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関係のフラットさが生む【Footwork & Network vol.23】

まるで自分の家のリビングのように居心地良さそうにくつろいだり、自然と食事や会話を楽しんでいたりする風景が生まれるIKEBUKURO LIVING LOOP(池袋リビングループ)。その場所に訪れる方や関わる方とお話しすることで、自然とそのような空間が生まれる場所になったことの、鍵となる部分を少し知ることができたように思う。今回はそんな池袋リビングループで出会った方を紹介していく。


池袋リビングループとは

2017年から池袋東口グリーン大通りをメイン会場として開催されているマルシェイベントである。フードやドリンクに留まらず、パフォーマンスやワークショップ、クラフトなどが屋台形式で出店されている。

▼Ikebukuro Living Loopの詳細はこちら
https://ikebukuropark.com/livingloop/

家から出た外の世界に、日常を取り入れるような感覚だ。ある人にとっては、この空間では、パジャマを着ながら日常を過ごすような感覚の、一部の時間になっているかもしれない。ハンモックやストリートファニチャー、クッションなどで、自分でくつろげる空間を見つけ過ごす人達の様子が印象的であった。

話すことから、しかし、行動もコミュニケーション

9月17日に開催された、「IKEBUKURO LIVING LOOP 2022 隔月マーケット@池袋東口グリーン大通り」から当日キャストとして参加させていただくことになった。
入れ違いで卒業された、元ゼミ生の方の卒論発表を聞き、楽しそうと、学校に通えないコロナ禍の代で特に心躍ったことがきっかけで興味を持ったイベントである。

9月のマーケットでは、朝からテントや屋台組み立てを出店者さんと進めた。休憩の時間にお客さんに紛れて買い物を楽しんでいると、出店者の方が
「朝からお疲れ様です。ありがとうございます。」と声をかけてくださった。
キャストである目印もなく、屋台組み立てでもお話していないお店の方からの言葉だった。なぜわかったのか疑問に思い伺うと、
「準備の段階から積極的に声掛けをして動いていたから、覚えていたんですよ!」といっていただいた。
素直にその言葉が嬉しかった。言葉だけが伝えることの方法ではなく、私が思っていた以上に行動が感情を表す一部分になっていたのだ。

居心地の良い空間を過ごす対象として、私達キャストも含まれていたこと。出店者さんからいただいた言葉は、幅を広げてくれた言葉に感じた。キャストの方のみならず、出店者の方もその想いを持っているからこそ、その場にいる人たちの要素が合わさって居心地の良い空間というものを共有して過ごせるのだろう…。

お客さんもその空間をつくる一員に

11月に行われた「IKEBUKURO LIVING LOOP 2022 スペシャルマーケット(@池袋東口グリーン大通り、南池袋公園)」では、私はコアメンバーとして運営から携われることに。

マルシェ当日の暗くなってきた時間帯の様子

11月6日にお話したお客さんの言葉が印象的であったため、一部記そうと思う。これはエリアごとに設けられた受付で、大通りを歩いている方に挨拶をしながら、出店情報が記載されたマップを配っていた時のことである。

1組目は年配のご夫婦の方。
「元々池袋に住んでいたんだけど、久々に寄ってみたら面白いことをやっているんだね!ここに戻って来たくなったよ。」
2組目は年配の女性の方。
「毎年楽しみにしていたお店、今日は出ていないのね…。」
3組目は女性2人組の方。
「店舗一覧表捨てるのは心苦しいから、写真撮って見てもいいですか?」

お客さんは居心地の良い空間を受け取る側というような考え方ではなく、お客さんも共に場をつくる存在であり受け身でないこと、その向き合い方がまた、場を構成する要素の1つなのであるのだろうと感じた。

年代によって見ている媒体も異なり、それにより届いている情報が全く違うことを再認識させられた。届いていないこともあるのだと訪れた方が伝えてくれたことで、気づくことができたのである。2人目の年配の方は、SNSに載っている出店者情報は見られていないようで、出店日程が異なる日に訪れられたそうだったのだ。また、当日出店店舗マップを配布していたのだが、3組目の2人組の方は率直な意見を伝えてくれたことで、若い方にとっての利便性にも着眼点を置く必要があることに繋がった。年代による相違点は日常生活では当たり前で身近なことでも、意外と目が向けられていないこと。お客さんだからこその視点でリビングループの場をより良くするために訪れた方と共につくられているのだと再認識した。
自作自演でないこと、ゼミの活動とも通ずる部分があるからこそ、ゼミ生で関わる者も自然と増えているのかもしれない。

エリア別受付横の空間(#まちなかリビング展)

コアメンバーKさんとの出会い

私は9月の隔月マーケット後、11月のスペシャルマーケットに向けた準備からコアメンバー(運営)に加わらせてもらうこととなった。

SNSのPR担当として一部投稿を担当しています!
過去の出店者やマーケットの様子が見られるので、ぜひ覗いてみてください!
https://instagram.com/ikebukuro.living.loop?igshid=YmMyMTA2M2Y=

9月のマルシェの際も、コアメンバーに加わった際にも、初めてである空間であっても、一歩引いてしまうような感覚を持たない空間を作ってくださった、Kさんについて紹介したい。

Kさんは学生時代に公共R不動産のREPUBLICという本にときめき、コアメンバーの方に何かできませんかと自ら連絡をしたことが、IKEBUKURO LIVING LOOPに関わる際の入り口だったとおっしゃっていた。当時のことをKさんは笑顔で話されていて、もっと話を聞きたくなった。11月のスペシャルマーケット後に、自然と声をかけていた自分がいたのだがその中で、リビングループとの関わり方が印象的であると感じた。

Kさんは現在、社会人として仕事をされており、副業という形で活動に携わっているそうなのである。徐々に当たり前になりつつある働き方であるが、副業してから不安になったり、立ち止まったりしているとおっしゃっていて、まだまだその働き方が当たり前にはなっていない社会の現状の一端も目にした。それでも副業を続けるのは、この活動が楽しいから、場をつくっていきたいからという理由のみならず、自分自身の関心にも真剣に向き合い行動されているからだと話す中で知り、会社だけでも自分だけでもなく、どちらかに優先順位を置くことなく、両方大切にされている考え方を素敵だと感じた。

副業を続ける大きな理由として
①探求心
家でも学校でも職場でもないサードプレイスに興味があり、実際にサードプレイスとしてのリビングループに居心地の良さを感じた経験があるからこそ、もっと多くの人にそういう居場所をつくってもらいたい、そういう機会を知って欲しいという思いからであるそう。
また、会社員でも仕事以外のコミュニティや余力で楽しく関われたりすることを知ったから、余力の力をみんなで出し合いまちづくりに少しずつ関わるという考え方がもっと波及したら良いなと思ったとおっしゃっていた。

リビングループで時間を共に過ごす中で、Kさんの他者の巻き込み力も、この空間の一要素になっているのではないかと感じた。初めて当日キャストの際も、コアメンバーに加わった際も、お客さんに対しても差をつくらない。根本にこの空間を他者と共有したいという思いがあるからこそ、どんな背景かに関わらず届けることに注力し、Kさんの行動がその居心地の良い場をつくり出せているのだろう。当日キャストやコアメンバーを経て、発見したことを口に出しやすい環境がここにはあり、それがある理由はKさんの存在が大きいと感じた。

社会人経験が一つのところで縛られないようにするため
一つの部署で得たスキルだけで社会人をするのではなく、副業先やボランティアでの知見のように、外からの刺激も受けて人と少しだけ違った視点で考えられるようになりたいと思ったことも理由にあるそうである。実際に、社内でも色んな視点で見られるところに価値をおいてもらえたり、大変なところもあるけどそれぞれで発散したり、兼業を理由に休息をとることを自分の中で認められたりもできて、やってよかったという思いがあるからだそう。

関心を持ったサードプレイスに関して、Kさん自身が自分で動き、それを他者と分かち合うように繋がっており、これこそInformal & Publicを体現されている方だと間近で感じた。

最後に


特に今回Kさんとの出会いや関わりの中で、家でも職場でもないサードプレイスの感覚をKさんの持つ「型にはまった考え方ではないが、それこそを他者と共有したい」思いから少しずつ理解に近づいていったと感じた。正解や不正解ではなく、他者と共有したくなるような場をまずは自分自身が作ることを目標とし、行えるようになっていこうと思う。

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