ポンペイ展に行ってきた

今日はポンペイ展の内覧会へ。

フェルメール展が延期になり、2月以降の展覧会の予定もどうなるかわからない中、こうして開催される、というだけでも貴重だし、嬉しいと思う。

内容も濃厚だった。

紀元79年に、ヴェスビオ山の噴火によって消えた古代都市、ポンペイ。

火山灰に呑まれてしまう前は、そこには今の私たちと変わらない人々の生活があった。
都市の中心にあたるフォルムでは、市場が立ち、選挙の投票や裁判なども行われていた。
パン屋は少なくとも約30か所。
他にも、料理をテイクアウトできる店もあり、家に台所のない庶民たちによって、大いに利用されていた。

他にも、娯楽施設として、劇場や大浴場。浴場はしばしば運動できるスペースがついていた。
発掘によって、炭化したパンやイチジクなどの食べ物、使われていた食器なども今回は展示されており、2000年近く前、そこにあったのが今の私たちとほとんど変わらない生活だったのだ、と改めて実感させられた。

そして、裕福な人々の家を飾るモザイク。
一辺が数ミリメートルの細かいタイルを敷き詰めることで、絵画のように緻密で、微妙な陰影までもを再現した、リアルな画面を作り上げている。
描かれているのは、ギリシア神話のエピソードに材を取ったものや、その邸宅の主人やその妻、生活風景、魚などの食べ物。
それらの色彩は、2000年も前に作られた、とは思えないほど鮮やかだ。
しかし、それも火山灰の中に長く埋まっていたからこそ、と思うと、少し複雑だ。

2000年前。
ポンペイに住んでいた人々は、裕福な人であれ、庶民であれ、奴隷であれ、まさか自分たちの生活に、唐突にピリオドが打たれる、とは思ってもみなかっただろう。
美味しい物を食べて。仕事をして。劇場に足を運んだり、運動して汗を流したり。
そんな日々がずっと続くと思っていた。
その点も今の私たちと同じだ。

冒頭の、ポンペイを滅ぼした「自然災害」―――ヴェスビオ山の噴火を見ながら、11年前に日本を襲ったあの災害を何となく思い出してしまった。

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