物語からはじまるショートショート 〜第一回 『あおのじかん』より〜
近藤望未さんが言葉を紡ぎ、スケノアズサ が挿絵を描いている『しろの種』。
今月から新しいシリーズ『物語からはじまるショートショート』が始まります。
『ダレカさんへ』とはまた違ったテイストです。
近藤望未さんの物語は胸にすーっと入ってきて、なんとも心地よいのです。
彼女がその本を読み終えたのは、夕方五時のことだった。
暖かさと寒さがかわるがわる訪れる、二月の後半。身体が季節に振り回され、気づくと、熱を帯びたまぶた任せに眠っていた。目が覚めてすぐ、なんとなく手に取ったのが、『