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simple (20051008)

昔、中学生の頃、私は、私たちは、知識に飢えていた
難しい言葉を多用することを好んだ
描いた絵にも黎明という題名をつけた

難しい言葉の真意をすべて理解できるだけの経験もない

自分の犯してしまったことで変わる人生をまだ歩き始めてはいない頃

まだ、そのほとんどが、
自分のおかれた環境やまわりの人々によって変化し
まだあまりそれらに対して抵抗ができない頃
自分の性格がまだ少しずつ変化することも可能で、
まだ作られていく段階の頃

自分が犯してしまった何かに囚われることはまだあまりない頃
辛いことや悩みやコンプレックスといえば

友達がいないとか、親がいないとか、亡くなったとか、
友だちが亡くなったとか、親の会社が倒産したとか、

先輩に彼女が居るらしい
修学旅行で男子の部屋に夜這いに行ったら先生にぶたれた
サッカーの試合に負けた

体重が増えた
にきびをつぶしちゃった
テストで赤点をとった

どうして生まれてきたんだろう
こんなところで何しているんだろう
死にたい

とか、そんなことを強く思って、延々と考えたりもする
もちろんそれは必要で、大切な時間。
でも漠然としてて、なのに、人生を随分しっているような錯覚も覚える
何も知らないのは、馬鹿な大人だとも思う

知識を得ることに貪欲で、
勉強ができるとなんでもできると勘違いもした
たくさんの矛盾の中で、
大人になったらなんでもできると、勘違いもした

でも、それから社会に出て、いろいろ経験して
人に言えないような、本当に醜い、苦しい経験をして
醜い自分を知って、自分を信用できなくなったりして、
人を簡単に信用できなくなって、壁作るようになって。

それでも、大切なもの無くしながら、何かを得ながら
まわり道しながら歩いてきて

それからの自分の、心に触れる、響いてくる言葉は
驚くほど、なんともシンプルなものばかりだった

ストレートな素朴な言葉に、魅かれ
力をもらった

わかりやすい絵にも、音にも力をもらった

スマートじゃなくていい
賢そうじゃなくてもいい
ハートに響けばいい
メッセージが伝わればいい
不器用でも本音が伝わればいい

ハイヒールを脱ぎ捨てて、賢そうなスーツも脱ぎ捨てて、
はだしになって土の温度を感じながら、
自分に素直になって、
歩いていこうと思った

なかなかそれも難しいけど。

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