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【コラム】 寺園脩斗という選手

◯ 2024/2/2現在のスタッツ

・平均プレイタイム 23:24 (今のところキャリアハイ)
・平均得点数 11.7点 (今のところキャリアハイ)
 FG% 45.0% 3FG% 41.3% FT% 87.1%
・平均リバウンド数 1.5本
・平均アシスト数 4.4本 (今のところキャリアハイ)
・EFF(貢献度) 10.7 (今のところキャリアハイ)

現代バスケットでは
ペイントエリアか3ポイントに
ショットチャートが集中するのがトレンドです。

ミドルレンジは得点効率が悪く
(リングから遠く確率が落ちる割に2点に過ぎないため)
両極端なショットチャートになりがちです。

# 4 寺園の特徴は、ミドルレンジも
チームオプションとして取り入れられている点であり、
これまで143本ものミドルレンジを打っています。
1試合平均に直すと4.3本ものミッドレンジになります。

現代バスケットボールにおいて
ミドルレンジのシュートをチーム内オプションとして
許容されるということは
相当に確率や得点効率が良いということを表します。

NBAでは、
クリス・ポールやカワイ・レナード、
レブロン・ジェームス、ケビン・デュラント、
ステフィン・カリーなどが良い例です。
八村塁もミドルジャンパーの名手であり、
その「ミドルレンジを許されたプレイヤー」の一人です。

# 4 寺園の2ポイントシュートのうち、
ペイントエリアを除いたミドルレンジの確率は
なんと! 45.5%にも及びます。
# 4 寺園のミドルレンジを打ち切った姿をみて
安堵するレバンガブースターも多いのではないでしょうか。

これまでシーズンの半分を過ぎたところで、
平均得点がキャリアハイを記録しています。
今の役割が「点を取ること」だと
勝利インタビュー等で公表されていて
それが見事に体現されている結果だと思います。

ただ、身長172cmと
Bリーグでも小柄な体型のプレイヤーであるにもかかわらず
チームのスコアを任されている背景には
本人のシュートセンスや
日頃の鍛錬の成果があるということは
言うまでもありません。

本来であれば、
ポイントガードとして起用したくなるサイズですが、
点取り屋として機能する理由がいくつかあります。


◯ チーム内に信用の置けるポイントガードが存在する

ルーキー # 15 島谷は
ルーキーシーズンと思えないほど
オフェンス・ディフェンス面でチームに貢献しています。
正規のポイントガードとして
スターティングに起用されることもあり、
# 4 寺園がスターティングに拘らずに済んでいるのが
功を奏しているのだと思います。

もしも、# 4 寺園が、ずっとスターティングだったら
スカウティングする側も
パターンを掴みやすく対策を練りやすくなります。
しかし、# 4 寺園がスターティングなのか
途中から出てくるのかが分からないと対応が難しく、
相手チームがスターティングメンバーを
交代させるタイミング(大体が1クォーターの途中)で
チーム指折りのスコアラーが出てくるのは
脅威でしか無いと思うのです。

また、# 17 綿貫の復帰も
チームにとって良い方向で非常によく機能してきました。
安定感のあるベテランのハンドラーとして
# 4 寺園や # 17 島谷のはたらきを
見事にバックアップしています。(しかもさりげなく)

小野寺ヘッドコーチはここぞという場面で、
ポイントガード2枚を起用することがあります。
引き締まったボール運び+ゲームメイクになりますが、
他方、ファウルトラブルやスタミナ配分が欠点になります。
その欠点を大きく補ってくれるのが# 17 綿貫であり、
# 4 寺園がのびのびスコアリングに専念できるのに
一躍買っているわけです。


◯ キャプテンとしての精神的重荷が分散されている

2023-24シーズンは
# 4 寺園・# 81 関野のダブルキャプテン体制です。
性格の違う2人のキャラクターが
お互いを補っていて、
良いチーム・ケミストリーを生んでいます。

いい意味で# 81関野は
性格的に肩の力を抜ける人なので
リラックスした雰囲気や
チームメイトが和む環境に
大きく貢献しているのだと思います。

# 4 寺園はバスケ一筋の点を
テレビ番組(レバンガホスピタルなど)で
先輩に指摘されていることもあり、
柔と剛(柔の方が関野剛平ですw)
直球と変化球とで
うまくバランスが取れているように
外から見ていて、そのように感じています。

点を取りに行くということは
ある種のエゴを優先して
周囲への配慮を断ち切るような決断も
時には必要であり、
そのときに他の人間が支えられる体制というのは
とても理に適っていると感じています。


◯ # 4 寺園起点のセットオフェンスが存在する

バリエーションはチーム内での機密事項でしょうから
見ている範囲でしか把握できませんが、
# 4 寺園起点のフォーメーションが複数存在します。

特に、# 7 中野や # 2 ラモスがコート内にいないときに
# 4 寺園がセンターサークル付近で時間をコントロールして
他の4人はエンドライン側でスペースをつくります。

1-4(ワンフォー)と呼ばれる陣形の一種で
ハーフコート中央にスペースが出来るのが特徴です。
(このパターンは1-4ローセットと呼ばれます)

参考) Five SpiritsさまのWebページ

ショットクロック10秒前後で
ビッグマン(主に外国籍)がハイピックに行って
2メン・ゲームに持ち込むところから始まり、
・ピックからの3ポイント
・ピックで引っ掛けてペイントアタック
・ピックで引っ掛けてミドルジャンパー
・ピック&ポップにパス供給
・ピック&ロールのペイントダイブにパス供給
という多彩な攻撃が
広いスペースの中で可能となります。

しかも、前述の通り、
ミドルジャンパーや3ポイントの成功率が高く、
非常に効率の良いセットオフェンスが出来るのです。

もちろん、# 4 寺園にマークマンが集中した場合には
他の選手やペイント内のディフェンスが緩くなるので
今度はアシストが機能するという良いリズムが作れます。

まさにフロント陣との連携、
チーム内のルールによって
# 4 寺園がスコアラーに徹することが出来るのです。


◯ まとめ

今回のコラムでは
# 4 寺園 目線でレバンガ北海道というチームを眺めてみました。

チーム内の得点分布は、
# 21 Dウィル 15.7点
# 24 ブルックス 12.8点
# 4  寺園 11.7点 です。

もちろん、
# 21 Dウィルや# 24ブルックス、# 2 ラモスが
得点面でレバンガ北海道に貢献しているのは事実であり、
時に外国籍ばかりが得点しているようにも
数値的には見えてしまうのですが、
ここ数年の外国籍依存のチームスタイルから
少しずつ脱却できているようにも見えるのです。

何より、「個の能力に依存せずチームで得点する」
というチームの方針が明確になってきており、
その象徴が # 4 寺園のスコアラーとしての側面だと感じました。

シーズンも半分を折り返し、
チームディフェンスの遂行度や
得点のバリエーション・精度が
少しずつ成熟しつつあるように感じています。

チームビルディングという観点においても
素晴らしいチームワークを実践しているチームだと
心から思える今日この頃です。

個人的には今季のレバンガ北海道の好きポイントとして
この、試合中のコート内外でのチームワークを
挙げたいと思います。

今日は、# 4 寺園脩斗から見える
レバンガ北海道のチームワークについて
書き綴ってみました。

みなさんの意見やコメントも
ぜひ聞いてみたいです!

文:アズマ リュウセイ
写真:民谷 健太郎

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