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哲学の論

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2022年7月の記事一覧

書評:何度でも始めるために(幸村燕「不在の現前」)

 以下は幸村燕「不在の現前──ミシェル・ウエルベックにおけるモチーフと構造〈乗り物から神まで〉」(『REBOX3 特集:ウエルベック』メルキド出版 2022)の書評である。
 この論考はウエルベックにおける様々なモチーフを「不在」というキーワードで結びつけ、ウエルベックの小説の構造、そして人間観について論じている。ここでなされるウエルベックの巧みな読解を一節ごとに追いつつ、書評に代えよう。
 まず

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