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<僕>より<彼女>の方が苦しかったのかもしれない。「明け方の若者たち」のアナザーストーリー〜彼女編〜

みなさんこんにちは。
前の記事では、あけわかのアナザーストーリーのレビューを、夫に関係した内容で書きました。

今回は、彼女についてです。早速書いていきます!

映画本編では<僕>と<彼女>は不倫旅行のあと、夫が急に帰国したのでしばらく二人は連絡が取れなくなるのですが、一度だけ二人はちゃんと時間を取って会うことにします。

そこで彼女は「本当にちゃんと好きだった」と伝えます。それ以降たしか二人は会うことも連絡を取ることもないです(記憶が曖昧、、笑)。

ざっくり映画を観た後の印象は彼女は遊びで年下男子に手を出し、時が来たら(夫が帰国したら)音信不通になり、僕の心に傷痕を残しただけの悪い女のように見えました。要は、彼女がめちゃめちゃ悪い人みたいな見え方にどうしてもなってしまうんですよ。

でも、アナザーストーリーを見て見事にやられました。
本当は<彼女>の方がやり直しが効かない、とても苦しい罪悪感に悩まされながら生きていくんだと感じました。

「人生のマジックアワー」として二人が過去を保存することは、決まっていたのかもしれない。

まず決定的な<僕>と<彼女>の大きな違いは、既婚者か独身か、ということです。

たとえどちらかが結婚していたとしいても、世の中には離婚するのを待ってから二人が結ばれる、というパターンもありますよね。
でもこの物語の二人の人柄、人間性を見ていると、その展開は絶対にないんです。

<僕>は本当に彼女の全てが好きで、でも彼女の人生を自分が奪えるほどの勇気はないし、彼女の幸せを壊すことはできない。期間限定だと分かっていても大好きな彼女とできる限りの時間を一緒にしたいが故に、沼にハマっていきます。

<彼女>は夫の転勤に関して夫と揉めたこともあり、少しモヤモヤしていたところがあったと思います。それをたまたま埋め合わせで呼ばれた飲み会で出会ったたまたま近くにいた僕に、自分が夫に声をかけられた時と同じ方法で声をかけて、気を紛らわせるように逆ナン。
彼女はいつの間にか、僕のことを本気で好きになります。
でも僕と期間限定の恋愛をしているとき、歩く時も寝る時もお風呂に入る時も、必ず僕の右側にいるようにして、左手の薬指にはめている指輪の存在を見せるかのように、もしくは自分に言い聞かせるように、必ず終わりが来ることを忘れないよいうにしていました。

そんな根が純粋な二人だから、二人が結婚することはなく、「人生のマジックアワー」として過去を保存することは決まっていたかもしれませんね。

誰のものでもない僕、誰かのものである彼女。

本編とアナザーストーリー見てから、わたしはこう着地しました。

「独身でまだ誰のものでもない僕」と「結婚をしていてすでに誰かのものである彼女」が大恋愛をしたのなら、<彼女>の方が苦しいかもしれない、です。

<僕>はこの恋愛から学んでかっこいい男になり、まだこれから誰かと共にするであろうまだ描かれていない未来が待っています。立ち直るまでに時間はかかっても、「大恋愛をしたいい経験」です。

僕と彼女が別れた後、彼女は帰国した夫の元へ戻ります。
遊びのはずの恋愛が本気になってしまったから、純粋な彼女はその過ちを罪悪感として夫と一生を過ごすことになります。すでに描かれ始めていた成功した未来に、一人で抱えなければいけない火傷を負った感じ。
結局はすでに誰かのものである彼女の方が、生きていくのが苦しいのかも。

人はどのタイミングで大好きな人と出会うかが本当に大事。
まあそれはすでに決まっている運命だと思いますが。


みなさんも「ある夜、彼女は明け方を想う」を見て、それぞれの解釈で作品に浸ってみてください!
最後まで読んでいただきありがとうございました!

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