君の歯茎の肉を食べたい

人の歯茎を食べたことがある。

当時付き合っていた男が親知らずを抜いて、もらって帰ってきた。

可愛らしい歯の形をしたケースを開けると、それはそれは歪な形のデケェ親知らずが入っていて。
こりゃ抜くわ、こんなん生えてたらいてぇわ、
と思いつつその親知らずを転がしてみると、

割とデカめのサイズの歯茎の肉がくっついてきていた。

「これ、食べていい?」

昔からカニバリズムとかゲテモノとかジビエとか昆虫食とか、そういうものへの興味が尽きなかったわたしは、思わずそう口にしていた。

彼はドン引きしつつも笑いながら「いいよ」と返してきた。いいんかい。

彼の許可はもらったが、人肉を食うとクールー病だとかプリオン病だとかに感染するやも、という知識があったわたしは一応調べてみることにする。

歯茎ってなんなんだろうか、と。

サラッと調べてみたが歯茎とは皮膚の塊みたいなもの、腱や靱帯と同じ軟組織に含まれる、ということが分かった。
こんなことも教えてくれるネットはすげぇや。

そして皮膚の塊ということは食べてもOKだろう、という結論に至る。
小学生の頃ささくれとか瘡蓋とか食ってたし。

わたしは早速、歯茎つきの親知らずをケースから取り出して洗った。
歯茎を引っ張ると、ぷち、と音がして親知らずから離れた。
ちょっとこうして見ると肉のカスっぽい。
ピンクでプリっとしてていい感じだ。何が?

水分を拭き取り、一口で歯茎を食べた。
味はない。皮膚だからそりゃそうだ。
食感はなんだか砂肝っぽい。コリコリしている。
そしていつまで経っても飲み込むタイミングが見つからない。
ホルモン食べてる時と同じ感覚だ。
やっとこさそろそろ飲み込めるだろうな、というところでゴクリと飲み込んだ。

とうとう禁断の…!(ゆる)カニバリズム…!みたいな感じになるかと思いきや、全くそんなことはなく。ささくれや瘡蓋の延長という感じだった。
おそらく小学生の頃にささくれや瘡蓋を食ったことのない人は禁断の…!という感じになったかもしれない。

微妙な顔をするわたしの横では、彼が「俺が食っておきゃよかった!ネタになったのに!」と残念がっていた。
すまんね。

わたしは親知らずがまだ生えてきていないし、左下は存在すらしないから、自分の歯茎を食べられるのはまだまだ先になりそうです。

そんでこれいま書いてて思ったんだが
しっかり洗ったとはいえ血がついていたので、そっちで病気になるかもしれません。
いい子は決して真似しないでください。

ありがとうございました。

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