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【特集】阿部諒(仙台89ERS # 13) 個別スカウティング

2024/4/20-21は
仙台89ERS vs レバンガ北海道 AWAY2連戦です。

仙台89ERSは2024/4/19現在で
23勝31敗(勝率.426) B1東地区6位のクラブチームです。

これまでの対戦成績は
 レバンガ北海道 8勝
 仙台89ERS 7勝

というように、
ほぼ互角の結果となっていますが、
今季はホーム・アウェイでそれぞれ1敗を喫しており
まだ勝利をつかんでいません。

ちょうど1か月前の水曜ナイトゲーム(AWAY)で
# 13 阿部諒 に29得点を許し72-61で敗れたのは
記憶に新しいかもしれません。

2023/12/6のホーム戦でも
# 13 阿部は 18点・8アシストを記録し、
81-90でレバンガ北海道は敗れています。

そこで本記事では、
仙台89ERSのキープレイヤー # 13 阿部を
徹底的に分析しようと思います。


◯ # 13 阿部 諒 基本スタッツ

[2024/4/19現在]

28歳 184cm/82kg
54全試合出場・全試合スターティング

平均プレイタイム  29分14秒
平均得点数             14.4点
 フィールドゴール成功率 38.0
 3ポイント成功率              31.1
 フリースロー成功率         65.9
平均リバウンド数   3.7本
平均アシスト数       4.7本
平均ブロック数       0.2本
平均スティール数    1.6本


ショットチャート

仙台89ERS # 13 阿部諒ショットチャート
[2024/4/19現在]

どのエリアからも得点できるというのが脅威です。

特にペイントアタックを好み、
リム周りは63%、それ以外のペイント内で41.8%と
ペイントエリア内の攻撃力が強みとなります。

ペイントと3ポイントが主流の現代バスケットでは
得点効率の観点からミドルレンジを避ける傾向がありますが
# 13 阿部のミドルレンジは
試投数も成功率も高いのが特徴です。

3ポイントについても、どの角度からも打てて
1試合平均5.8本の試投があります。

アシストにも長けており、
# 13 阿部からの得点を阻止するだけでは不十分であり、
攻撃の起点になることが多い仙台89ERSの中心選手です。


◯ データで見る # 13 阿部諒

島根スサノオマジックにいた頃から、
# 13 阿部には得点を大量生産されている印象があり
その客観的な根拠を調べたいと思い、
以下のような着眼点でデータをピックアップしました。


【# 13 阿部の得点数とチーム勝敗の関連】

2024/4/19現在、# 13 阿部の 平均得点は14.4点です。

# 13 阿部個人の得点数と
チームの勝敗数の関連を調べてみました。

個人20点以上        → 12試合 11勝1敗
個人15点〜19点  → 14試合 3勝11敗
個人10点〜14点    → 14試合 6勝  8敗
個人10点未満        → 14試合 3勝11敗

個人得点10~19点のゲームでは
9勝19敗と勝ち負けとの関連は乏しいように見えますが、
個人得点20点以上と10点未満とでは
面白い結果が得られています。

個人20点以上の12試合では
なんと11勝1敗という結果になり
チームの勝利に大きく貢献しているのが分かります。

他方、個人10点未満の14試合では
今度は反対に3勝11敗というように
負ける確率を高めてしまうようです。

過去のデータからのみで語ると、
# 13 阿部に20点以上を取られてしまうと
仙台89ERSから勝ちを得ることは難しいのです。

強力なインサイド外国籍プレイヤーの存在と
この# 13 阿部の貢献が仙台89ERSの武器になります。
言い換えると、# 13 阿部・外国籍に大きく依存しており、
# 13 阿部の得点が断たれたときが
クラブチームにとっての課題でもあるのです。

今節の2試合では、
# 13 阿部の得点が20点を超えるかどうかが
一つの着目ポイントとなります。

もちろん、10点未満に抑えられれば
それはそれで勝つ確率を高められそうですが、
外国籍プレイヤー、特に # 45 ネイサン・ブースにも
強力な引力がはたらくので
# 13 阿部ひとりに絞って守ろうとすることは
現実とは乖離したプランとなるように思えます。


次に、10点未満の対戦相手を挙げてみます。

ディフェンスレーテイングの高い
アルバルク東京が2試合、宇都宮ブレックスが3試合、
また、大阪エヴェッサにも個人10点未満で2連敗しており、
いずれの7試合も敗戦となっています。

残りの7試合の対戦相手は
富山・秋田・島根・京都・長崎・信州・三河です。
# 13 阿部の点数が10点未満と奮わずとも、
勝率の低い富山と信州には勝利しており
長崎からも勝ち星を得ています。
これらの7クラブとの対戦成績は3勝4敗です。


【フィールドゴール%とチーム勝敗の関連】

# 13 阿部の直近30試合での
平均フィールドゴール試投数、成功率を
勝ち試合・負け試合で分けてデータを算出しました。

# 13 阿部諒のフィールドゴール試投数・確率と勝敗の関連

このデータから言えることは、
・# 13 阿部のフィールドゴール試投数は勝敗で大きな差が無い
・勝ち試合ではフィールドゴール%が高い傾向にある
・フリースローによる得点も大きな差は無い

ということです。

つまり、
どの試合も一定数のフィールドゴール試投が託されており、
勝敗を分かつのはシュート確率なのだということです。

いかにタフショットにさせて
シュート確率を下げられるかが、
# 13 阿部の対策の鍵になりそうです。

さらに詳しく掘り下げていきましょう。

54試合中、フィールドゴール%が33.3%以下になったのは
約半数の26試合が該当します。

2023-24シーズン # 13 阿部
フィールドゴール%が33.3%以下の試合一覧

興味深いのは、この26試合では
わずか3勝しか出来ていないという点です。
しかも、その3勝は前述の茨城・富山・長崎戦です。

こうなると俄然と
# 13 阿部のフィールドゴール確率に
注目したくなりますね。


【なぜ # 13 阿部諒は止められないか】

これまでのデータが示したように、
仙台89ERS攻略の要件としては
・# 13 阿部からの得点を断つ
・# 13 阿部のフィールドゴール%を抑える
・インサイドの強い外国籍プレイヤーにも注意する

というシンプルなものになりますが、
なかなか# 13 阿部を止めるのは容易ではありません。

理由としては、
ショットチャートで示されるように
「どこからでも点を取れる」という得点能力と、
マークが厳しくなってもアシストに切り替えて
チームの得点に貢献できるからです。

さらに、
独特なフェイントやステップで
ランニングプレイでフリーになりやすい
という特色も持ち合わせています。

# 13 阿部は幼少期より
アルゼンチン出身のマノ・ジノビリに憧れて
彼をロールモデルとして練習に励んだといいます。

ジノビリというと、
2000年代に活躍したNBA選手であり、
ユーロステップを世界に普及させたことでも有名です。
彼のユーロステップは「ジノビリステップ」とも言われ、
バスケットボールの技術に影響を与えた
レジェンドの一人なのです。

# 13 阿部のステップは
宇都宮ブレックスの # 6 比江島とも共通する部分が多く、
そのいちばんの強みは
相手ディフェンスの動きに応じて
「後出しジャンケン」的に
進路やテンポを変えられることにあります。

その結果、イージーなレイアップシュートに
持ち込むことが容易となり、
ペイント内での得点効率が高いという結果に繋がります。

このように、
・シュートレンジが多彩で、どこからでも得点できる
・ディフェンスを引き付けてアシストで処理できる
・独特なステップでディフェンスを無効化できる
というアンストッパブルさが# 13 阿部の強みです。

データ的に、# 13 阿部を抑え込めば
勝利の確率が大きく上がるのは分かっていながらも
結果的に、# 13 阿部に仕事をさせてしまうのです。

島根スサノオマジックにいた頃は、
安藤誓哉とペリンビュフォードが得点源だったので
ロールプレイヤーとしてスポット起用されることが
多かったのですが、
仙台89ERSに入ってから役割が変わり、
積極的に得点に絡むようになってから
その才能を開花させ、
B1屈指のトップスコアラーにまで成長を遂げました。

本当に素晴らしい選手です。


◯ 見どころ

見どころは、ずばり# 13 阿部に対するディフェンスです。
データ的には、フィールドゴール成功率を
普段以下に抑えられるかどうかが見ものです。

願わくば、1/3以下に抑えられれば理想的なのですが、
他にも注意しなければならないプレイヤーがいる以上、
守り方に工夫を強いられることになります。

# 66 松下、# 81 関野、# 6 菊地が
うまくプレイタイムをシェアしながら
ファウル数を抑えて
プレッシャーをかけ続けるのが原則でしょう。

ボールマンのマークの強度を保ちながら、
・抜かれた後のヘルプディフェンスの強度
・ピックアンドロールに対する守り方の工夫
この辺りの小野寺HCの采配が
今からとても楽しみに思えます。

ボックスワンのような変則ディフェンスも
可能性としては挙げられますが、
(個人的には見てみたい)
2試合を通じて、# 13 阿部のオフェンスに対して
どのように仕掛けていくのかに注目しましょう。


いつもレバンガのミカタを
ご愛読いただきありがとうございます。

今日は、一人のプレイヤーに特化して
データを抽出・分析してみましたが
いかがだったでしょうか?

是非とも勝利をつかめるよう
引き続き、ブースター一丸となり
全緑応援していきましょう!

Bリーグ観戦を楽しむ話題提供を
少しでも出来ていたら幸いです。

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文) アズマ・リュウセイ
写真) 民谷 健太郎

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