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大地震発生直後に帰宅難民にならないための備え(2)

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夕方の都会のど真ん中で大地震に遭遇した時のことを想像するに、なんとか生き延びるためには、少なくとも次の6つを日頃から念頭におき、意識的・物理的にスタンバイさせておくことが大切と筆者は考えています。


1)大群衆の波に飲み込まれないこと

 災害が起こると、人は早く帰りたい、あるいは何か情報がありそうな気がするという理由でターミナル駅に殺到します。しかしそこで待ち受けているのは大混乱とパニックだけです。こうなると、もし火災や余震が発生しても逃げ場はありません。可能な限り混雑する場所、人が河のようにどっと流れている方向には絶対行ってはならない。可能な限り人の流れの少ない方角へ向かうか、最寄りの頑丈な商業ビル(ショッピングセンター)などが解放されていればそこに逃げ込む。万一人の流れに巻き込まれたらボクサーのように胸元に手を組んで呼吸する空間を作り、流れに逆らわず(逆らうと簡単に押し倒される)、周囲を観察しながら隙を見て安全な方向へ逃れること。

2)頭上からの落下物や倒壊物の直撃を受けないこと

 街中を歩くときは、日ごろから「地震モード」の眼で周囲を見渡すことが大切。つまり、ビルの谷間や商店街を歩くときは上からの落下物(看板、液晶掲示板、室外機その他多種多様)、電柱やブロック塀、自動販売機、立て看板等の有無をざっと目視で確認する。これだけでも地震発生時にすばやく行動できるようになります(近くのビルに逃げ込む、逆に頭上が開けた広場などがあればそこへダッシュで避難するなど)。

3)通信手段を確保できるか?

 災害時、音声通話は輻輳によりつながりにくくなるのでSMS(ショートメール)やメール、SNSなどに頼ることになります。メールやSNSなどインターネットを利用する場合は、災害時に無料解放される00000JAPANなどのWifiは使える可能性もあります。しかしこれらは確実に使用できる保証はありません(スマホのバッテリー切れ、故障、紛失など)。万一に備えて、たとえお互いに連絡がとれなくても家族一人ひとりがどう行動すべきかを、マイタイムラインを作って共有しておくことをお勧めします。

4)日没・停電による暗黒とガレキの街中でどう過ごすか?

 大地震が起こって日が暮れてしまった時、最寄りの避難所や公園、広場などが見つかればベターですが、もし見つからなければ、どこか安全な場所を探してしばらく待機するしかありません。この時、(季節と天候にもよりますが)着の身着のままでは健康を害して熱を出したりする危険性があります。そこで、筆者の場合、リュックとしても使えるバックには常に次のアイテムを常備しています(使い方はご想像にお任せします)。

  • 超軽量ツエルト(登山用の簡易テント)

  • 小型軽量ヘッドライト(登山用)

  • 行動食(カロリーバー・500mlのペットボトル)

  • 透明ビニール袋に入れたタオル

  • 携帯バッテリー

  • バンドエイド

  • 新聞紙

5)被災した街中を迷わずに自宅方向へ歩けるか?

 ビルが傾き、あるいは火災等で倒壊した街中は、ふだん見慣れた場所でもまったく異なる風景に見えてしまい、道迷いの危険性が高まります。もしスマホのGPSが使えれば、それが大きな助けとなるでしょう。筆者の場合はスマホのGPSは使わず(バッテリー節約のため)、初めての場所を探す際も紙の地図(昭文社のハンディマップルなど)で最寄りのランドマークを頼りに探すテクニックをふだんから身に付けています。一般の人は同じく昭文社の「帰宅支援マップ」などをバックに入れておくとよいでしょう。

6)自宅までの30~40キロの道のりを歩けるか?

 火災や余震の危険などで長距離を移動せざるを得ない場合があるかもしれない。登山を趣味とする筆者の場合、履きなれたスニーカーなら30~40キロ(所要時間7~10時間)、革靴なら25~30キロ(所要時間5~7時間)歩くことは可能と考えています(足がマメだらけになるかもしれませんが)。ただし気象条件が悪ければ、これらの三分の二~半分程度に距離は短まります。一般の人は、ふだんから一日5~8キロ程度のウォーキングやジョギングをしておくことは必須でしょう。緊急事態は体力勝負なのです。

以上が、筆者が郊外の自宅から都心に出かける時に常に備えていること及び行動方針です。災害時には共助の精神が大切と言います。そのためにはまず自助努力で生き延びる。そこから共助への余裕が生まれるのです。

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