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生成AI×BCP作成・運用ルール(その1)

今回は、生成AIをBCPやBCMに適用する上でのリスクとそれを防止・回避するためのルールについて考えてみたい。生成AIの使い方については、多くの業界、多くの組織や団体で独自のルールを設け始めているようなので、僕もこれにならって検討してみた。ルールを検討するに当たっては、次の問いの答えを明確にしておく必要がある。

生成AIをBCPやBCMに適用することで何を期待するのか?

この問いに対する答えは、多くの一般的なオフィス業務のAIニーズに即して考えれば一目瞭然であろう。つまり、BCPの策定や事業継続管理(BCM)に要する時間と労力を省くことである。別の見方をすれば、BCP/BCMについて勉強する時間を省く、研修などに参加する費用や時間を節約する、あるいはなかなか結論の出ない部分について暫定的な方向性を導いてもらうといったことである。

本来、BCP文書一つを完成させるには、いわゆるBCPのひな型(テンプレート)を用いたとしても数週間~3ヶ月、本格的な検討会議を開いてプロジェクトとして進行した場合は6ヶ月以上要する作業となる。

それが、(僕の見立てだが)ChatGPTを使えばBCP文書を組み立てるだけなら1日で完成させることが可能だ。対話型AIを通じて、上に述べたような利用者のニーズに答えることは、おおむね可能なのである。ただしBCP策定/管理者自身が気づかない、あるいはあえて無視したくなるリスクも内在している。一言で言えば、「とりあえず形だけ作ったらそれでおしまい」になってしまう可能性がきわめて高いのである。

このリスクはしかし、対話型AIに限ったことではなく、従来よりBCPの世界では繰り返し忠告されてきたことである。僕自身、BCP策定講習会では、時間の節約のためにテンプレートを活用することが多いが、決まって参加者に「BCPはテンプレートを記入しただけでは使えないので、必ずみなさんで検証してくださいね」と念を押すことにしている。

以上の経緯をふまえて、次回は対話型AIをBCPやBCMに適用する上で留意すべきルールについて書いてみたい。

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