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初産婦、陣痛に耐える話

最近、ベビーラッシュを感じる。

年齢が年齢ということもあるけど、
それにしてもこんなに集中するものかと。

久しぶりに会った友人から
実は今おなかに赤ちゃんがいて…
なんて話をよく聞くように。

産休に入って時間ができたからお茶しよう!と、
妊婦さんと会う機会が多くなると
必然的に出産や子育ての話で盛り上がる。

何かと息子を出産した時の話をする機会があり、
だんだんと記憶が薄れていっていることを感じる。
(出産の痛みは忘れるというけど本当。笑)

後から読み返せるようにnoteにまとめておこう。

陣痛ってこんなに可愛いものなのか…?

出産予定日の前日。

いつもと変わらず、胎動カウントをとっていく。
今日もよく動くな〜

お天気はあいにくの雨。

「子宮口が1cmしか開いてないからもっと歩け」と
助産師指導を受けていた私。
正直、おなかが重くて腰も痛いし歩きたくない…
雨ともなれば家に引きこもる良い口実。

なんだかんだダラダラ過ごしていました。

冷蔵庫にアボカドがある、
生クリームも早く使わないと。

出産の兆候がないと言っても、陣痛が来たら入院
5日間は家を空ける。

料理はできても食材の管理ができない夫。

痛みそうなものは冷蔵庫からなくしておきたい…
今日の昼ごはんはアボカドクリームパスタにしよう。

昼食を終えて引き続きゴロゴロに勤しむ。
レンタカーを返却してきた夫が
pastelのプリンをお土産に帰宅。

夕方4時頃。なんとなく下腹部が痛む気がする。

胎動カウントと並行して、腹痛は前駆陣痛として
陣痛タイマーも記録していた。
よく見たら陣痛タイマーも5分に1回になってる。

思わず母にLINEで聞いてみる、
陣痛ってこんな可愛い痛みなの??

ひとまず陣痛が来たなら産院へ電話しろと言われ
産院に電話をしてみる。陣痛ってこんなもんか?

「すみません、生理痛みたいな痛みが
5分間隔で来るようになったんですが…」

今すぐ来てくださいと言われるかと思いきや、

「まだ余裕がありそうですね!自宅で様子見て
痛みがきつくなったらまた電話してくださーい」

え?

あれ?

まぁそうか、陣痛が我慢できる痛みなわけないか。
もう少し様子見るか〜

電話を切って母にLINE。まだ様子見ろって。

あ。やばいこれ絶対陣痛だ!と気づく瞬間

痛みがじわじわと増していき、午後6時。

あ、ちょっとやばいかもこれ絶対陣痛!!!

さっき電話してから2時間だけど…
えい!産院にもう1回電話だ!!!

「すみません、さっきより痛みが強いんですけど…」

今度こそ繰り出されるか!?"今すぐ来てください"

「そうなんですね!でもまだ余裕そうですね。
喋れないくらいきつくなったらまた電話ください」

そうか、まだ余裕なのか。仕方ない。

と、電話を切ってからふと思う。

喋れないほど痛みが強くなってからの電話って
SS難易度ミッションすぎないか!!?
(産院は電話交換台につながるので直通じゃない)

そして不運なことに、電話を切ってすぐ
叫ぶような痛みが到達する。

でも…でもまだ我慢できる痛み…喋れる…

なんだこのスポコン漫画みたいな状況。
そして明らかに動揺し始める夫。

さっき電話したばかりだし、
という謎の気遣いでしばらく痛みを観察してみる。

午後8時。推しの配信が始まったので視聴。
これが終わったらダメ元で産院に電話しよう…

この時わりと痛み止め飲みたいレベルの痛みでした。
それでも見たい配信、食べたいプリン。

動揺した夫といざ産院へ!

配信が終わった午後8時半頃、産院へ電話。

「もう無理です…痛いです…」

さっきまでツイキャス見てただろう。
急に弱音を吐いてみる。

「わかりました。一度ご来院いただいて
診察して入院するか決めましょう。
念のため入院準備して来てくださいね」

やっと…やっと診てもらえる…!

分娩バッグと陣痛バッグを車に詰め込み、
夫の運転で産院までいざ出発!

…と思ったのだが、
動揺しまくっていた夫。ナビも入れずに発進。笑

痛みに耐えながら助手席から道案内。
しかも雨が降って視界も悪い。道も混んでる。
早くしてくれぇぇええ。泣

なんとか病院の時間外窓口に横付けして下車。

この時すでに陣痛が来てる時は動けないほどの痛み。

なんとか受付を済ませて、休み休み産科病棟へ。

入院するか帰るか

診察をした結果言われた衝撃的な言葉。

え?ここまで来て帰るっていう選択肢あるの?
子宮口がまだ3cmだったので、
翌朝陣痛が遠のき帰宅することになるかもと。

無理無理無理!!!入院一択!!未来より今!!

夫に車から分娩・入院バッグを持ってきてもらい
そのまま入院手続きへ。

入院といっても、陣痛が来ているので
病室ではなく陣痛待機室へ。
ベッドとちょっとした机があるだけの独房感。
ここで1人、ひたすら痛みに耐えるのか…

5分に1回猛烈な痛みが襲ってくる中、
NSTモニター(おなかの張りとか測る機械)をつけ、
点滴を繋ぐための針を腕に固定し、
コロナ5類以降から間もなかったため
念のためコロナの抗原検査で鼻に綿棒突っ込まれ…

陣痛の他にも様々な痛みを乗り越えさせられ、
助産師さんに腰を摩ってもらいながら
入院書類にサインをする。もう泣きそう…

「何かあったらナースコールしてくださいね〜」

行ってしまった…1人だ…

時間は既に午後10時。
まさか一睡も出来ずに朝を迎えるとは
この時は思いもよりませんでした。

誰か…腰をさすってくれ…

なんやかんや5分に1回の陣痛に耐えること深夜2時。
ここからとんでもない腰痛に見舞われる。

いっっったーーーーい!!!!!!!!

思わず叫んだ。深夜の病棟。
たしかに、こりゃ病室になんか入れられないわ。笑

下腹部の痛みから急に腰の激痛に。

たとえるならば、凝り固まった筋膜、
そして骨盤を巨人が引き裂こうとしてくる痛み。
金属バットで叩かれた痛みとか、
そんな一過性なやつじゃなくて
明らかに誰かが力を入れ続けてる持続性の痛み。

やばいやばいやばいやばい

慌ててナースコール

「どうしましたかー?」

た、助けてください、腰が、腰がやばいです

完全に痛みに負けて語彙力ゼロのSOS

かけつけてくれた看護師さん(助産師さん?)

腰を温めると痛みが和らぐとアドバイス。
すでに腰には貼るカイロを貼っていたが
全く痛みが緩和されておらず戦力外アイテムと知る。

レンジで温める小豆カイロみたいなのを
貸し出してもらえることに。しかもビッグサイズ。

腰に当ててちょっとマシになった気がする。
あくまで、"気がする"。

女神の施しを受けて去っていく女神。

なんとか耐えようとするがやはり痛い。
誰か腰をさすってくれないものか…

耐え難い。カイロも効果が弱まってきた気がする。

再びナースコール。

が、しかし、呼び出し中に陣痛到来。

「どうしましたー?」

うっ…うぅぅぅ…

痛すぎて応答できず、察した看護師さん再降臨。

カイロを交換、さらに増員してもらい
カイロ3つで骨盤を囲むように温め。

ついでに診察もしてもらい、
少し進んで子宮口5cm。ただいま夜中の午前3時。

「いきみたくなったら呼んでくださいね」

意味深な言葉を残して去っていく女神。

いきみたくなったら?どういうことだ?
経験豊富な女神、
この言葉の意味をわりとすぐ知ることになる。

誰か内臓を下から引っ張ってません?

時計を見ると、時刻は午前5時。
結局一睡も出来なかった…

先程までの腰の巨人は居場所を変えたらしく、
何やらおしりのあたりが痛みだす。
痛いは痛いが、それでも腰の痛みよりはマシ。
もう痛みのパラメーターがバグっている。

そしてこの時を迎える…

なんか…めっちゃ…

💩したい…

これがいきみたいということなのか…?

ひとまず、呼んでくれと言われていたので
ナースコールしてみる。

「どうしましたー?」

「すみません、なんか、いきみたいんですけど…
ど、どうしたらいいですか…?」

我ながらマヌケな質問。笑
どうするもこうするも耐えるしかないというのに。

そんなマヌケな妊婦の元に女神降臨。
そして女神、マヌケ妊婦のおしりにスっと手を当てる。
(実際はめちゃくちゃ強い力で押してる。笑)

え!すごい!!めちゃくちゃ楽になった!!

いきみたい力を今使うと、
出産でエネルギー切れになってしまうらしく
"いきみ逃がし"をするように指示される。

あの…いきみって逃がせるんですか…?
とてもじゃないけど自分のおしりに手が回らなくて…

そこで女神が差し出してきたもの

じゃーん!テニスボール!!

困惑する私。この状況で一発芸要求だろうか。

そうではなくて、テニスボールをおしりに当てることで
いきみ逃がしの効果を得られるのだそう。

ひとまず女神からテニスボールを託され、
次の陣痛のタイミングでトライしてみる。

きたきたきたきたきた!
ここで繰り出すテニスボール!
さあ!私のいきみを逃がすのだ!!!

ん…?

あれ…?

逃げてない逃げてない!!!全然逃げてない!!!
内臓がおしりから全部出そう!!!
(痛い上にめちゃくちゃ下に引っ張られる感覚)

マヌケ妊婦、テニスボール片手にナースコール

「すみません!テニスボール難しいです!
他に方法ありませんか!!?」

ナースステーションに響き渡ってると思うと
めちゃくちゃ笑えるマヌケ妊婦。

女神、万策尽きたか。
テニスボールを回収してゴッドハンドおしり押さえ。

忙しいだろうに…すまん…本当にすまん…

痛みも大概だが、いきみ逃がし、難しすぎ。

飯が…食えない…だと…?

インフルエンザでも土鍋いっぱいのお粥を食べる私。
具合が悪くても食事がとれることには自信があった。
この日までは。

午前6時。マヌケ妊婦の元にドクター登場。
そして診察。なんと子宮口9cm。

「これから朝食が来ます。出産はエネルギーを
使いますので、食パン1枚完食を目指しましょう!」

もうぶっちゃけ食事どころではない疲労度。

とにかく痛みから解放してくれという気持ち。

入院から9時間。何度、無痛分娩をネット検索したか…

そして運ばれてきた朝食。
食パン2枚、コンソメスープ、カレー炒め、牛乳、苺ジャム
痛みさえなければモリモリ食べれる。しかもパン

とりあえず食パンを袋から出してジャムを塗る。

陣痛が来て1分間ベッドでのたうち回る。
(陣痛は1分間痛みに耐えれば一旦引くもの)

気を取り直して震える手で食パンを1口もぐっ。

もぐもぐもぐもぐもぐもぐ…ゴックン…

い、痛えぇぇえええええ!!!!!!

なぜだ。食パンが胃に入った瞬間陣痛が来た。
敵(陣痛)に塩(エネルギー)を送ったか…?

しかも、なんか、食べ物が喉を通ると喉が痛い…

思い返してみれば、この一晩、
陣痛の到来とともに胃酸が逆流して
それを水を飲んで押し戻してごまかしていたけど
しっかり逆流性食道炎を起こしていたのかも。

待ちわびたGOサイン

のたうち回ってはパンに手を伸ばし1口。
時々スープや牛乳をすすり、
カレー炒めは申し訳ないが気分ではない…

そんなことをしている間に日勤の助産師さんがやって来る。

全然減っていない朝ごはんを見て、
「パンの耳は残してもいいから白いところ食べてみようか!」

ああ、子どもが普段やったら怒られそうなことを
いい歳した大人が勧められちゃってるよ…すまんな…

頑張って白いところだけでも食パン1枚完食。
お食事を下げてもらい診察。

午前9時、ついに子宮口全開!

「10時頃には分娩台に上がってもらうので
立ち会いされるご家族に連絡してくださいね」

そう、この産院は妊婦が自分で連絡するスタイル。

あらかじめ立ち会い時の受付方法など
院内案内図にまとめて渡しておいた。
だから細かな説明を省いても自力で来れるはず…

我が夫よ、出番だ。

夫を呼び出し、分娩室移動までしばし待機。
次回、出産の思い出をつづります。

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