ楽しい時間を過ごす。数多のクリエイティビティ溢れる人達のあたたかさに包まれて、これまで3331も運営されていたのかなと、ふと思う。

最初で最後だったけれど、憧れだったこの場所で男性ブランコのライブを見届ける事ができてしあわせだったし、この場所のあたたかさにまた触れることができてよかった。

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