見出し画像

英語力のその前に!多くの日本の子どもたち・学生さんたちに足りていない力とは

英語の駆け込み寺のような形で、さまざまな英語の目標/お悩みを持つ方の英語プライベートレッスンをさせていただいています。

その中で思うことなのですが、英語を学んでいく中で、英語の前に身につけることが必要だと感じる、多くの子ども・学生さんに欠けている力があります。
それは、「思考を素早く整理し言語化する力」です。

言語とは思考を表現する方法ですから、その元にある思考がしっかりしていないと、カッコよく英語で話すことはできません。

私が生徒さんに簡単な意見を問うた時。
考えに詰まって、黙ってしまう生徒さんが多いのです。そして、わかりやすい理由や根拠を二つ添えて話すことが苦手です。
英語で言うのが難しいから、ということももちろんありますが、でも、日本語でやってみよう!と母語で質問し回答する形でも、同じように詰まってしまうのです。

例えば以下のように問いかけます。
「15秒ほどで自分の意見をパッと決めて、その理由を二つ添えて説明してみよう。理由は、いつもしているように、「こうだから」だけでなく、例や根拠となるサポートセンテンスを添えて伝えようね」

すると、ひとつの質問に答えるのに、サポートしてもらいながら、5分から10分くらいかかってしまうことが珍しくないのです。
本当は、15秒考えて考えをまとめて話し始め、1分か2分程度で話せるようになってほしいのです。

質問の内容は、例えば以下のようなことです。

・Where is the most interesting place you have ever visited? (今までで訪れたところで一番おもろかったところはどこ?)
What’s the best place for people from other countries to visit in Japan?(外国人が日本に来た時に訪れるのに一番いい場所は?)
Which do you think is better, studying alone or studying in a group?(みんなで勉強するのと1人で勉強するの、どちらがいいと思う?)
Which do you think is better, working from home remotely or working in an office?(自宅からのリモートワークと出勤、どちらがいいと思う?)
Do you think all children should play sports?(すべての子どもはみんなスポーツをするべき?)

日本語にして訊く&答えてもらうこともあります

たしかに、理由を2つ添えてこういった質問に瞬時に答えることは、簡単なことではありませんよね。

でも、慣れてくると勝手がわかって、サラサラっと言えるようになります。
帰国子女のお子さんは、はじめからある程度できることが多いです。英語力の問題かと思いきや、実はそこだけではなく、意見をパッと決めて、それらしい理由をきちんと論理的に話す部分が現地の授業で鍛えられているからだと思われます。

これができるようになっていると、IELTS(英語圏で大学に行きたい非ネイティブが英語力証明のために受ける試験)にも同じような問題がありますし、どんなスピーキングテストでもある程度きちんと答えて得点できるようになります!☺️

残念ながら、日本語のみで教育を受けていると、こういった問いに答える瞬発力が育ちにくいのかなあと感じることがあります。
(繰り返しますが、このスピーチ練習の質問は母語の日本語ですることもあります。でも、日本語でも、論理立てて相手にわかりやすく根拠や例を添えることが上手にできない傾向にあるのです。)

でも、毎回レッスンで一つ練習していくと、確実に、みなさん、上手になります!

そして、このように論理立てて理由を1つ2つと並べて話すことができるようになってくると感じることなのですが、母語である日本語よりも、自分にとって不自由なはずの英語の方が、こういったスピーチは話しやすいと感じる人が多いのです。First, Second, と、きちんと区切りをつけて、話し手も聴き手も話のどこにいるかを確認しながら進められるからかもしれません。

論理立ててわかりやすく話すスピーチは、日本語と親和性が低いのかもしれませんね。ローコンテクスト言語とハイコンテクスト言語の違いと捉えると、日本語ではこれが苦手でも仕方ないのかなと思ったりします。

ローコンテクスト言語(英語)
背景や文脈の共有が少ない状態において、言語によるコミュニケーションに重きを置くコミュニケーションスタイル。意図や指し示すことを明確に言葉で示すため、シンプルで明快なコミュニケーション方法ともいえる
ハイコンテクスト言語(日本語)
言葉による説明が少なく、会話の際は表情の変化や声のトーン、体の動きなどの行間を読むことが求められる。また、共通認識や文化的背景、知識、カルチャーを前提として会話が進むのも特徴

Google検索 生成AIによる回答


会話やスピーチにおいて、話が通じなかった場合は、英語では、話し手が正確に伝えていないことが悪かったと考えられますが、逆に日本語では、聴き手が行間を読み取れなかったことが悪いと考えられがちです。


日本では、日常の会話でも、学校でも、論理立てて自分の意見をきちんと説明することを要求されることが少ないので、単純に自分の意見を表明することに「慣れていない」、練習が足りないだけ、と思う部分もあります。

これは突き詰めると大きな問題で、というのも、ものごとに対し、自分の意見を問われたり表明する機会が少ないと、「自分の意見を持たない」ことにつながりやすく、さらに言ってしまえば、「世の中のいろいろな問題や出来事について関心がない」ことにもつながるのではないかと思います。


小学生の頃から社会問題に触れることが少なかったり、海外でなにが起きているのかを知る機会も少なく(日本のテレビはバラエティやドラマが多く、外国ニュースを流す局などありませんものね・・)、社会問題に関する知識や関心を持つ機会がないので、瞬時に自分の意見をまとめて答えることが苦手でも仕方ないのかな、、と感じます。
ここを変えていけば、もともと賢い日本人はもっとグローバルに活躍できるのではないかなと感じるのですが。

良い悪いではなく文化的な違いとも言えるかもしれませんが、日本の中高生のインスタストーリーはディズニーや加工の自撮り、食べ物ばかりですが、欧米の中高生は選挙その他の社会問題について自分の意見を載せて上げることも多いです。

英検準1級や1級を小学生(あるいは中学生)で取得するような子どもの話が時々話題になりますが、そこでは必ず、「準1級や1級のライティングトピックは小中学生には難しぎる」という意見が出ます。

でも、先の述べた通り、欧米の子どもたちは社会問題に関してある程度(あるいはかなりの)知識を持っています。おそらくそれは、学校などの教育現場で、社会問題をテーマにディベートをしたりレポートを書かせたりしているからだと思います。

ですから、これらの質問が12歳〜15歳くらいの、小学校高学年や中学生(アメリカのミドルスクールくらい)が書くことができないトピックだとは思いません。
(ただ、この年齢で英検1級が必要かどうかというのは別の議論です。私は要らないと思っています)

こちらが英検準1級と1級の過去に出題されたライティングトピックの一例です。スピーキングテストでも同じような内容が出題されます。

Agree or disagree: More needs to be done to improve public safety
賛成か反対か:公共の安全を向上させるために、さらなる対策が必要である
Is recycling the best way for society to help the environment?
リサイクルは、社会が環境保護に寄与するための最良の手段であるか
Should the Japanese government accept more immigrants from developing countries?
日本政府は、発展途上国からの移民をさらに受け入れるべきであるか
Will humans live on other planets someday?
将来的に人類は他の惑星に居住することになるだろうか
Agree or disagree: High school education in Japan needs to be improved
賛成か反対か:日本の高等教育は改善が必要である

英検準1級の過去に出題されたライティング問題

Agree or disagree: Human societies will always have a negative effect on the environment
賛成か反対か:人間社会は常に環境に対して悪影響を及ぼすものである
Should investment in technology be a bigger priority for governments?
政府にとって技術への投資をより優先すべきであるか
Agree or disagree: Genetic engineering will have a positive influence on society in the future
賛成か反対か:遺伝子工学は将来的に社会に良い影響を与えるだろう
Industrialization has had an overall beneficial effect on humankind.
産業化は人類に全体的に有益な影響をもたらした

英検1級の過去に出題されたライティング問題

もう少し、日常から、あるいは学校の授業で、子どもたちが世界で起きていいるいろいろな出来事について、そしてその歴史についてなどを学んだり考えたりする時間があればいいのになと思います(3年ほど前に、『日本の小学校で必修にしてほしい学び』として記事にしたこともあります)。

というわけで、ぜひ、高い英語力を身につけたい学生さんは、英語の勉強のみでなく、日頃から世の中で起きていることに関心を持って、ニュースなどを見て周りの人とディスカッションなどしていてほしいなと思います。自分の意見を持ったり考えを伝えることは、訓練すれば必ず上手になります!

💡以下は世の中の動きを英語学習者でもわかるレベルの英語で書いてくれているニュースサイトです。おすすめです!

News in Levels

Breaking News English

DMM Daily News


💡そしてこちらは、問題に対し、意見を持ったり理由を述べるためのヒントとしてとても有用です。(英語中級以上のB1, B2レベル用です)

ProCon.Org 

英検1級 英作文問題完全制覇

いいなと思ったら応援しよう!