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indigo la End「夜光虫」歌詞の意味を解説-夜光虫の正体とは何なのか

夜の失恋に酔いしれる主人公

「夜光虫」はindigo la Endでは少し珍しいアコースティックギターを使用しており、少しジャズっぽさを感じる曲となっています。
なんで『夜光虫』なの?『たいして価値無い喪失』とは何なのか。謎多き歌詞ですが、さっそく解説に移ります!


『夜光虫』が表す感情とは

『夜光虫』と題名にもある通り、夜光虫というものがこの曲のキーとなりそうです。夜光虫の特性と主人公の感情をリンクさせつつ読み解いていきます。


失恋した女性

束の間だった あなたは浮かぬ顔だった
どおりで苦しいわけだ
まだ朝だった

夜光虫/作詞:川谷絵音 作曲:川谷絵音

二人の幸せな時間は束の間に、主人公と『あなた』との関係は悪くなっていったようです。それは主人公にとっても苦しかった。

苦しい、悲しい、そんな胸の詰まるような思いをしているので、時間が長く感じてしまうのでしょう。精神的に疲れていることを『まだ』という言葉で表現しているようです。

主人公は、早く夜になってほしいと思っているよみたいですね。

眠れもしないだろう
限りもないだろう
話せる友もいないから

夜光虫/作詞:川谷絵音 作曲:川谷絵音

いざ夜になっても胸が苦しくて眠れません。さらにこの苦しみには底なし沼のように終わりがありません。つまり限りがないのです。最悪な気分ですね。

この気持ちを話せる友達もいないようです。主人公はどんどん夜の沼にはまっていきます


失恋を美化する主人公

切ない想いは 
心の中で旅立たせない夜光虫さ
消せない想いが 光るこの夜
泣き虫はまだ闇に溶け込んだまま

夜光虫/作詞:川谷絵音 作曲:川谷絵音

夜光虫』の正体とは海洋性のプランクトンです。大量は発生すると夜に青く光り輝いて見えることからこの名が付きました。

主人公は、心の中から離れない(放したくない)失恋の苦しい感情を夜にだけ美しく輝く『夜光虫』のように捉えているのでしょう。そうすることで自分のみじめさを少しでも隠そうとしているのではないでしょうか。

でも本当は夜の底で泣いてしまうほど精神的にダメージを負っていることが「泣き虫はまだ夜に溶け込んだまま」という歌詞から読み取ることができます。


Twitterに書き込むありのままの心

打ちかけだった
文字が躍る様見てた
誰に向けた悲しみか
それとも憎しみか

夜光虫/作詞:川谷絵音 作曲:川谷絵音

「打ちかけだった」このことから主人公は何らかのSNSに今の自分の心の内を書き込んでいたことが窺えます。「文字が躍る」というのは、見る人によってその文章がいろんな意味を持ちいろんな受け取り方をされていることを『踊る』という擬人法で表していると解釈できます。

Twitterに毎晩のように失恋への腹いせを打ち込んでいる主人公。その文章はいったい誰に向けられたものなのか。『あなた』への怒りや憎しみ、悲しみを書いてるはずが、結局自分に向けられているかのようにも感じてしまう。

崩れないだろう
こんな人生じゃ
たいして価値ない喪失だから

夜光虫/作詞:川谷絵音 作曲:川谷絵音

「崩れないだろう」というのは、主人公の自分の人生に対する自己肯定感の低さをそのまま表したものです。崩れるまでもないそもそも自分の人生に積み上げてきたものなんかないと思えるほど失望感や虚無感を感じているのではないでしょうか。

『あなた』を失ったことはこんな人生かしたら全く価値のない出来事だったのかもしれません。もしくは、そう考えるほかなかったのかもしれないですね。


いつまでたっても慣れない悲しみ

切ない想いは
心の中で飼い慣らせない夜光虫さ
消せない想いが
光るこの夜
泣き虫はまた闇の先を怖がる

夜光虫/作詞:川谷絵音 作曲:川谷絵音

初めは「旅立たせない」と言っていた失恋の苦しい感情をうまくコントロールできていないようです。そんな感情は『消えない』のではなく『消せない』のでしょう。

泣いても泣いても終わりが来ない心の闇(夜)が少しずつ怖くなっているのです。


心がだんだん壊れていく

胸のつかえが脅かす
おんなじリズムで轟かす
失うことで生活が並んでいく
慣れた先は

夜光虫/作詞:川谷絵音 作曲:川谷絵音

胸のつかえとは【悲しみや心配事などのために胸が圧迫されるように苦しくなる。】ことを言います。

胸のつかえに毎晩怯える主人公。何かを失うことで逆に生活が成り立っているかのようにすら思えてきます。そんな生活に慣れてしまったその先には、何があるのでしょうか。

どうしてだっけ
いつからだっけ
眠る時間が分からなくなったのは

夜光虫/作詞:川谷絵音 作曲:川谷絵音

普通は夜に寝るものですが、主人公はそれすら分からなくなっています。日中は普通に起きて、夜は怯えてしまいネットへ逃げる。そうしていたらいつの間にか朝になっている。そんな毎日の繰り返しなのでしょう。


誰かで心の穴を埋める

触れ合う喜び
それと同時に
無くなるはずと夜光虫が
誰の幸せも願えぬ心
日の光で赤くなった

夜光虫/作詞:川谷絵音 作曲:川谷絵音

主人公は彼を失ってできた穴を埋めようと、他の好きでもない男と身体を重ねます。久しぶりの行為に喜びを感じますが、一緒に無くなると思っていた心に住む『夜光虫』、つまり失恋の苦しみが無くならないのです

ここで『夜光虫』のもう一つの姿である赤潮が歌詞の中で出てきます。夜光虫の正体は昼間には赤潮という現象の原因となるプランクトンでもあるのです。

主人公の心は誰の幸せも願えないほど、汚れてきているのでしょう。そんな心は、日の光に当たるとプランクトンの赤潮のように汚く、醜くいものになってしまいました。

切ない想いは
心の中で影を育てる夜光虫さ
消せない想いを
浮かべたばかり
そんなことより
もう朝だった

夜光虫/作詞:川谷絵音 作曲:川谷絵音

主人公は切ない想いを心の中で育てていくことを決断したようです。消せない想いは心の海にでも浮かしておこう。夜光虫のように・・・。


いかがだったでしょうか!

「夜光虫」の両面性をうまく表現した歌詞。

失恋を美化することの愚かさというか、虚しさをindigo la Endはさらに美化しているように感じました。

私の考察を見て、「夜光虫」が好きになった方、新しい解釈に気づけた方が一人でも増えてくれたら嬉しいです!


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