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#2 ビジネスインパクト分析の基本事項


ハイレベルBIAと業務プロセスBIA

BIAには何を対象とするかで2つのアプローチがある。一つは複数の事業部門(X事業、Y事業、Z事業…)を持つ会社が、非常時にどの事業部門を優先的に守るのかを選定するために行う。これを「ハイレベルBIA」と呼ぶ。
もう一つは、一つの中核事業を構成する複数の業務(仕入業務、営業業務、製造工程など)が止まった時に、どの業務を優先的に再開すべきかを特定するために行う。これを「業務プロセスBIA」と呼ぶ。
大企業と異なり、多くの中小企業では上記のプライオリティ(事業や業務の重み付け)はすでに経営者や現場の部課長の頭の中に入っているから、わざわざBIAなどというややこしいことをやる必要性は感じていない。しかし、BIAの結果を可視化し、BCPに反映させているかどうかで、非常時の判断や意思決定に差が出てくることは言うまでもない。以下では最も重要な「業務プロセスBIA」を中心に解説する。

BIAは一人ではできない

中小零細企業では、BCPを一人の担当者が自己完結的に作成している姿をよく見かけるが、残念だがそのBCPは徒労に終わるしかない。同じように、ビジネスインパクト分析(BIA)を一人でコツコツ行っても絵にかいた餅にしかならない。
BIAがうまくいくかどうかは、組織のトップがこの分析の実施に賛同し、サポート(みなさん、この調査にご協力ください!と関係者に呼びかけること)をしてくれるかどうかにかかっている。効果的なBIAの取り組みには、主要な内外の関係者すべてが関わる必要があるからだ。

事業組織の理解

ビジネスインパクト分析は、経営分析のようにむずかしいものではない。一言で言えば「調査」とその結果の「とりまとめ」なのである。そのための前提は、BCPの適用範囲内にある事業組織を調査対象とすることである。どの部署はどんな業務で構成されているかを理解しなくてはならない。この知識がなければ、BCPでどの業務群を守ればよいか、どの順番で復旧すればよいかの優先順位が見えてこない。

次回は「ビジネスインパクト分析の進め方」について解説します。

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