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「あなた」は「他人の成分」でできている(?)スパースモデリングを使った人物ベースの新しいレコメンドシステム技術の裏側を聞いてみた - 前編 -

はじめまして。シグマアイのデザイナーのヤマモモです。
高校からデザイン系の学校に行っていたので、数学は数ⅠAしか学んでいません😅
そんな技術人じゃない私が超理系の量子技術や最先端技術について書いたら面白いんじゃない?と思って書いてみることにしました!😁
「デザイナーが書くライトなTECHブログ」をコンセプトに頑張りますので、よろしくお願いします✨

まずこの記事を見て欲しいんですが、シグマアイでレコメンドシステムを開発して弊社のクライアントである旅行代理店様に提供したら3倍の結果が出ました!という記事です。

3倍って普通にすごいけど、なんでこんな結果が出るのよ?と気になったので…

シグマアイ代表取締役 東北大学大学院情報科学研究科教授 / 大関 真之

東北大学の教授であり、会社の代表でもありめちゃ忙しい大関さんに時間をもらって技術をわかりやすく教えてもらいました!
大関真之=量子技術って印象持ってる方多いと思うのですが「今回は量子使ってないんだよね(by大関)」😂
でも面白い話を聞けたので、是非読んでくださいm(_ _)m


開発したのはレコメンドシステム!でも既存のレコメンドとどう違うの?

レコメンドシステム

レコメンドシステムはAmazonやYouTubeやNetflixなどで「あなたへのオススメ」と他の商品や動画が出てくるものです。
もう既に世の中に存在してるのに?と思ったんですが、軸となるものが今回は違うというのです🤔

既存のレコメンドシステムってどんなもの?

既存のレコメンドシステム
この人は「あのアイテム」とどのくらい結びつきがあるか。
「アイテムのパターン」を使って、アイテムの結びつき、その人がどのくらいの関係性を持っているかを推定している。
動画サービスなら、映画の趣味趣向のパターンがあり、
極道映画が好きなら戦争映画が好きだろう→あなたの好き度はxx点のように推定される。

by大関さん

このように既存のレコメンドシステムはアイテムが軸となるアルゴリズムで、アイテムにはパターンやトレンドというものがあるそうです。
他にも「とあるアイテム」を購入した自分(購入者)と別の購入者をそのアイテムで結びつけるというロジックも存在します。

既存のレコメンドシステムはアイテム同士の関連性をみている

↑このイラストを説明すると、こんな感じです。
① 私は「ノート」を購入しました。
② すると「スニーカー」をおすすめされましたが、あまり興味のあるアイテムではありませんでした。

これは「自分とXさん(別の購入者)を共通の購入アイテム(ノート)で結びつけた結果、そのXさんが購入した他のアイテム(スニーカー)を、Xさんが購入したアイテムのパターン」として自分にもレコメンドしてきているのです。

このように既存のレコメンドシステムは、アイテムを軸としておすすめされるそうなんですが、自分(購入者)と別の購入者は「アイテム」で結びつけられている関係ということです。
自分と別の購入者は何かしら共通点があるから、おすすめ商品を提案されていると思いませんか?
(私はそう信じていました😅)
しかし既存のレコメンドシステムはアイテム同士で結び付けられているだけで、自分と別の購入者は共通点がないのかもしれない。と大関さんは気付いたそうです。


新しいレコメンドシステムは何が違うの?

既存のレコメンドシステムにはない、人同士を結びつけるのレコメンドシステムを作ってみよう!と大関さんは考えました。
もしあなたと感性がそっくりの人たちがいたら、同じようなものが好きだと思いませんか?😊
大関さんが考えた新しいレコメンドシステムは自分に似た複数の購入者から、おすすめアイテムを提案してくれるんです!

新しいレコメンドシステムのイメージ図
  • 既存のレコメンドシステムは購入履歴のアイテム同士で紐づけられたシステム→アイテムベース

  • 新しいレコメンドシステムは自分と似た感性の人の購入履歴からおすすめをする→人物ベース

↑この新しいレコメンドシステムを使った技術の紹介記事はこちら

「あなた」は「他人の成分」で表現できる

でも自分と感性が似た人って探すの難しくない?🤔
大関さんによると、「Aさん」の事をBさん成分xx%・Cさん成分xx%・Dさん成分xx%と彼らのデータを使って「Aさん」を表現できるというわけなのだ。

「他人の成分」で表現できる

似てる所や、逆に似てない所、それぞれを人間の重ね合わせで表現できてしまうと。
これはスパースモデリングという技術を独特の方法で使っているのだそうです😮

スパースモデリング
スパース(Sparse)は「まばらな」「希薄な」などの意味を持つ。 データ量が少ない、あるいはデータの一部が欠けていたとしても、答えを導き出すための手法をスパースモデリングと呼ぶ。

坂田亮太郎. "日経バイオテク". "スパースモデリングとは", https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/011900001/22/09/08/00441/

今回はスパースモデリングを独特な方法で使い、100人で1人の人間を説明している。(この時1人1%で均等に割るのではなく、Aさん成分1%・Bさん成分2%…と各%は変わる)

by大関さん

いきなり難しい言葉でてきたわ…\(^o^)/
大関さんいわく「複数の絵の具を組み合わせて色って作るでしょ?「人物」も複数の人物の成分で説明ができるということだよ」

大関さんいわく同じようなもの

ほーーー😲

スパースモデリングを使った人物ベースのレコメンドシステム

では、どうやってスパースモデリングをレコメンドシステムと紐づけていくのでしょう。
もしあなたが営業の方だとして、どんな顧客に営業すれば効率的ですか?

正解は色々あると思うのですが、シグマアイでは過去の購入者をモデルとして、その方に感性がそっくりな人物を見つけるという手法を選びました。
なので、このモデルを表現するには成分の似ている人物を5人ピックアップする、とスパースモデリングをブリリアントに使っているらしい。(興味がある方はお問い合わせしてね!)

これによって、あなたは過去の顧客の成分をxx%含んでいるから、潜在的にこれが好きなはずですね?という提案ができるのです😏
(この仮説を試すというのが今回のレコメンドシステムの開発起源です。)

既存のレコメンドシステムと新しいレコメンドシステムの違い

アイテムで結び付けられている既存アルゴリズムとは違い、
購入者同士の関連性(成分)を見ているのが
新しく開発したレコメンドシステムなのです。

「同じようなアイテムを購入している人がいます」と言われるより、
「あなたとストーリーの近い方が購入しています」と言われた方が、どんな商品か気にならない?と大関さんに言われた時に、確かに~~と思ってしまいました😅

今回のまとめ

  • 既存のレコメンドシステムはアイテムで結び付けられているだけで購入者同士の関連性はあまりない

  • スパースモデリングを独特の方法で使い、複数人使って1人の人物を表現できる。

  • その技術を使えば過去の購入者にストーリーが近い人を見つけられる→成約確率が高くなる

  • 実際に旅行代理店様に提供したらCVが3倍になった


次回はこの技術を使うには、どんなデータが必要?新しいレコメンドシステムの今後について書いていきます!
良いお年を!ノシ

後編はこちら

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