
クリムト展@東京都美術館メモ;<ヌーダ・ヴェリタス>
今週24日から東京都美術館で始まったクリムト展。
クリムトの油彩画22点が集まるという、過去最大規模の展覧会は、平日でも人が多く集まっていた。
クリムトといえば、すぐにイメージされるのは、金箔を多用した、「黄金様式」。そして女性像だろう。
特に女性は美しいと同時に、時に何か「見てはいけない」ものを見てしまうような感覚にもさせられる。
私も会場でこの絵<ヌーダ・ヴェリタス(裸の真実)>を前にした時は、ぎょっとした。
クリムト、<ヌーダ・ヴェリタス(裸の真実)>、1899年、ウィーン国立図書館演劇コレクション
作品の大きさは縦が約2.5メートル。
その中に、文字が書かれたパネルに挟まれて、等身大の裸の女性が描かれている。
完全な正面向きで、恥じらう様子もなく、鏡を片手に、立っている。
ここにいるのは、理想化された女神などではなく、生身の女性だ。
こんもりした髪型は、古代エジプトの女性が被るカツラにも似て居なくはない。
真っすぐに前を見つめる瞳は青というよりも銀色に近い。彼女が手にしている鏡と同質のようにも思える。
今でも、前に立つとどことなく落ち着かなくなる。この作品が発表された当時のウィーンの人々はどんな反応をしただろう。
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