indigo la End「はにかんでしまった夏」歌詞の意味を解説-はにかむって何?
疾走感のある失恋ソング
indigo la Endの「はにかんでしまった夏」は、ただの失恋を単なる失恋ソングにはさせない深い歌詞が魅力的です。
失恋ソングなのに疾走感のある不思議な曲の構成をしているところも、indigo la Endらしさが出ているといえます。
ガラスケースに閉じ込められた花と人
「はにかんでしまった夏」のMVをてがけたのは枝優花監督です。「蒼糸」のMVも手がけています。2曲ともとても印象的な映像を制作されています。
透明感のある映像なのにすこし窮屈な印象を受けますね。
短く過ぎ去っていく夏の終わりのように疾走感のあるこの曲、どのように展開されていくのでしょうか。
魔法にかかったように突然恋をした
『夏の瀬』とは夏の時間の流れる速さを表しているのでしょう。
夏がもう終わろうとしている時、まるで魔法にかかったかのように芽生えてしまった恋心は、自信をもって『恋』と呼べるものではないみたいです。
本当に好きなのかもわからない。ただ好きと勘違いしているだけの恋かもしれない。
そんなはっきりとしない、まさしく確信に満たないことだらけな恋だったのでしょう。
そんな恋なら最初に解けてほしかったのかもしれませんね。
素直になれないのはどんな時か、まさしく恋をしているときですよね。今恋をしているという感覚が心地よいのでしょう。
他人同士の関係から、自分の弱みを少しずつ見せていくことでそれ以上の関係になることを計画していたのでしょうか。
自己中心的で距離感のつかめない愛情
筒から覗くとどうなるでしょうか。覗いているものははっきりと見える代わりに、周りが一切見えなくなってしまいます。
私たちは、物との距離を測るのに周囲にある景色や物体を手がかりにすることがあります。
筒の穴からでしか君を見れていない主人公は、相手との距離感すら掴めなくなっていたのかもしれません。
そんな自己中心的な愛情を送っているうちに、『君』はいなくなっていたのでしょう。
はにかんでしまった夏
別に好きじゃなかったのに、と『君』がいなくなったことで涙が出ていることに戸惑っている様子。
愛想笑いしようにも心がモヤモヤしてうまくできません。
自分の恋を失ってしまったことにかなり動揺しています。
本気の恋でないならば、恋が終わった瞬間気持ちを切り替えることができたかもしれません。
でも、主人公の頭の中は『君』でいっぱいです。
依存しているつもりでなくても、いつの間にか『君』は主人公にとって必要不可欠な存在になっていたのでしょう。
『はにかむ』とは、「恥ずかしがっている様子」という意味があります。
主人公の自己中心的な恋が失敗に終わるところを見た夏が、恥ずかしそうに笑ってしまったのでしょう。
主人公はまだ認めていないのでそんなはにかんだ夏を睨んでしまったようです。
感情を制御できない
体を重ね合う度に、もっと相手のことしか考えられなくなっています。
のめり込んでいくほど距離が離れていきます。
相手を守るための武器。その鋭さで守るべき『君』すら傷つけていたのでしょう。
一生懸命に鉄を打ち、広がる愛情の熱は『君』がいなくなったことで冷めてしまいました。
忘れようとしても離れない
寝違えたり、酔ったりするのは一晩寝るか、一日経てばすぐに治ります。
そんな軽いものだと思っていた主人公は、頭の中を泡のように広がり揺らめく『君』に困っている様子です。
本気でなかったと自分に言い聞かせる
『はず』という言葉に主人公が自分に本気の恋じゃなかったと言い聞かせているのが伝わってきます。
しかし、一度漕ぐといつかは止まるはずのブランコがなぜか揺れ続けています。ここにも主人公の止まらない『君』への感情が感じられますね。
夏への執着
『君』との恋は夏そのものです。夏が過ぎてしまえば君は本当にいなくなってしまうかもしれない。
せめて自分の中だけでも君を離さないようにしているのでしょう。
しかし、夏に実体なんてあるはずもありません。そんな夏に恨み言を言う自分に呆れている様子が窺えます。
『君』=『夏』秋には続かない
ここにきてやっと自分の本当の気持ちに気づいたようです。いや、実はもっと前から気づいていたのかもしれません。
ようやく自分と向き合えた主人公。しかし、もう『君』はいません。
感傷的になっている主人公。
せめて夏だけは逃げるなよと睨みつける主人公。『君』が消えないように、自分の中からいなくならないように。
しかし、秋は必ず来ます。
『君』のいる夏は自分の中に隠して、次の季節へと歩んでいくのでしょう。
いかがだったでしょうか!
川谷絵音の歌詞には、擬人法や比喩表現が多く使われています。
聴く人それぞれ違う景色を浮かべることもあるでしょう。しかし、それが彼の魅力の一つであり、楽しみ方の一つでもあると思います。
だからこそ、川谷絵音も楽曲は飽きることなく、聞けば聞くほどいろんな解釈が生まれ人の心を豊かにしていくのだと思います。
私の考察を見て、ご自身なりの「はにかんでしまった夏」をさらに膨らませていって下さい!
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