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「光悦の大宇宙」展より(覚え書き)

「光悦の大宇宙」展の内覧会に行ってきた。
印象的だったものの一つが、展覧会の後半に飾られている『鶴下絵三十六歌仙和歌絵巻』。
これは、鶴の大群が飛び立ち、上昇や下降を繰り返しながら向こう岸に到達するストーリーを、俵屋宗達が全長13.5mの画面に下絵として描き、そこに光悦が、三十六歌仙の和歌を散らし書きする、というまさに奇跡のコラボレーション。

装飾的な下絵をほどこした料紙に、和歌を散らし書きすることは、光悦は前々から行ってきた。
会場では、そのような和歌絵巻を他にもいくつか見ることができるが、単に書き付けるのではなく、絵の密度、配置にあわせて、字を書く位置や行間、筆の強弱を工夫し、金銀の絵と、墨一色による文字とが響き合い、一つの「アート作品」になっている、と言えようか。

そうなると、絵屋(現代でいうデザイン事務所のようなもの?)として当時も名高かった俵屋宗達による装飾が施された華やかで長大な料紙(個人的には、エッシャーの〈メタモルフォーゼ〉を思い出した)を前にした時、実際に筆を走らせる時、光悦はどれほど興奮しただろう。
まさに豊かな個性、磨きあげた美意識を備えた天才たちの出会いが生み出した傑作と言えようか。
そして、今回の展覧会は、天才の片割れ・光悦の美意識を培った「原点」に触れ、体感することができる。
私が感じたもの、学んだことについては、後日マガジンでより詳しくまとめられたら、と思う。

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