古田武彦『関東に大王あり』https://www.nanshin-lib.jp/WebOpac/webopac/searchdetail.do

『邪馬台国はなかった』で文章を逐一検討することに魅力を感じたなら読むといい。
埼玉県行田市埼玉にある稲荷山古墳(推定5世紀後半)から出土した鉄剣に金で象嵌された、片面57文字片面58文字合計115文字を読み解くために知恵を絞っているいる様子が丹念に描かれている。金石文の良いところは彫ったままが残っていることである。これが書籍の場合はかなりいろいろな版本を集め、本文からどれが元の文を忠実に写しているかを検討する必要が出てくるが、その作業が無くてよい(例えば、竹簡の『史記』がそのまま残っているわけがない)。だからと言って油断は禁物であるが。銘文作成者の作文能力のほどと、刻銘者が正確に刻んだか、の問題は一つ一つ読み解いていく中ではっきりとわかってくることである。

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