アニメ『バクテン!!』は彼らの青春であり私の青春である

バクテン!!は、今年4月からノイタミナ枠で放送されている高校生男子新体操部の青春を描くTVアニメである。
と同時に、私の青春である。正確には、いつかどこかに置いてきた、失ってしまった私の青春がここにあるのである。

当投稿はバクテン!!の紹介記事ではなく、私個人の行き場のないクソデカ感情を吐露する場でしかないため、ここで内容について深く触れることはしない。
ただ、男子高校生らしい無邪気さや和気藹々とした雰囲気を前面に出し何よりも先ずシンプルに楽しいアニメであると同時に、その狭間に彼らの不安、葛藤、ぐっと心が動く瞬間が本当に繊細に丁寧に描かれている素晴らしいアニメだということには言及しておこう。

本題に入るが、なぜバクテン!!は私の青春なのか。
私は新体操どころか運動部ですらなかったが、毎週バクテン!!に青春を見、頬をべとべとに濡らして視聴している。
冒頭から既に再三言っているほどにバクテン!!に私の青春があると感じるのには以下の二つの理由があると思う。

まずひとつが、主人公たちと自らとを重ね合わせているからだ。
先に述べた通り、私は運動部ではなかったし、寮生活もしていなかったし、インターハイとかいう大きな大会を目指したこともない。では何をしていたのか、という話をすると身バレの危険性が出てくるので控えるが、とにかく彼らの活動内容とはかけ離れている。
しかし、同じなのである。
彼らが抱くふとした不安や葛藤、それがどんどん大きくなってしまって悩んだり、もっともっととがむしゃらに頑張って、なのに上手くいかなかったり。かと思ったら誰かの言葉や行動で意外とすっと立ち直り、できるようになったり。
それまで興味なんてなかったのに、ある瞬間心奪われ自分もあんなふうに、と目を輝かせたり。
たとえ小さな一歩だとしても、何かができるようになって感動したり。仲間と合わさって初めて何かが生まれた時、そしてそれがある臨界点を超えてその時その場にしかない唯一無二の何かになった時のえも言われぬ高揚感だったり。
そして、色んな感情が溢れる中でもただただ純粋に楽しいと感じたり。
全く違った経験をした私にも、その青春があったのだ。
アニメを見ている時はそんなことまで考えていないのだが、確かに自分がどこかで経験したものと同じ心の動きを登場人物が見せるたび、私の心も動くのである。そして見終わってから、自分もあんなことがあったな、こんなことがあったな、楽しかったなと思い出すのである。

もうひとつは、バクテン!!というアニメと過去に私が大変に心を動かされ心から愛するアニメが似ているからだ。
そのアニメも男子高校生の部活動を通した青春を描くアニメだったが、内容が似ているという話ではない。
〝男子高校生の青春〟を繊細に、でも楽しく愉快に、そして何より綺麗に描き上げる様子が似ているのである。
青春の色とは、何色だろうか。
色々な色が当てはまりそうだが、バクテン!!に関しては青ではないだろうか。
それも、透き通った、だけどどこか力強さや深みも持ったような、そんな感覚の、空の色のような青。
そして、かつて愛した(もちろん今も愛している)アニメの青春の色もきっと青なのである。ぱっと画面に青が溢れると、私はその作品を思い出してしまうのである。
その作品は私にとってまさに青春であった。
毎週水曜の夜だけ少し夜更かしをして、母親にバレないように真っ暗な布団の中でガラケーでアニメを見ていたあの頃。小さくて見にくいその画面に流れるそのアニメを見て、布団の中でえぐえぐ泣いたものである。
そして、次の日には学校で友達と昨夜の内容について語り尽くして、でもとてもじゃないけど語り尽くせなくて。そして早くまた水曜が来ないかと一週間をそわそわ過ごすのだ。
今思い出しても本当に楽しかったと思う。
それから数年経ち、私は気がつけば大学院生になってしまい、携帯はガラケーからiPhoneに進化し、大きなテレビで堂々と深夜アニメを見られるようになり、当時共に語った友達とはまだ仲はいいが彼女らはもうアニメは見なくなってしまった。
それでも、バクテン!!を見ると当時を思い出して、楽しかったなと振り返って、それがまた楽しいのである。
そういう意味でも、バクテン!!には私の青春があるのだ。

ここまで1700字以上も飽きずに自分のクソデカ感情の源泉について考え書いてきたわけだが、ぶっちゃけそんなことはどうでもいい。
バクテン!!は怖くも悲しくもない、楽しく明るくまっすぐな男子高校生のアニメだが、何故だか毎週アホみたいに泣けるので、とにかく全人類に見てほしい。
1話を見終わった時、きっと涙が溢れているだろうし、2話ではもうOPが流れ始めた瞬間に号泣だろう。私はそうだった。
その理由は人によって違うだろうし、違って当然だが、バクテン!!は彼らの青春であり、私の青春であり、このアニメを視聴する全ての人の青春になるはずである。
もうなんでもいいから本当に全員バクテン!!を見てくれ。頼みます。