たもつ選手は、宇宙人である。

こうは書いたが、前回の単独(またとない学校)の打ち上げ配信で、彼について言及があった際は、『そういうことを言うやべぇヤツ』程度の認識で話が終わったような記憶がある。


しかし、彼は本当に宇宙人だった(と思うことにする)
そう思うこと自体、男性ブランコのネタ台本を手掛ける平井さんの手の平の上で上手いことコロコロと転がされているのかもしれないが。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

ねてもさめても宇宙人

男性ブランコ、2020年最後のコントライブ。
劇場限定、オンライン配信は無し。幕間のBGMはトニーフランクさんの生演奏で全て展開されるという。これだけで今回は途轍もなく良いなにかを持って帰れる気がしていた。

今回は冒頭に書いた彼、たもつ選手にスポットが当たる。
彼のストーリーを挟みながら繰り広げられるコント。
会場に入ると、告知で何度も目にしたねてさめのサムネ画像に、トニーフランクさんの奏でるギターサウンドが会場を彩る。めちゃくちゃ心地いい。事前に練られたものだろうか、それとも即興か。曲が途切れることなくエンドレスで続く(それだけ引き出しがあるということが凄い)、そのままコントライブの開演へと流れ込んでいった。

最初のコント、暗転の時点で既に見えるシルエットに、彼の存在を確認し爆笑。たもつ選手、安定の佇まいである(個人的にニーハイソックスがツボ)
そしてコントの途中で急にOPが始まる。いつも流れるオシャレな映像もなく、トニーフランクさんのギターサウンドに合わせたシンプルな演出が逆にスタイリッシュで格好良くて、個人的にはめちゃくちゃ好きだった。
至極個人的な話だが、ここ数日、色々と考えることがあって久し振りに少し気持ちが落ち込んでいた。そんな中、今回のねてさめを観に行った。


しかし、『ツツジ』の蜜を吸うふたりのやりとりを眺めながら、少し気持ちが軽くなった。自分が抱え込んでいる事はそんな大した事じゃない、まぁそんな深く考えずともいいんじゃないかと思えた。

ホテルの受付のコントは、フロントマンの様子がおかしかったので、実は最初、彼はアンドロイドか何かなのかなとちょっとだけ思っていた。それがまさかのオチとあの演出には思わず唸った(この直後のトニーさんのギターにイーグルスの空気を感じた)

たもつ選手が急にしおらしくなってると思ったら、転校生的な展開に巻き込まれていたり(「泣かないで、涙は君には似合わない」というセリフと田原のポジティブさが今も心に残っている)、その後のコントで登場した田中と佐藤のやりとりも好きだ(佐藤の泣きの芝居、最高だった)
他のコント師同様に、男性ブランコのコントの登場人物も大概変な人が登場するが(まぁそうならないとコントが成立しない部分あるのだろうが)、そんな身近に居そうで居ない変な人を突き放すことなく受け止めるやさしさも魅力だと思っている。

そして最後のたもつ選手のコント、彼の故郷の星をウォッチングしようじゃないかと数多の星広がる夜空を眺めながら座り込んだ二人を見て、ハッとした。

おい、ねてさめのサムネそのまんまじゃないか。

あのサムネ、少々画質が粗いように思うが、キャンバス調にワザと加工しているんだなと思っていた。最後のコントを観た後、もしかするとあのふたりの姿は、たもつ選手の故郷の星から見た光景なのかもしれないと勝手に思った。たもつ選手が宇宙人だというなら、そういう風に見えてますと言われたら、わたしは単純な人間なので信じると思う。

本編終了後、心の中のわたしは舞台に立つ御三方にスタンディングオベーションを送っていた。いつものネタライブやコーナーライブとは違い、男性ブランコのネタと芝居を存分に贅沢に味わえる、めちゃくちゃに良いライブだった。
凄く温かなものが胸の中に残ったまま、且つグワァ~っと感情が押し寄せそうになりながら、目頭が熱くなりそうになるのを堪えながら、わたしは足早に渋谷を後にした。泣きそうな感情があるのに泣けなかったのは、胸の中に残った温かなものが包み込んでくれたからだと思うことにする。

たもつ選手は宇宙人だった。
ただそう思うこと自体、男性ブランコとトニーフランクさんの手の平の上で上手いことコロコロと転がされているのかもしれない。それならそれで構わない、転がされたっていい。

最後、たもつ選手は元の体に戻れたとは思うが、「あぁ、凄いぶつかって…ぐちゃぐちゃ…」とたもつ選手の友人が話していたのを聞いてしまった自分は、たもつ選手と入れ替わっていた田原の安否だけが気がかりである。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

浦井さんのほぼフルボケを堪能出来るのは単独だけなのではないかと今のところ思っている(あまり普段浦井さんボケのネタを観る機会が個人的にないからかもしれない)し、何気に浦井さんのボケやる時の芝居がかなり好きだし、平井さんのツッコミ側に回った時の芝居も凄く好き(たもつ選手もオモローだったけどね)、平井さんの女装も観られたので大満足。

エンディングでの3人のやりとりの中、トニーさんの粋な計らいで男性ブランコの二人が互いの好きなところを即興で歌うなんて場面もあり、最初から最後まで温かい時間だった。
こういうやりとりを観ていると…あぁ、こんなやさしくて素敵なコント作る人たちが、沢山の人達にもっと知られて欲しいな、コロナが落ち着くころには、コントツアーで全国行脚できるようになってるといいなと、今年ファンになった新参者でありながらも、ついついそんな生意気な事を思ってしまうのです。

寒くなってきた上にまだまだ気の抜けない日々が続きますが、次の単独でまた元気に笑えることを祈って。御二方もファンの皆さんもご自愛ください。
(最後、手紙みたいになってしまったけど、これはねてさめの感想ですよ)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?